悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

文字の大きさ
上 下
10 / 70

第10話 火魔法の授業はイケメン先生

しおりを挟む
「いってきまーす!」
『いってらっしゃい』

 ユリアナに見送られながら、校舎へ向かう。
 まぁ世界樹の杖を持っているので、ユリアナと話そうと思えば何処でも話せるんだけど、こういうのは気分っていうか、無言で寮を出るより良いよね。
 とりあえず、今日から授業が始まるんだけど、学園生活の三年間の方針とにては、生活魔法を使えるようになる為、全ての属性を満遍なく習得する事だ。
 だけど、一番最初に取り組むのは、火魔法と決めていたりする。
 というのも、昨日も土魔法を使ったけど、ユリアナに力を借りれば、初級……つまり目標の生活魔法が既に使えちゃうのよね。
 火魔法以外は。
 ユリアナは木だからか、火魔法が使えないから、これは私が自分で使えるようにならないと。

「おはようございます。えっと、ルーシーさん……ですよね?」

 自分で選択した授業の教室へ行く前に、ホームルームがあるから一組の教室へ来たら、いきなりクラスの女の子に話し掛けられた。
 ……って、入学式で隣にいた、ルーシーの取り巻きの一人の子だ。

「お、おはよう。私はルーシーだけど……?」
「ですよねっ! 私は、昨日話し掛けたミリアって言うんですけど、覚えてらっしゃいますか?」
「え、えぇ」

 ど、どうしよう。
 何故、私から何もしていないのに話し掛けてきたの!?
 やっぱり私を悪役令嬢に仕立て上げたいって事!?
 私がルーシーだから、悪役令嬢に違いないし、それを受け入れた上で、エンディング後の事を考えてスキルの習得に勤しもうとしているのに。
 ゲーム内では名前の出て来なかったミリアが、親睦を深めようとしているらしく、他愛のない話を幾つか話してきて……一呼吸置く。
 何となく、今から本題に入るんだろうなと身構えると、ミリアが半歩間を詰める。

「あのっ! ルーシーさん。私に……」
「あ、ミリアさん。先生が来られましたよ」
「……そ、そうですね。では、後ほど」

 よ、良かった。
 ミリアには悪いけど、私には時間が無いのよ。
 この世界では誰でも使える魔法が使えない上に、辺境生活が確定しているんだもん。
 とりあえず、先生が何か喋っているけど、それを聞き流しながら、火魔法の教科書をチラ見する。
 昨日はまさかの消灯で、教科書が読めなかったから、予習も出来ていないけど……うん。何が書いてあるか、サッパリ分からないわね。
 何故か文字は日本語だから読めるんだけど、魔法理論って書かれた章とか、魔法陣っぽい絵とか、全然理解出来ない。
 内心頭を抱えているうちにホームルームが終わっていたので、ミリアにつかまらないようダッシュで教室を移動する。

「お。今年の一年生はやる気があるね。ここは火魔法の授業を行う教室だけど、受けたい授業とあっているかな?」
「はい! 先生、全然魔法の事が分からないんですが、どうぞ宜しくお願いします!」
「はっはっは。元気なお嬢さんだね。三年間、頑張ろうな」

 火魔法の先生は、名前は忘れたけど、おそらく二十代半ばのイケメン先生だ。
 高校にこんな先生が居たら、大人気になるんだろうな。
 実際、私だってちょっと良いと思う。
 日本で社会人だった私からすると、高校一年生の男子は、精神的に幼いんじゃないかなって思うんだよね。
 ……まぁルーシーが誰かと結ばれる事はないので、ただの酸っぱいブドウなんだけどねっ!
 さて、真面目に火魔法の勉強を頑張りますか。
 目指せ、生活魔法! 火を起こせるようになって、辺境で料理が出来るようになるんだっ!
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。

向原 行人
ファンタジー
土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する

鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】 余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。 いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。 一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。 しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。 俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~

うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」 探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。 探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼! 単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。 そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。 小さな彼女には秘密があった。 彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。 魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。 そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。 たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。 実は彼女は人間ではなく――その正体は。 チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

処理中です...