悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

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第37話 森の妖精!?

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 一先ず、子供の……女の子の姿になってしまったセシルにも状態異常の回復魔法を使用し、事なきを得た。
 とりあえず、いつものように色んな作物の種を生み出し、それを畑に作物を植えたり、水をあげたりしたところで、本日は作業を終了して、寮へと戻る。

「うーん。やっぱりダニエルとセシルが人間の姿になったのって、私の料理を食べたからだよねー?」
『状況的に見て、おそらくそうかと』
「どうしてだろ? 私が料理をすると、変になっちゃうのかな? 状態異常の回復魔法で元に戻るくらいだし」

 ユリアナに話を聞いてもらいつつ、今日の出来事を自分なりに考えてみる。
 私が作った作物は、この世界とは違う作物らしく、食べると魔力が増えるのは分かっていたけど、それを調理すると魔獣が人間に変身しちゃうなんて。
 ……でも、水は魔法で生み出したものだけど、コンソメや塩コショウは、街で買った物なんだよね。

「……まさか、水が原因!?」
『というより、ルーシーさんが調理した事が原因かと』
「えっ!? 私!?」
『はい。あのスープには、ルーシーさんの魔力が沢山含まれておりました。普段、魔力の注ぎ方が分からないと仰られていますが、その反面、料理を作られている時は無意識に魔力が注がれているのでは?』
「えぇーっ! それって、めちゃくちゃ周りに迷惑を掛けちゃうよね?」

 あ、でも、魔獣以外には影響ないのか。
 実際エルフのナーシャちゃんには何も起こらなかったし、食堂のおばちゃん……あれは、ご飯を炊いただけど……には影響が無かった。
 というか、そもそもシカやクマであるダニエルやセシルに料理をあげる事自体がダメだよね。
 ちょっと反省しつつ、ダニエルやセシルには、果物や野菜などを調理せずにそのまま食べてもらおう。
 うん。これで解決だね。

 一先ず、自分の中で答えを出したので就寝し、その翌日。
 週末の休みも終わり、今日からまた授業へ。
 いつものように火魔法の授業を受けに行く前に、所属するクラスでホームルームがあるんだけど、クラスメイトたちがやけに騒いでいた。

「本当なのよ! 私、見たんだって!」
「いや、どーせ何かの見間違いだろ?」
「見間違い何かじゃないってば! 銀髪の女の子が、木の側で突然フッと姿を消したの! あれは絶対に森の妖精よっ!」

 ぶふっ! それ……間違いなく私よね。
 しまった。見られていたんだ。
 授業の準備をするフリをしつつ、周囲の声に耳を傾けていると、どうやら寮の三階に住む生徒が、上から見ていたらしい。
 だが、後ろ姿しか見ておらず、顔は見えなかったそうだ。
 ……三階からかぁ。それは、気付かない訳だよね。
 けど、今日からどうしよう?
 ダニエルやセシル、ナーシャちゃんたちには会いたいし……面倒だけど、寮の裏からじゃなくて、別の場所から転移するべきかな。

 そんな事を考えながら、授業を終え、放課後に菜園クラブへ。
 とりあえず、ローランドさんに週末の約束を取り付けておかないと、テレーズさんに怒られちゃう。

「あの、ローランドさん。今週末って、お暇ですか?」
「んー、太陽の日のお昼なら。どうかしたの?」

 太陽の日……つまり日曜日のお昼なら空いているんだ。
 そこならテレーズさんも大丈夫そうだね。

「あの、実はお願いがありまして。その日、何も言わずに会っていただけないでしょうか」
「それは構わないけど……えっと、デートのお誘いかな?」
「そ、そういうんじゃないですってば!」
「あはは。うん、ルーシーはそういう事を言いそうにないよね」
「む……まぁ確かに言いませんけど」

 うーん。何だか凄くからかわれている感じがするんですけどー。

「いや、むしろ僕からすると、そっちの方が助かるんだ。これでも貴族の息子だからね。言い寄ってくる女性がそれなりに居て、ウンザリしているんだよ」
「あー、ローランドさんって、実はモテるんですね」
「僕としては、そういう事よりも、自分のスキルを磨きたいんだけどね。一先ずルーシーなら構わないよ。じゃあ、太陽の日のお昼に。何処かで待ち合わせで良いのかな?」

 とりあえず、無事にローランドさんと約束を取り付けられた。
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