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第10章 聖剣と魔王

第324話 父への挨拶と、恐れおののく店員のお姉さん

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「ヘンリー……今の言葉を、もう一度言ってくれないか?」
「だから、ここに居るソフィア、ラウラと正式に結婚した。盛大に結婚式も挙げたし、結婚指輪も送った。あと、後ろに並ぶクレアとプリシラ、ヴィクトリーヌとドロシーとニーナとも、式は未だだが結婚した」
「な……なんと。話が凄すぎて、思わず聞き間違いかと思ったが、本当だったのか! よくやったぞ、ヘンリー! こんなAランク美少女とAAランク美幼女を妻に迎えるなんて! さぁ、ソフィアちゃんとラウラちゃん。お義父さんだ……よぐふぁっ!」

 一応、親族になるし、領主代行もやってもらっているので、父さんにソフィアたちの紹介に来たのだが……事もあろうに、ソフィアとラウラを抱きしめようとしたので、思いっきり蹴り飛ばしておいた。

「な、何をするんだ、ヘンリー! 父さんは、義理の娘となったソフィアちゃんとラウラちゃんと、親睦を深めようとしただけじゃないかっ!」
「親睦を深めるのに抱きつく必要はないだろ! 俺の嫁に手を出すなっ!」
「くっ……そんなに美少女を沢山はべらかしているんだから、一人くらい良いじゃないかっ! ……た、例えばエルフのルミちゃんとか」
「……父さん。結婚の報告をするため、この後母さんの所へ行くんだ。今の発言を母さんに……」
「すみませんでしたぁぁぁっ! どうか、どうか母さんには内密にっ! ……あ、ソフィアちゃん、ラウラちゃん。何かマジックアイテムで困った事があったら、お義父さんに相談してね」

 ……父さん。母さんの話を出した途端にスライディング土下座って、どうなんだ?
 というか、実は母さんってそんなに怖いのか?
 まぁ確かに気は短いし、ユーリヤを連れて実家に帰った時は、幼女をさらって来たと思われて、剣技まで放たれたけど……って、武術の心得の無い父さんには恐ろしい相手かもしれないな。
 一先ず、ソフィアたちから父さんに改めて挨拶をして、一旦解散となったので、

「ソフィアには、この屋敷に部屋を用意してもらっている。必要な物があれば用意するし、実家から持って来る物があれば、ソフィアのお父さんに挨拶へ行った時にでも、俺が運ぶよ」
「分かったわ。とりあえず、ウチのパパは、家に居ない事が多いから、挨拶には日程調整が必要ね」
「貴族だもんな。あと、俺の母さんにも紹介しようと思うんだけど、母さんは現役の騎士で、同じく家に居ない事が多いんだよな。先ずは母さんの都合を確認してくるから、それぞれ部屋で待っていてくれないか?」

 ノーマを探し出すと、ソフィアを自室へ案内してもらい、クレアたちも一旦自室へと戻ってもらう。
 ……何故かラウラは、自室へ戻ると言いながら、俺の部屋へ戻って行ったけど。
 ある意味ラウラはいつも通りなので、突っ込まずに実家へテレポートし、

「残念。留守か」

 家の中に人の気配が無いので、留守と判断した。
 父さんと俺が居なくなり、一人で暮らすには少し広い家だけど、母さんも屋敷へ呼んだ方が良いのだろうか?
 でも、未だ三十歳にもなっていないし、引退には早いか。
 まぁソフィアたちを連れて来た時に、それとなく聞いてみよう。
 何かスケジュールが分かる物が無いかと、暫くリビングを漁っていると、当番表らしきのを見つけた。

「えっと、今日は……夜まで帰って来ないのか。流石に、仕事終わりで疲れている所に来るのは悪いし、明日は……非番みたいだな」

 一先ず、準備したりする事もあるだろうからと、適当な紙を探しだし、書き置きをしておく。

――結婚しました。明日の昼過ぎに、妻を連れて挨拶に来るから、よろしく。ヘンリー――

 とりあえず、これを食卓に置いておいたので大丈夫だろう。
 再び屋敷に戻ると、今度はクレアたち五人の指輪を買えと言われてしまったので、

「すまん。ちょっと行ってくる」
「……いってらっしゃい」
「旦那様。早く帰って来て」

 ソフィアとラウラに見送られながら、王室御用達の宝石店へ。

「いらっしゃいませ。あら、先ほどの……あの、私共の商品に何か不具合でも?」
「いや、そういう訳じゃないんだ。この五人にも、結婚指輪を見繕って欲しくて」
「は? ……し、失礼しました。えっと……こ、こちらへどうぞ」

 店員のお姉さんが、驚愕の表情を浮かべているけれど、今日ソフィアとラウラに指輪を買って、それからすぐに違う五人の女性を連れて来たからな。
 まぁそういうリアクションになるのも、仕方がないよな。
 ……一先ず、新たに五つの指輪を購入し、

「ヘンリー様! あの、不束者ですが、どうぞ末永くよろしくお願い致します」
「旦那様。ボク、良い奥さんになれるように頑張るね」

 クレアとニーナから抱きつかれる。
 かと思えば、

「ふふっ……結婚指輪か。嬉しいものだな。今晩も楽しみにしているぞ」
「師匠! 自分、一生ついて行くッス! あと、その……激しいのをお願いしたいッス」
「ヘンリーさん。私は、夜は人並みで良いのです。激しくされたら……こ、壊れてしまいそうなのです」

 ヴィクトリーヌとドロシー、プリシラが大きな声でとんでもない事を言う。
 ほら、お姉さんの顔が引きつっているじゃないかっ!
 一先ず五人を連れて、逃げる様にして店を出ると、急いで屋敷へ戻る事にした。
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