悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

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第27話 特別棟

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「テレーズさん。ごめんなさい。さっきのお買い物の件なんだけど、明日にしてもらっても良いかな? ちょっと急な予定が入っちゃって」
「それは構いませんが、午前中でも宜しいでしょうか。午後は、ルーシー様の夕食のご準備をして、屋敷へ戻らないといけないので」
「うん! 大丈夫!」

 テレーズさんには悪いけど、どうしてもヒート・プレートが欲しいんだよね。
 セシルたちが、魔力の向上する日本のリンゴと何かを交換してきてくれると言っているので、それを学校で買い取ってもらって……って、あれ? 入学直後の一年生がドロップアイテムの買取ってしてもらえるのかな?
 それに、週末って寮の食堂がやってないくらいだし、そもそも買取屋さんも閉まっているのでは?

「テレーズさん。ちょ、ちょっとだけ待っててね」
「ルーシー様? また何処かへお出掛けですか?」
「今度はすぐに戻るからー!」

 寮を飛び出すと、急いで学園の特別棟へ。
 ここは、その名の通り、音楽やダンスにマナーなどといった、魔法以外の授業をする教室が集まっている。
 なんせ王子や貴族が通う学園だからね。
 辺境へ飛ばされる事が確定している私なんかはともかく、皆は魔法以外にも学ぶ事が沢山あるみたい。
 ……と、それはさておき、特別棟の一階の端に、買取屋さんがある。
 その辺で拾った薬草だろうと、ダンジョンで遭遇した魔物の素材であろうと、基本的に何でも買い取ってくれるのだが、

「あー、やっぱり休みなのね」

 案の定閉まっていた。
 まぁ週末は部活動も原則休みだし、日本の学校とは違うわよね。
 完全週休二日制で宿題も無いし、授業らしい授業もしていないし……ここの学園の先生って、やっぱり楽なんじゃないの?
 そんな事を考えながら、トボトボと寮へ戻り、テレーズさんに出迎えられる。

「ただいまー」
「おかえりまさいませ。……ルーシー様? 先程までとは違い、随分と元気が無くなっておりますが、どうされました?」
「え? えーっと、実は菜園クラブの先輩が、要らないから売っても良いよって言われていた物があったから、それを換金してヒート・プレートを買おうと思っていたんだけど、それを買い取ってくれる所が閉まっていたから」
「ふむ。何かの種とかでしょうか? 私は農作物の知識はありませんが、街の買取屋なら知っておりますよ」
「本当っ!? テレーズさんは、何でも知っているのね」
「ふっふっふ。実は前職が冒険……いえ、何でもありません。では、明日はその買取屋へ寄ってから、お買い物へ参りましょう」

 やった! 後は、セシルたちが持ってきてくれる物次第ではあるけど、これで自分でお米が炊けるようになるっ!
 しかしそれにしても、テレーズさんって未だ若いよね?
 私……というか、ルーシーよりも少し上って感じで、二十歳くらいではないだろうか。
 それなのに、何かは分からないけど前職があるって……この世界は何歳から働くもの何だろう。
 ルーシーも卒業と同時に辺境に飛ばされるし、やっぱり十八歳から?
 でも、主人公のアメリアは、卒業後のエンディングで……あー、大体どのルートに進んでもお嫁さんよね。
 唯一バッドエンドだったら……魔法大学校に進学だっけ?
 まぁ私には関係のない話だから、考えても仕方が無いか。
 それから、夕食までテレーズさんと世間話をしたり、部屋の片付け方について小言を聞かされたりした後、

「では、私は従者用の部屋に居りますので、何かありましたら、そちらへご連絡願います」

 テレーズさんが別の部屋へ移ったところで、再び森へと移動する事にした。
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