悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

文字の大きさ
上 下
21 / 70

第21話 魔力向上の弊害?

しおりを挟む
 ダニエルから魔力の上がる木の実を貰った翌日。
 今日も火魔法の授業に来たけど、入学式を除いた四日間出席したものの……うん。結局、ディラック先生から何も教わってないんだけど。
 ひたすら意味不明な教科書を眺めていただけで、他の女子生徒みたいに質問にも行っていない。
 それなのに、

「おぉ、君! 凄いじゃないか! 昨日と比べて、大きく魔力が向上しているじゃないか。うん、しっかり勉強しているようだね」

 何故か大勢の女子生徒たちが並ぶ列を無視して、ディラック先生が私の前に居た。
 待って。どうして、私の魔力が増えている事が分かったの!?
 私は、一番最初の授業の日に少し言葉を交わしただけだよね?
 まさか、ディラック先生は、生徒全員の魔力を把握しているの!?

「……何、あの子。ディラック先生から声を掛けてもらっているんだけど」
「……というか、私たちディラック先生とお話しする為に並んでいるのに」
「……ズルい。絶対に何か悪い事をしている顔よね」

 って、列に並んでいる女子生徒たちから、物凄く睨まれているんですけどっ!
 あと、悪い事をしている顔……って言われても、ルーシーの普通の顔よっ!

「あ、ありがとうございます。引き続き頑張ります」
「そうだね。何かあったら、すぐに質問してくれれば良いからね」
「は、ははは……」

 やめてっ!
 女子生徒たちの視線がどんどん冷たくなっているからっ!
 うーん。やっぱり一気に魔力が四十も上がったのはマズかったのかも。
 ダニエルが沢山持って来てくれたとしても、一日一個とかの方が良いのかな?
 あ、でも、鮮度がどうとかって言っていたし……まぁまたダニエルが持ってきた時に考えようっと。
 一先ず、適当な愛想笑いでディラック先生と女子生徒たちをやり過ごし、放課後は菜園クラブへ。

「……という訳だったんですよっ!」
「あはは、ディラック先生っぽいね。前にも言ったけど、あの先生は本当に女子生徒を恋愛対象として見ていないからね」

 今日の火魔法の授業での出来事をローランドさんにグチりつつ、何かの種を植えていく。
 ローランドさんのお手伝いをしている訳だし、グチくらい聞いてもらっても良いよね?
 まぁこの後、火魔法を教えてもらうんだけどさ。

「ところで、これって何の種なんですか?」
「これ? 大豆だよ。最初に水を与えたら、発芽するまで水は要らないよ」
「そうなんですね。なるほど、覚えておきます」

 ラッキー。大豆って事は、お味噌や醤油が作れちゃうかも!
 ……まぁ流石にお米と違って、お味噌や醤油を作るゲームなんてやった事が無いから、作り方が分からないけど。
 とりあえず、発酵させる……のかな?
 ローランドさんの指示に従い、畑に大豆の種を埋め、水を撒いたら、次は魔法の修行。

「うん。確かに体内の魔力が増えているね。火魔法の基本である発火を行使するには十分すぎるくらいの魔力があるから、後はそれを外に出すだけなんだけど……」
「わかんないです」
「まぁ一度感覚を掴めば後は簡単だから、最初の壁を乗り越えられるように頑張ろうね」

 ローランドさんに励まされながら、全く成功しない火魔法の練習をし、帰り際に大豆の種を少し貰って、いつもの森へ。

「≪グロウ・プラント≫」

 早速、大豆を植えて大きく育てると、

「おっ! 大豆やないか! 大好物やねん! いただきまーす!」

 すぐさまダニエルに食べられてしまった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。

向原 行人
ファンタジー
土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する

鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】 余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。 いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。 一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。 しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。 俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~

うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」 探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。 探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼! 単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。 そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。 小さな彼女には秘密があった。 彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。 魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。 そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。 たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。 実は彼女は人間ではなく――その正体は。 チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。

処理中です...