悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

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第33話 ダニエルのお友達

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「……という訳で、このヒート・プレートを使いたいんだけど、使い方が分からないのよ」
『んー、この板の魔力構造を見る限り、物凄くシンプルですよ? 魔力を注げば熱を発し、注いだ魔力量に応じて火力を上げるだけみたいですし』

 テレーズさんが帰った後、途方に暮れていたけど、ユリアナに聞いてみたら、あっさり使い方が分かってしまった。
 ヒート・プレートは、魔力を注くだけで簡単に使えるそうなので、早速魔力を注いで……

「って、その魔力の注ぎ方が分からないんだってば」

 すぐに絶望する事に。

「……ユリアナ。一度、お手本として魔力を注いでくれないかな?」
『あの、私の魔力は人間とは違うので、やめておいた方が良いかと。最悪、壊れてしまうかもしれませんし』
「そうなんだ。んー、じゃあダニエルたちでもダメかな?」
『何とも言えませんね。魔法を使う獣は、いわゆる魔獣と呼ばれるのですか、人間と魔獣の魔力の違いが私には分かりませんので』

 うーん。セシルとダニエルに、とりあえず試してもらうっていうのもアリだけど、壊れちゃったら困るし……一先ず相談してみようかな。
 転移魔法を使って森へ行くと、

「お、やっと来たな。お嬢ちゃん」
「お姉ちゃん、おかえりー!」

 早速ダニエルとセシルが近寄って来た。

「二人とも、昨日はありがとう! おかげで、欲しかった物が買えたの! で、いつもと同じで申し訳ないんだけど、リンゴとか大豆とかを生み出すね」
「おー、そうかそうか。お嬢ちゃんの欲しいもんが無事に手に入ったなら、よかったわ。あ、せっかくやから、枝豆はいただくけどな」
「わーい! お姉ちゃん、ありがとー!」

 お礼の食べ物を生み出すと、すぐに食べ始めたんだけど、ダニエルが何かを思い出したらしく、突然動きを止める。

「あかんあかん。大好物の大豆を出してもろてスッカリ忘れてもーたけど、今日はワイのツレが来てんねん。お嬢ちゃんに紹介するわ。ナーシャ……ナーシャ!」

 そういえば、昨日ダニエルがお友達を連れて来るって言っていたよね。
 ダニエルのお友達だから、やっぱり鹿さんかな?
 意表を突いてトナカイだったりして。
 そんな事を考えながら待っていると、

「……はじめまして。ナーシャです。あの、凄いリンゴがあると聞きまして、ダニエルさんに連れて来てもらいました」
「…………え? えぇぇぇっ!? あ、あの……に、人間の女の子っ!?」

 まさかの金髪美少女を連れて来た。
 一体、どういう繋がりなのかと思っていると、

「あ、私は人間ではないです。これでもエルフなんですけど……やっぱり魔力が少ないからですか? 魔力が多いと言われるエルフなのに、人間並みに魔力が少ないから、人間と間違えちゃったんですね!?」
「ち、違います! 私がエルフを見るのが初めてだったので、間違えちゃっただけなんですっ!」

 まさかのエルフぅぅぅっ!
 しかも、よく分からないけど、何か訳ありっていうか、自虐的なんだけどっ!
 というか、ときメイにエルフが居たなんて知らなかったよ。

「えっと、私はルーシーって言います。この森から少し行った所にある魔法学園に通っています。どうぞ宜しくお願い致します」
「こちらこそ……と、ところで、食べるだけで魔力が増えるリンゴは……あっ! もしかして、コレですか!? 食べても良いですか!? というか、お願いですから、食べさせてくださいっ!」
「それは構わないですが、程々に……って、ナーシャさん!? 私の話を聞いてました!? ナーシャさんっ!?」

 突然現れた金髪エルフが、一心不乱にリンゴをかじり始めた。
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