288 / 343
第9章 ドワーフ婚姻試練
第285話 ドワーフの第二の試練
しおりを挟む
「ふむ。では大地の神の試練、第一の試練の品……確かに受け取った」
火酒を手に入れた後、ラウラとユーリヤだけを連れてドワーフの国に居るライマーの所へやって来た。
相変わらず、ライマーは父親モードでラウラに優しい目を向けているが、周囲にいるドワーフたちがずっと俺を睨んでいる。
別に嫌われるのも構わないし、襲い掛かられても負ける気はしないが、後で依頼する聖銀の加工は、ちゃんとしてくれよ。
「では、大地の神の試練、第二の試練を……」
「ん? その大瓶の中身を確認しなくて良いのか?」
「もちろん確認は行う。だがそれは今では無い」
「そうなのか? こちらとしては、早めに確認してもらって、ダメならもう一度調達しに行きたいのだが」
「何を言っておる。お主がラウラと共に持って来たこれらの品は、皆で一斉に確認する事と決まっておる。ワシだけ先に味を見るなど、許されんよ」
ふむ……よく分からんが、それがドワーフの文化だというのであれば仕方がないか。
「では、改めて第二の試練についてだが……二つ目の試練は、最高の肴を用意する事だ!」
「魚? それは生きている状態で持ってくるのか?」
「いや、生はダメだ。まだ日取りが確定していないからな。とにかく旨くて量がある物だ」
うーん。量がある……っていう事は、大きい魚で、かつ最高に旨い物か。
ドワーフが魚料理を求めるのは意外だな。
……いや、ドワーフだからこそか。土の中に住んでいると、海や川に行く事はない。
ならば、確かに魚は珍しい物となるだろう。
「分かった。旨い魚なら、何でも良いんだな?」
「もちろんだ。旨い肴なら、何でも良い」
次の試練の品を聞き、一先ず帰ろうとした所で、
「あー、ラウラや。婿殿には大事にしてもらっているのか?」
周囲のドワーフから離れ、完全に父親の表情となったライマーが近付いてきた。
「……大丈夫。この前、大勢の前で一生養うって言ってくれた」
「そうか。婿殿……娘を、孫を宜しく頼みますぞ」
まぁラウラの言った事は嘘ではない。
アオイの暴走をラウラに止めてもらう時に、そう言ってしまったからな。
だが孫は無理だろ。この身長差を考えてくれ。
喉まで言いかけた言葉を何とか飲み込み、空気を読んで、無言で会釈だけして去る事にした。
一先ずテレポートで屋敷に戻り、さっそく皆に聞いてみる。
「という訳で、聖銀を剣に加工して貰う為に、旨くて大きな魚が必要なんだが、誰か魚に関する情報を持っていないか?」
「……兄たん、少し違う。ラウラちゃんと結婚する為に肴が必要」
ラウラの言葉を完全にスルーしつつ、皆の意見を待つが、当然誰からも出てこない。
うーん。魚って事は海や河だけど、大きな魚っていう指定があるから、やっぱり海か?
海と言えば……あ、そうだ!
「あ、イロナ。海の家では魚料理とかを出して居なかったのか?」
「んー、私はお店に全然関わらせて貰えなかったからねー。でも、お店も村も海のすぐ近くだったし、誰かしら何か知っているかも」
「そうか。じゃあ、エルフの村でダークエルフに聞き込みしてみるか」
ラウラとユーリヤに、イロナを加えてエルフの村へ移動しようとした所で、
「ヘンリーさん。エルフの村へ行くなら、私も連れて行って貰って宜しいですか?」
「エリザベス? どうしたんだ?」
「いえ、エルフの村へ行く機会があれば、新たな取引商品を開拓したいと考えていましたので」
エリザベスから申し入れがあった。
流石はエリザベス。内政を全面的に任せている上に、こんな提案まで。
早速了承し、エリザベスも連れて行く為、ワープ・ドアを使った所で、
「おにいちゃん、あそんでーっ!」
「あ! ダメだよ!」
三姉妹の声が聞こえ、小さな何かが俺の胸に飛び込んできた。
「おにいちゃん! あそんで、あそんで、あそんでーっ!」
「えーっと、この感じだと、リオナか」
「そーだよー! ねー、あそぼーっ!」
リオナがじゃれるようにして、俺の腕にしがみ付く。
なんて言うか、変身してないけど、犬……だな。
見た目的にはユーリヤより年上のはずなんだが……あれかな。体力が有り余っているんだよな。
そうだ! 色々あって忘れていたけど、今こそあの……
「お兄ちゃん? どういう事なの!?」
ちょっと思い出した事があったんだけど、それを整理する前に、何故か不機嫌そうなルミが現れた。
「ルミ。連絡無しに突然来てしまって悪かったな。ちょっと急ぎの用事があって……」
「お兄ちゃん! ルミという未来のお嫁さんが居るのに、どうして女の子と抱き合ってるの!?」
……えーっと、ルミは何を言っているんだろうか。
火酒を手に入れた後、ラウラとユーリヤだけを連れてドワーフの国に居るライマーの所へやって来た。
相変わらず、ライマーは父親モードでラウラに優しい目を向けているが、周囲にいるドワーフたちがずっと俺を睨んでいる。
別に嫌われるのも構わないし、襲い掛かられても負ける気はしないが、後で依頼する聖銀の加工は、ちゃんとしてくれよ。
「では、大地の神の試練、第二の試練を……」
「ん? その大瓶の中身を確認しなくて良いのか?」
「もちろん確認は行う。だがそれは今では無い」
「そうなのか? こちらとしては、早めに確認してもらって、ダメならもう一度調達しに行きたいのだが」
「何を言っておる。お主がラウラと共に持って来たこれらの品は、皆で一斉に確認する事と決まっておる。ワシだけ先に味を見るなど、許されんよ」
ふむ……よく分からんが、それがドワーフの文化だというのであれば仕方がないか。
「では、改めて第二の試練についてだが……二つ目の試練は、最高の肴を用意する事だ!」
「魚? それは生きている状態で持ってくるのか?」
「いや、生はダメだ。まだ日取りが確定していないからな。とにかく旨くて量がある物だ」
うーん。量がある……っていう事は、大きい魚で、かつ最高に旨い物か。
ドワーフが魚料理を求めるのは意外だな。
……いや、ドワーフだからこそか。土の中に住んでいると、海や川に行く事はない。
ならば、確かに魚は珍しい物となるだろう。
「分かった。旨い魚なら、何でも良いんだな?」
「もちろんだ。旨い肴なら、何でも良い」
次の試練の品を聞き、一先ず帰ろうとした所で、
「あー、ラウラや。婿殿には大事にしてもらっているのか?」
周囲のドワーフから離れ、完全に父親の表情となったライマーが近付いてきた。
「……大丈夫。この前、大勢の前で一生養うって言ってくれた」
「そうか。婿殿……娘を、孫を宜しく頼みますぞ」
まぁラウラの言った事は嘘ではない。
アオイの暴走をラウラに止めてもらう時に、そう言ってしまったからな。
だが孫は無理だろ。この身長差を考えてくれ。
喉まで言いかけた言葉を何とか飲み込み、空気を読んで、無言で会釈だけして去る事にした。
一先ずテレポートで屋敷に戻り、さっそく皆に聞いてみる。
「という訳で、聖銀を剣に加工して貰う為に、旨くて大きな魚が必要なんだが、誰か魚に関する情報を持っていないか?」
「……兄たん、少し違う。ラウラちゃんと結婚する為に肴が必要」
ラウラの言葉を完全にスルーしつつ、皆の意見を待つが、当然誰からも出てこない。
うーん。魚って事は海や河だけど、大きな魚っていう指定があるから、やっぱり海か?
海と言えば……あ、そうだ!
「あ、イロナ。海の家では魚料理とかを出して居なかったのか?」
「んー、私はお店に全然関わらせて貰えなかったからねー。でも、お店も村も海のすぐ近くだったし、誰かしら何か知っているかも」
「そうか。じゃあ、エルフの村でダークエルフに聞き込みしてみるか」
ラウラとユーリヤに、イロナを加えてエルフの村へ移動しようとした所で、
「ヘンリーさん。エルフの村へ行くなら、私も連れて行って貰って宜しいですか?」
「エリザベス? どうしたんだ?」
「いえ、エルフの村へ行く機会があれば、新たな取引商品を開拓したいと考えていましたので」
エリザベスから申し入れがあった。
流石はエリザベス。内政を全面的に任せている上に、こんな提案まで。
早速了承し、エリザベスも連れて行く為、ワープ・ドアを使った所で、
「おにいちゃん、あそんでーっ!」
「あ! ダメだよ!」
三姉妹の声が聞こえ、小さな何かが俺の胸に飛び込んできた。
「おにいちゃん! あそんで、あそんで、あそんでーっ!」
「えーっと、この感じだと、リオナか」
「そーだよー! ねー、あそぼーっ!」
リオナがじゃれるようにして、俺の腕にしがみ付く。
なんて言うか、変身してないけど、犬……だな。
見た目的にはユーリヤより年上のはずなんだが……あれかな。体力が有り余っているんだよな。
そうだ! 色々あって忘れていたけど、今こそあの……
「お兄ちゃん? どういう事なの!?」
ちょっと思い出した事があったんだけど、それを整理する前に、何故か不機嫌そうなルミが現れた。
「ルミ。連絡無しに突然来てしまって悪かったな。ちょっと急ぎの用事があって……」
「お兄ちゃん! ルミという未来のお嫁さんが居るのに、どうして女の子と抱き合ってるの!?」
……えーっと、ルミは何を言っているんだろうか。
0
お気に入りに追加
1,338
あなたにおすすめの小説
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる