38 / 70
第38話 体育館裏の出会い
しおりを挟む
ローランドさんに約束を取り付け、クラブの時間が終わった。
いつもなら寮へ帰って、そこから森へ行くんだけど……寮の裏は誰かが見ているんだろうなー。
森の妖精って……いやいや、そんな不思議な存在じゃないし。
……でも、日本から転生してるって意味では、不思議な存在なのかも。
まぁそれはさて置き、何処か目立たない場所から転移しないとね。
「やっぱり体育館裏かなー? こんな所には誰も居ないだろうし」
夕方の茜色に染まる道を歩き、一転して陽の当たらない体育館の裏へ移動すると、何だか変な音がする。
なんていうか、何かと何かがぶつかっているような……も、もしかしてケンカっ!?
体育館裏だし、有り得るかも!
けど、そんな所へ行っても……でも、万が一イジメだったら?
強い人と強い人がケンカしているなら放っておけば良いけど、誰かが誰かを虐めているとしたら、助けないと!
恐る恐る近付いてみると、四対一で男子生徒同士が争っていた!
「貴方達! 何をしているのよっ!」
「あ!? 何だ、この女は!? 関係無いなら、引っ込んでろ!」
「事情は知らないけど、四人掛かりで一人を攻撃するなんて、何を考えているのよっ! やめなさいっ!」
鞄から杖を取り出し、攻撃魔法を……って、私が知っている木の枝を矢に見立てて放つ魔法は相手に怪我をさせてしまうので、
「≪クリエイト・ウォーター≫」
ユリアナの力を借りて、水を生み出す魔法を発動する。
昨日の料理でも使った、水を出すだけの魔法だけど、ときメイの最強武器、世界樹の杖を使っての魔法なので、四人の男子生徒の頭上から、滝のような水が落ちてきて、男子生徒を動けなくする。
「ごほっ……おい、止め……違っ……」
「反省した!? もう弱い者イジメはしない!?」
「そ、そもそも……そうじゃ……な……た、助け……」
水を出しただけなんだけど、量が多過ぎて男子生徒が地面に倒れているし、周囲が水浸しだし……ちょっとやり過ぎたかも?
一旦、反省したか確認する為に水魔法を止めると、ドロドロになった男子生徒たちが起き上がる。
「お前っ! 俺たちを誰だと……」
「わかったわ。反省していないのね。じゃあ、次は……」
「違うっ! そうじゃなくて、そもそも俺たちは弱い者イジメなんてしてねぇよっ!」
「でも、この人に向かって四人で攻撃魔法を放っていたじゃない!」
「だから、その相手をよく見てみろよ」
ゴリラみたいに大きいリーダー格の男子生徒に言われ、いつでも魔法を使えるようにしながら、チラッと攻撃されていた男子生徒を見てみる。
そこには、綺麗な艶のある暗めの茶髪で、ローランドさんとはまた系統が違うイケメンが立っていて、ポカンとした様子で私を見ていた。
でも、何か気品を感じるこの顔は……
「って、ケヴィン王子!? 貴方たち、王子に向かって何て事をしているのよっ!」
「だから、違うって言ってるだろ! ケヴィン王子に向かって攻撃するバカが何処に居るよ!? というか、授業で誰もケヴィン王子に向かって攻撃しないから、こっそり防御魔法の練習をされているんだっ!」
へ……? 聞けば、この四人はケヴィン王子をお忍びで守る為に入学した、騎士の卵らしい。
四人が四人とも、名のある貴族の息子さんらしく、ケヴィン王子に忠誠を誓っているのだとか。
そして、
「ふふっ……君、面白いね。僕の部下にならないかい?」
ケヴィン王子から、とんでもない事を言われてしまった。
いつもなら寮へ帰って、そこから森へ行くんだけど……寮の裏は誰かが見ているんだろうなー。
森の妖精って……いやいや、そんな不思議な存在じゃないし。
……でも、日本から転生してるって意味では、不思議な存在なのかも。
まぁそれはさて置き、何処か目立たない場所から転移しないとね。
「やっぱり体育館裏かなー? こんな所には誰も居ないだろうし」
夕方の茜色に染まる道を歩き、一転して陽の当たらない体育館の裏へ移動すると、何だか変な音がする。
なんていうか、何かと何かがぶつかっているような……も、もしかしてケンカっ!?
体育館裏だし、有り得るかも!
けど、そんな所へ行っても……でも、万が一イジメだったら?
強い人と強い人がケンカしているなら放っておけば良いけど、誰かが誰かを虐めているとしたら、助けないと!
恐る恐る近付いてみると、四対一で男子生徒同士が争っていた!
「貴方達! 何をしているのよっ!」
「あ!? 何だ、この女は!? 関係無いなら、引っ込んでろ!」
「事情は知らないけど、四人掛かりで一人を攻撃するなんて、何を考えているのよっ! やめなさいっ!」
鞄から杖を取り出し、攻撃魔法を……って、私が知っている木の枝を矢に見立てて放つ魔法は相手に怪我をさせてしまうので、
「≪クリエイト・ウォーター≫」
ユリアナの力を借りて、水を生み出す魔法を発動する。
昨日の料理でも使った、水を出すだけの魔法だけど、ときメイの最強武器、世界樹の杖を使っての魔法なので、四人の男子生徒の頭上から、滝のような水が落ちてきて、男子生徒を動けなくする。
「ごほっ……おい、止め……違っ……」
「反省した!? もう弱い者イジメはしない!?」
「そ、そもそも……そうじゃ……な……た、助け……」
水を出しただけなんだけど、量が多過ぎて男子生徒が地面に倒れているし、周囲が水浸しだし……ちょっとやり過ぎたかも?
一旦、反省したか確認する為に水魔法を止めると、ドロドロになった男子生徒たちが起き上がる。
「お前っ! 俺たちを誰だと……」
「わかったわ。反省していないのね。じゃあ、次は……」
「違うっ! そうじゃなくて、そもそも俺たちは弱い者イジメなんてしてねぇよっ!」
「でも、この人に向かって四人で攻撃魔法を放っていたじゃない!」
「だから、その相手をよく見てみろよ」
ゴリラみたいに大きいリーダー格の男子生徒に言われ、いつでも魔法を使えるようにしながら、チラッと攻撃されていた男子生徒を見てみる。
そこには、綺麗な艶のある暗めの茶髪で、ローランドさんとはまた系統が違うイケメンが立っていて、ポカンとした様子で私を見ていた。
でも、何か気品を感じるこの顔は……
「って、ケヴィン王子!? 貴方たち、王子に向かって何て事をしているのよっ!」
「だから、違うって言ってるだろ! ケヴィン王子に向かって攻撃するバカが何処に居るよ!? というか、授業で誰もケヴィン王子に向かって攻撃しないから、こっそり防御魔法の練習をされているんだっ!」
へ……? 聞けば、この四人はケヴィン王子をお忍びで守る為に入学した、騎士の卵らしい。
四人が四人とも、名のある貴族の息子さんらしく、ケヴィン王子に忠誠を誓っているのだとか。
そして、
「ふふっ……君、面白いね。僕の部下にならないかい?」
ケヴィン王子から、とんでもない事を言われてしまった。
115
お気に入りに追加
1,409
あなたにおすすめの小説

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。

聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。
向原 行人
ファンタジー
土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。
とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。
こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。
土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど!
一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する
鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】
余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。
いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。
一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。
しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。
俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~
うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」
探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。
探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼!
単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。
そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。
小さな彼女には秘密があった。
彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。
魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。
そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。
たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。
実は彼女は人間ではなく――その正体は。
チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる