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第34話 可愛いナーシャちゃん
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「しゅごいっ! 魔力……魔力が増え……ぶふっ!」
「だ、大丈夫? 落ち着いて。別にリンゴは逃げないから」
「す、すみません。一口かじる毎に魔力が増えるのが凄すぎまして」
リンゴをかじっていたナーシャさんがむせてしまったので、優しく背中をさすってあげる。
なんて言うか……ナーシャさんが小柄で細身のせいか、妹のように思えてしまう。
まぁ多分エルフだし、私よりも……日本での私よりも年上なんだろうけど。
そんな事を考えていたら、突然ナーシャさんが泣き出してしまう。
「うぅ……」
「えっ!? ど、どうしたのっ!?」
「このリンゴ……今まで食べた物の中で一番美味しいし、魔力も増えるし、もっと沢山食べたいのに、噛むのが疲れてしまって」
噛むのに疲れるって何!? 身体……弱過ぎないっ!? 色々と大丈夫!?
というか、泣かないでっ!
「そ、そうだ! ほら、これならどうかしら」
倉庫魔法を使って、今日買ったばかりのコップとおろし金を取り出すと、ナーシャさんが食べ切れなかったリンゴをすり下ろしてあげる。
全てすり下ろして、ジュースにしてあげると、また泣きだしてしまった。
「う、うぅぅ……」
「どうしたのっ!? これなら噛まなくても飲めるわよ!?」
「そ、そうじゃなくて、ルーシーさんが優し過ぎて……私、エルフのくせに魔力が無いって虐められて言われてきたから。こんなに優しくされたのは初めてで……」
ナーシャさんは大変だったんだなぁと思いながから、優しく頭を撫でてあげると、私の胸に飛び込んできた。
うん。ナーシャさん……ううん、ナーシャちゃんは私の妹よ!
今、そう決めたんだから!
「ナーシャちゃん! お腹空いてない? お姉ちゃんが、何か作ってあげる!」
「お。じゃあ、ワイにも頼むわ」
「ボクもボクもー! お姉ちゃんのご飯食べたーい!」
えーっと、私はナーシャちゃんに作ってあげるって言ったんだけど、どうしてダニエルとセシルの方が早く反応するのだろうか。
一方、ナーシャちゃんを見てみると、リンゴジュースを飲みながら、小さく頷く。
よし。時間も時間だから、あっさりめのスープにしようと思い、先ずは倉庫魔法から包丁と、まな板を取り出す。
「ま、待ってください! ルーシーさんは先程も、いつの間にかコップを出されてましたよね? もしかしなくても、倉庫魔法が使えるんですね!?」
「え? ま、まぁ……うん」
「凄いっ! ルーシーさんの事を師匠って呼んで良いですか!?」
「待って! 私はそんなに凄い人じゃないし、教える事も出来ないからっ!」
これは本当。
ユリシアの力を借りているだけで、私一人では魔法なんて一切使えないんだからっ!
一先ず師匠って呼ぶのはやめてもらったんだけど、
「お姉様。何か手伝う事はありませんか? 私、魔法が使えない分、雑用を沢山やってきましたので、何でもやりますよっ!」
「あ、ありがとう。でも、大丈夫だからね」
何故か私の事を、ナーシャちゃんがお姉様と呼ぶようになってしまった。
とりあえず、ナーシャちゃんには待ってもらう事にしたんだけど、
「って、しまったーっ! ダニエル、セシル! このヒート・プレートに魔力を注いでくれないかな? 魔力を注ぐだけで、お鍋を温められるんだけど、私には上手く出来なくて」
「いや、お嬢ちゃん。それ、人間用やろ? ワイやセシルの魔力を注いだら壊れてまうと思うで」
「そんなぁー!」
肝心のヒート・プレートが、私には使えない事に気付いてしまった。
「だ、大丈夫? 落ち着いて。別にリンゴは逃げないから」
「す、すみません。一口かじる毎に魔力が増えるのが凄すぎまして」
リンゴをかじっていたナーシャさんがむせてしまったので、優しく背中をさすってあげる。
なんて言うか……ナーシャさんが小柄で細身のせいか、妹のように思えてしまう。
まぁ多分エルフだし、私よりも……日本での私よりも年上なんだろうけど。
そんな事を考えていたら、突然ナーシャさんが泣き出してしまう。
「うぅ……」
「えっ!? ど、どうしたのっ!?」
「このリンゴ……今まで食べた物の中で一番美味しいし、魔力も増えるし、もっと沢山食べたいのに、噛むのが疲れてしまって」
噛むのに疲れるって何!? 身体……弱過ぎないっ!? 色々と大丈夫!?
というか、泣かないでっ!
「そ、そうだ! ほら、これならどうかしら」
倉庫魔法を使って、今日買ったばかりのコップとおろし金を取り出すと、ナーシャさんが食べ切れなかったリンゴをすり下ろしてあげる。
全てすり下ろして、ジュースにしてあげると、また泣きだしてしまった。
「う、うぅぅ……」
「どうしたのっ!? これなら噛まなくても飲めるわよ!?」
「そ、そうじゃなくて、ルーシーさんが優し過ぎて……私、エルフのくせに魔力が無いって虐められて言われてきたから。こんなに優しくされたのは初めてで……」
ナーシャさんは大変だったんだなぁと思いながから、優しく頭を撫でてあげると、私の胸に飛び込んできた。
うん。ナーシャさん……ううん、ナーシャちゃんは私の妹よ!
今、そう決めたんだから!
「ナーシャちゃん! お腹空いてない? お姉ちゃんが、何か作ってあげる!」
「お。じゃあ、ワイにも頼むわ」
「ボクもボクもー! お姉ちゃんのご飯食べたーい!」
えーっと、私はナーシャちゃんに作ってあげるって言ったんだけど、どうしてダニエルとセシルの方が早く反応するのだろうか。
一方、ナーシャちゃんを見てみると、リンゴジュースを飲みながら、小さく頷く。
よし。時間も時間だから、あっさりめのスープにしようと思い、先ずは倉庫魔法から包丁と、まな板を取り出す。
「ま、待ってください! ルーシーさんは先程も、いつの間にかコップを出されてましたよね? もしかしなくても、倉庫魔法が使えるんですね!?」
「え? ま、まぁ……うん」
「凄いっ! ルーシーさんの事を師匠って呼んで良いですか!?」
「待って! 私はそんなに凄い人じゃないし、教える事も出来ないからっ!」
これは本当。
ユリシアの力を借りているだけで、私一人では魔法なんて一切使えないんだからっ!
一先ず師匠って呼ぶのはやめてもらったんだけど、
「お姉様。何か手伝う事はありませんか? 私、魔法が使えない分、雑用を沢山やってきましたので、何でもやりますよっ!」
「あ、ありがとう。でも、大丈夫だからね」
何故か私の事を、ナーシャちゃんがお姉様と呼ぶようになってしまった。
とりあえず、ナーシャちゃんには待ってもらう事にしたんだけど、
「って、しまったーっ! ダニエル、セシル! このヒート・プレートに魔力を注いでくれないかな? 魔力を注ぐだけで、お鍋を温められるんだけど、私には上手く出来なくて」
「いや、お嬢ちゃん。それ、人間用やろ? ワイやセシルの魔力を注いだら壊れてまうと思うで」
「そんなぁー!」
肝心のヒート・プレートが、私には使えない事に気付いてしまった。
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