悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

文字の大きさ
上 下
11 / 70

第11話 全く捗らない火魔法

しおりを挟む
 さて、いよいよ初めての授業だ。
 何としても自力で魔法を使えるようにならなきゃ!
 そう考え、気合いを入れて待っていると、続々と生徒が教室に集まってきた。
 かなり生徒が多い気もするけど、他の授業もこんな感じなのかな?
 ゲームでは他の生徒が何人くらい同じ授業を受けているか分からないけどね。

「……あの人が学園で一番格好の良いディラック先生なのね」
「……確かに格好良いわよね。確か、子爵家の次男でしたっけ」
「……そうよ。何でも、魔法の才能を見込まれ、学園長自らスカウトしに行ったらしいわよ」

 周囲の女子生徒たちがヒソヒソと話しているのが聞こえてくるけど、やっぱり凄い先生だから人気の授業みたいね。
 ただ、男子生徒よりも女子生徒の方が圧倒的に多い気もするけど。
 少し待つと、イケメン先生――もといディラック先生が口を開く。

「皆さん、おはようございます」
「きゃあぁぁぁっ!」
「僕は、この学園で火魔法の授業を担当するディラックと言います」
「きゃあぁぁぁっ!」

 いや、周囲の女子生徒がうるさ過ぎるんだけど。
 一言話す度に、黄色い声を上げるのはどうなの!?
 とりあえず、ディラック先生の話を纏めると、魔法学園での授業は、基本的にその科目において好きな事をして良いらしい。
 で、教科書を読んでも分からない場合は、教室にいる先生へ質問をして教えてもらう……って、要は自習って事!?
 このゲームシステムでの授業は先生が大変そうだと思っていたけど、これならメチャクチャ楽じゃん! というか、基本的に何もしないって事でしょ!?
 まぁでも、その分自分にあった、自分のペースで魔法の勉強が出来るから良いか。
 早速、火魔法の教科書をめくり、最初に書かれている意味不明な文章と格闘する事に。

――魔力は万物の源である――

 最初の一行目がこれなんだけど、その説明が何処にもない。
 何これ? というか、これの意味を教えて欲しいとか、そんな質問でも良いのだろうか。
 そんな事を考えて居ると、

「ディラック先生! ここが分からないので、教えてください!」

 既に先生の前に長蛇の列が出来ていた。
 ……嘘。皆、入学して最初の授業だよ!? いきなり、そんなに沢山質問する事があるの!?
 よく見れば、制服から二年生の女子生徒も並んでいる事が分かるけど……というか、質問の列に並んでいるのが女子生徒しか居ないんだけどっ!
 仕方なく、先程の一文は飛ばして、少しでも分かりそうな所から読んでいく事に。
 ……ただ、魔法を使う事が誰でも出来る前提だからか、そもそもの魔法の使い方とかが載っていなくて、いきなり火の精霊を召喚する方法だとか、魔法陣の例だとかが書かれている。
 精霊って何!? ユリアナみたいな存在の事を言うの!?
 とりあえず、列が短くなったら私も質問に並んでみようかと思ったんだけど、一時間目の授業が終わっても列は途切れず、列はそのままで二時間目の授業に突入し、三時間目も……って、全然無理っ!
 今朝みたいに、一番乗りで来て質問するのが良いのかな。

「あれ? よく見たら列は短くなっていないのに、教室に居る生徒は減ってる?」

 何気なく質問の列を眺めていて気付いたけど、教室内の人が少なくなっていた。
 ……あー、男子生徒が居なくなってるんだ。
 女子生徒はディラック先生と話したくて列に並んでいるのかもしれないけど、男子生徒は私みたいに、本当に分からない事があって質問したくても、これじゃあ質問出来ないもんね。
 一コマ毎に受講する授業は好きに変えられるから、先に違う科目から受けて、火魔法は後回しにするんだろうな。
 私もそうしたいけど、火魔法以外は一応使えるといえば使えるから……あ、結局教科書を眺めているだけで午前の授業が終わっちゃったけど……これ、大丈夫なのかな?
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。

向原 行人
ファンタジー
土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する

鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】 余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。 いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。 一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。 しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。 俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~

うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」 探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。 探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼! 単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。 そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。 小さな彼女には秘密があった。 彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。 魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。 そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。 たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。 実は彼女は人間ではなく――その正体は。 チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。

処理中です...