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第35話 ルーシーのスープ
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「お姉様。私に……私にやらせてください」
「じゃあ、ナーシャちゃん、お願い出来る? ごめんねー。私、魔力を注ぎ方とか分からなくって」
「…………お姉様っ! 軽いですっ! 魔力が無いと言われ続けてきた私が、お姉様の為に勇気を振り絞って魔力を注いでみようとしているんですっ! もっと、応援をお願いしますっ!」
えーっと、私にはピンと来ないけど、これってきっと凄い事……なのよね?
「せやな。ナーシャがこないに勇気を出して、頑張ろうとしてるんや。お嬢ちゃんも応援したってや! ナーシャならいけるでっ! お嬢ちゃんの魔力のリンゴを食べたんやからなっ!」
「そうだね。ナーシャちゃん頑張れっ! 体内に魔力が巡っているよっ! ナイス魔力っ! ……お姉ちゃんも、応援してあげて」
「な、ナーシャちゃん。が、頑張れー」
ダニエルとセシルに倣い、応援すると、
「わかりました! 皆が期待してくれていますし、私……やってみます!」
ナーシャが魔力を注いでくれる事に。
ヒート・プレートの端に手を添えたナーシャが目を閉じ、少しして目を開く!
「はぁっ!」
「おぉっ! えぇでっ! ナーシャ、えぇ感じやっ!」
「うんっ! その板にしっかり魔力が流れ込んでいるよっ!」
私には魔力の流れが見えないけど、ダニエルとセシルの様子を見ている限りでは、上手くいっているみたい。
なので、水魔法で水を入れておいたお鍋を持ってきて、ナーシャちゃんがOKと言ってくれるのを待つ。
……あれ? まだなのかな?
困惑しながらナーシャちゃんの顔を見てみると、ナーシャちゃんも私を見てくる。
「あのお姉様。まだ置かないんですか?」
「あ、置いても良かったのね。ごめんね」
ナーシャちゃんが魔力を注いでくれているヒート・プレートの上にお鍋を置くと、切っておいた具材を入れて、一煮立ちさせたらコンソメを入れて、塩胡椒で味を整えて……出来上がりっ!
調味料は今日買った、この世界の物だけど、食材――と言っても、タマネギとかブロッコリーくらいだけど――は、ダニエルに耕してもらって私が植えた物だ。
多分、魔力が増えるだろうし、ナーシャちゃんも喜んでくれると思う。
「出来たよー! 時間が遅いから、簡単なスープだけど」
ナーシャちゃんと私、それからセシルの分はカップに。
ダニエルの分は浅いお皿に入れてあげると、
「お姉様、ありがとうございます。えっと、いただきます。……温かくて、身体の中からポカポカします」
「ちょっと熱いけど……うん。旨いな」
「うんっ! お姉ちゃんのスープ、とっても美味しいよ。優しい味がする」
皆から、それぞれ褒めて貰えた。
私も一口飲んでみて、思っていた通りのコンソメスープで安堵していると、突然ダニエルが慌てだす。
「ん……んんっ!? 何やっ!?」
「どうかした? もしかして、虫でも入ってたの!?」
「いや、そんなんとちゃうねん。なんや、身体の中が熱くて……上手く言われへんねんけど、身体の内側から何かが溢れ出てきそうなやねん!」
「ど、どうしよう!? えっと、病院!? ……そ、そうだ! 治癒魔法を……」
「アカン! 何か……何か、アカンでぇっ!」
私が治癒魔法を使うよりも先に、ダニエルが叫び、その身体が真っ白に輝いた。
「だ、ダニエルっ!? 大丈夫なの、ダニエルっ!」
白く輝き、何が起こっているか見えないけれど、少しすると光が収まって、
「……え!? マジか!? これ、どないしたら、えぇねん!」
ダニエルの居た場所に、ダニエルと同じ声の……男性が立っていた。
「じゃあ、ナーシャちゃん、お願い出来る? ごめんねー。私、魔力を注ぎ方とか分からなくって」
「…………お姉様っ! 軽いですっ! 魔力が無いと言われ続けてきた私が、お姉様の為に勇気を振り絞って魔力を注いでみようとしているんですっ! もっと、応援をお願いしますっ!」
えーっと、私にはピンと来ないけど、これってきっと凄い事……なのよね?
「せやな。ナーシャがこないに勇気を出して、頑張ろうとしてるんや。お嬢ちゃんも応援したってや! ナーシャならいけるでっ! お嬢ちゃんの魔力のリンゴを食べたんやからなっ!」
「そうだね。ナーシャちゃん頑張れっ! 体内に魔力が巡っているよっ! ナイス魔力っ! ……お姉ちゃんも、応援してあげて」
「な、ナーシャちゃん。が、頑張れー」
ダニエルとセシルに倣い、応援すると、
「わかりました! 皆が期待してくれていますし、私……やってみます!」
ナーシャが魔力を注いでくれる事に。
ヒート・プレートの端に手を添えたナーシャが目を閉じ、少しして目を開く!
「はぁっ!」
「おぉっ! えぇでっ! ナーシャ、えぇ感じやっ!」
「うんっ! その板にしっかり魔力が流れ込んでいるよっ!」
私には魔力の流れが見えないけど、ダニエルとセシルの様子を見ている限りでは、上手くいっているみたい。
なので、水魔法で水を入れておいたお鍋を持ってきて、ナーシャちゃんがOKと言ってくれるのを待つ。
……あれ? まだなのかな?
困惑しながらナーシャちゃんの顔を見てみると、ナーシャちゃんも私を見てくる。
「あのお姉様。まだ置かないんですか?」
「あ、置いても良かったのね。ごめんね」
ナーシャちゃんが魔力を注いでくれているヒート・プレートの上にお鍋を置くと、切っておいた具材を入れて、一煮立ちさせたらコンソメを入れて、塩胡椒で味を整えて……出来上がりっ!
調味料は今日買った、この世界の物だけど、食材――と言っても、タマネギとかブロッコリーくらいだけど――は、ダニエルに耕してもらって私が植えた物だ。
多分、魔力が増えるだろうし、ナーシャちゃんも喜んでくれると思う。
「出来たよー! 時間が遅いから、簡単なスープだけど」
ナーシャちゃんと私、それからセシルの分はカップに。
ダニエルの分は浅いお皿に入れてあげると、
「お姉様、ありがとうございます。えっと、いただきます。……温かくて、身体の中からポカポカします」
「ちょっと熱いけど……うん。旨いな」
「うんっ! お姉ちゃんのスープ、とっても美味しいよ。優しい味がする」
皆から、それぞれ褒めて貰えた。
私も一口飲んでみて、思っていた通りのコンソメスープで安堵していると、突然ダニエルが慌てだす。
「ん……んんっ!? 何やっ!?」
「どうかした? もしかして、虫でも入ってたの!?」
「いや、そんなんとちゃうねん。なんや、身体の中が熱くて……上手く言われへんねんけど、身体の内側から何かが溢れ出てきそうなやねん!」
「ど、どうしよう!? えっと、病院!? ……そ、そうだ! 治癒魔法を……」
「アカン! 何か……何か、アカンでぇっ!」
私が治癒魔法を使うよりも先に、ダニエルが叫び、その身体が真っ白に輝いた。
「だ、ダニエルっ!? 大丈夫なの、ダニエルっ!」
白く輝き、何が起こっているか見えないけれど、少しすると光が収まって、
「……え!? マジか!? これ、どないしたら、えぇねん!」
ダニエルの居た場所に、ダニエルと同じ声の……男性が立っていた。
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