9 / 70
第9話 お米が無ければ、自分で植えれば良いじゃない
しおりを挟む
「この辺りなんて、どうかな?」
『良いのではないでしょうか。陽が落ちているのでわかりにくいですが、陽当たりも良いと思いますよ』
裏の森を少し歩き、世界樹からもダンジョンからも離れた、森の奥へとやってきた。
此処なら学校からも離れているし、何もないので、誰かがやって来る事もないだろう。
「じゃあ、先ずは稲を植える田んぼ作り……田起こしね」
『田起こし?』
「んー、こっちの世界的に言うと、畑作りなのかな? 要は、稲を植える地面から硬い石を取り除いたり、土を柔らかくしたりするんだよ」
……まぁ私も実際にやった事がある訳じゃなくて、ゲームの知識しか無いんだけどさ。
という訳で、大きな田んぼを作る訳ではないので、一畳分くらいの場所を田んぼにしようと決め、落ちていた石で線を引く。
よし! この線の中の石を全部取り除こう!
一畳分だし大した事がないよね……と、早速取り掛かり、あっという間に終わる。
次は地面を耕すんだけど……
「って、クワとか農具が何も無ーい!」
『ど、どうしたのですか?』
「ここの土を柔らかくしたいんだけど、道具が何も無いから、どうしようかと思って」
『道具……ですか。魔法ではダメなのでしょうか?』
「えっ!? そんな魔法もあるの!?」
『はい。土魔法は幾つか使えますから』
農具が無くて困っていたら、ユリアナが土魔法で出来ると教えてくれた。
流石、異世界ね。ゲームの中でさえ大変だった米作りが、魔法で出来ちゃうなんて。
「≪カルティベイト≫」
教えてもらった魔法を使うと、カッチカチだった地面がフワフワに。
しかも、地面の中にあった石も粉々になっているみたいで……これ、さっき私が石をどける必要なかったのね。
「じゃあ次は……」
『待ってください。そろそろ、休まれた方が良いのではないですか? 今朝のようにまた起きられなくなりますよ?』
「う……入学式に続いて、授業初日に遅刻は避けたいかも。……今日は帰ろうか」
無駄に石をどける作業をしてしまい、手も汚れているので、ユリアナの言う通り寮へ戻り、真っ先にお風呂へ。
やっぱり日本人ならお風呂よねー。
出来る事なら、自分の部屋にお風呂が欲しいけど、流石にそれは贅沢かな?
それにしても……暫く湯船の中でのんびりしているけど、誰も入って来ないのね。
お風呂へ入る習慣がない世界なの?
でも、それならそもそもお風呂がある訳ないし、どういう事だろうかと考えていたら、突然お風呂の照明が消え、真っ暗になる。
「えぇっ!? な、何が起こっているのっ!? 停電……は、この世界には無さそうだし、オバケ!? 超常現象!? な、何なのーっ!?」
ひとまず、大急ぎで湯船から出ると、おそるおそる脱衣所へ。
暫くすると目が慣れて来たので、とりあえず服を来て外へ。
自室へ戻る為に周囲を警戒しながら廊下を歩いていると、前から灯りを持った人が向かって来る。
良かった。寮母さんとかかな? きっと私みたいに困っている生徒を助けに来てくれたんだ……と思った所で、突然目の前の人が歩く速度を上げた。
な、何!? 実は寮母さんじゃなくて、オバケなの!?
ど、どうしよう! お風呂へ行くからって、世界樹の杖を部屋に置いてきちゃっている。これじゃあ、魔法が使えない!
逃げなきゃ! と思って、回れ右したところで、背中から声が掛けられる。
「こらっ! 貴女は……一年生のルーシーさんね!? 消灯時間はとっくに過ぎているのに、何をしているのっ!」
「え? 消灯時間?」
「そうよ。早く部屋に戻りなさい! ちなみに、消灯時間後に三回歩いているのを見かけたら、ペナルティとして夕食抜きになりますからね!」
昨日は窓から入って、すぐに寝ちゃったから知らなかったけど、消灯時間なんてあったんだ。
寮母さんに平謝りして、急いで自分の部屋へ。
とりあえず、オバケじゃなくて良かったよ。
『良いのではないでしょうか。陽が落ちているのでわかりにくいですが、陽当たりも良いと思いますよ』
裏の森を少し歩き、世界樹からもダンジョンからも離れた、森の奥へとやってきた。
此処なら学校からも離れているし、何もないので、誰かがやって来る事もないだろう。
「じゃあ、先ずは稲を植える田んぼ作り……田起こしね」
『田起こし?』
「んー、こっちの世界的に言うと、畑作りなのかな? 要は、稲を植える地面から硬い石を取り除いたり、土を柔らかくしたりするんだよ」
……まぁ私も実際にやった事がある訳じゃなくて、ゲームの知識しか無いんだけどさ。
という訳で、大きな田んぼを作る訳ではないので、一畳分くらいの場所を田んぼにしようと決め、落ちていた石で線を引く。
よし! この線の中の石を全部取り除こう!
一畳分だし大した事がないよね……と、早速取り掛かり、あっという間に終わる。
次は地面を耕すんだけど……
「って、クワとか農具が何も無ーい!」
『ど、どうしたのですか?』
「ここの土を柔らかくしたいんだけど、道具が何も無いから、どうしようかと思って」
『道具……ですか。魔法ではダメなのでしょうか?』
「えっ!? そんな魔法もあるの!?」
『はい。土魔法は幾つか使えますから』
農具が無くて困っていたら、ユリアナが土魔法で出来ると教えてくれた。
流石、異世界ね。ゲームの中でさえ大変だった米作りが、魔法で出来ちゃうなんて。
「≪カルティベイト≫」
教えてもらった魔法を使うと、カッチカチだった地面がフワフワに。
しかも、地面の中にあった石も粉々になっているみたいで……これ、さっき私が石をどける必要なかったのね。
「じゃあ次は……」
『待ってください。そろそろ、休まれた方が良いのではないですか? 今朝のようにまた起きられなくなりますよ?』
「う……入学式に続いて、授業初日に遅刻は避けたいかも。……今日は帰ろうか」
無駄に石をどける作業をしてしまい、手も汚れているので、ユリアナの言う通り寮へ戻り、真っ先にお風呂へ。
やっぱり日本人ならお風呂よねー。
出来る事なら、自分の部屋にお風呂が欲しいけど、流石にそれは贅沢かな?
それにしても……暫く湯船の中でのんびりしているけど、誰も入って来ないのね。
お風呂へ入る習慣がない世界なの?
でも、それならそもそもお風呂がある訳ないし、どういう事だろうかと考えていたら、突然お風呂の照明が消え、真っ暗になる。
「えぇっ!? な、何が起こっているのっ!? 停電……は、この世界には無さそうだし、オバケ!? 超常現象!? な、何なのーっ!?」
ひとまず、大急ぎで湯船から出ると、おそるおそる脱衣所へ。
暫くすると目が慣れて来たので、とりあえず服を来て外へ。
自室へ戻る為に周囲を警戒しながら廊下を歩いていると、前から灯りを持った人が向かって来る。
良かった。寮母さんとかかな? きっと私みたいに困っている生徒を助けに来てくれたんだ……と思った所で、突然目の前の人が歩く速度を上げた。
な、何!? 実は寮母さんじゃなくて、オバケなの!?
ど、どうしよう! お風呂へ行くからって、世界樹の杖を部屋に置いてきちゃっている。これじゃあ、魔法が使えない!
逃げなきゃ! と思って、回れ右したところで、背中から声が掛けられる。
「こらっ! 貴女は……一年生のルーシーさんね!? 消灯時間はとっくに過ぎているのに、何をしているのっ!」
「え? 消灯時間?」
「そうよ。早く部屋に戻りなさい! ちなみに、消灯時間後に三回歩いているのを見かけたら、ペナルティとして夕食抜きになりますからね!」
昨日は窓から入って、すぐに寝ちゃったから知らなかったけど、消灯時間なんてあったんだ。
寮母さんに平謝りして、急いで自分の部屋へ。
とりあえず、オバケじゃなくて良かったよ。
190
お気に入りに追加
1,409
あなたにおすすめの小説

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。

聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。
向原 行人
ファンタジー
土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。
とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。
こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。
土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど!
一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する
鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】
余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。
いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。
一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。
しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。
俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~
うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」
探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。
探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼!
単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。
そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。
小さな彼女には秘密があった。
彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。
魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。
そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。
たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。
実は彼女は人間ではなく――その正体は。
チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる