悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

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第6話 クラブ見学

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 ど、どうしよう。
 ケヴィン王子とは、中庭で出会うはず……違う! それは主人公アメリアの場合だ。しまった! 今の私はルーシーなのよっ!

「あの、本当に大丈夫ですか?」
「は、はい。すみません。ありがとうございます。そ、それでは失礼します!」

 お、思わず逃げてしまった。
 一応お礼は言ったし、大丈夫だよね?
 それから一年一組の教室へ行き、ゲームでルーシーの席だった場所へ座ってみる。
 ……誰からも何も言われないし、ここはゲームと同じみたいね。
 その後もゲームと同じで、担任の先生からシステム……じゃなくて、学園生活の進め方について説明を受ける。
 ときメイと全く同じで、毎日各教科の先生が授業を行っているから、自分の受けたい授業を受け、その能力を高めていくという方式だ。
 ……これって先生側は凄く大変だと思うけど、そういうゲームシステムなので仕方が無いんだけどね。

「とりあえず、私がやるべきなのは、各魔法を満遍なく高める事かな」

 学園卒業後に、騎士や冒険者を目指すなら、何か一つの能力に特化させて成長させるべきだけど、私は辺境で生きる事が目的だもんね。
 いわゆる生活魔法っていうのかな。
 火を起こしたり、水を出したりっていう、初歩的な事を出来るようにならないとね。
 ザッと見渡した感じ、攻略対象は同じクラスに居ないみたいだし、後はスキルの勉強に専念するだけ!
 ……ただ、何だろうな。
 何となく視線を感じる気がするんだよね。しかも、妬みというか、ちょっと暗い感じの視線を。
 ルーシーの美貌に惹かれた男子生徒との熱い眼差しとかだったら嬉しかったんだけど……いやいや、だからそういうのは期待しやいんだってば!

「では、本日は入学式なので、各教科のテキストを持ち帰ってもらうのと、クラブの見学で終了となります。今配った学園の地図に、クラブ活動の場所と、簡単な活動内容が書かれているので、気になる所があれば、是非見学に行ってみてください」

 クラブ活動かぁ。
 確か、フェンシングのクラブに入ると、剣術スキルを獲得出来るはずだけど、攻略対象のシリウス君も居るからなぁ。
 後は乗馬クラブで馬術スキルとか、錬金クラブで錬金術とか、色々なスキルが得られるんだけど、そっちも攻略対象が居る。
 だから、攻略対象が居なくて、辺境生活に役立ちそうなスキルが得られるクラブというと……ここ、かな。
 菜園クラブ……庭園の隅っこで野菜を作っていて、農業スキルが得られるから、辺境に行った後、自分で食べ物を作れると思うんだ。
 水魔法で水を出せるようにして、土魔法で土を耕せるようになれば、種さえあれば生きていけるようになるはず!
 という訳で、菜園クラブの見学に行き、その後は寮でスキルの勉強に励もうと思ったんだけど、

「やぁ、また会ったね。ルーシー。俺の方から誘いに行くつもりだったんだけど、君から来てくれるなんて、凄く嬉しいよ」

 何故かローランドさん……生徒会長が居たっ!

「ど、どうして生徒会長が、菜園クラブの説明を!?」
「あぁ、俺は生徒会と菜園クラブを掛け持ちしているからね」
「そ、そうなんですか……って、掛け持ちするにしても、どうして菜園クラブなんですか!? あまり農作業ってイメージが無いんですけど」
「……この学園を卒業したら、俺はいずれ家を継がないといけないからね。うちの領地は農業をしている者が多いから、領民がしている事を少しでも知っておいた方が良いだろ? それに領地経営については授業で学んでいるが、こういう事を学ぶ授業は無いからね」

 あー、ローランドさんは貴族で、領地経営に携わるからか。
 辺境に飛ばされて、自分で食べる為に農業を学ぼうとしている私とは大違いね。
 なんて事を考えていると、

「ルーシー。君は植物を操る魔法を使えるよね? 是非、この菜園クラブでその魔法を活かしてみないかい?」

 やっぱり私が木魔法を使える事がバレてたぁぁぁっ!
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