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第9章 ドワーフ婚姻試練
第270話 幼女保護活動?
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「ラウラが自分から何かするなんて珍しいな」
「……早く終わらせて、あの兄たんのフカフカベッドで寝たい。あのベッドは凄い。ドワーフをダメにするベッド」
いや、ドワーフをダメに……というか、ラウラだけじゃないのか?
それに、特別でも何でもなくて、普通のベッドなんだけど。
まぁドワーフの、あの地中に住んでいる環境からすれば、かなり良いとは思うけどさ。
一先ず、ラウラのやる気を削がない為にも黙っていると、
「アース・ハンド」
ドワーフの魔法なのだろうか。
俺に抱えられたままのラウラが、聞いた事の無い魔法を使う。
一体どういう効果なのかと思っていると、
「うぇっ!? な、何だい!? 何なのさっ!?」
「これは……手? ちょっと、お嬢ちゃん!? 一体、どういう魔法を使ったのだ!?」
「……問題ない。ラウラちゃんのオリジナル魔法。そのまま立って居るだけで良い」
地面――舗装されていない、ただの土がむき出しになった街道から、土で出来た手が生えてきた。
その手が、俺とアタランテ、ヴィクトリーヌの足首を掴む。
「……兄たんは、ラウラちゃんとユーリアちゃんをしっかり抱えて」
「ん? あぁ、分かった」
「……じゃあ、出発」
ラウラがそう言った直後、地面から生えた土の手が、凄い速さで街道を進んで行く。
……俺たちの足を掴んだまま。
『どうやら土の精霊の力で、足元の土を手の形にして、それを任意の方角へ高速移動させる魔法みたいですね』
(みたいだな。まぁラウラらしい魔法だな。要は自分で歩きたくないから、精霊に運んでもらおうって事だろ?)
『そういう用途みたいですね。ただ、速過ぎてアタランテさんとヴィクトリーヌの身体が斜めになってしまっていますが』
アオイに言われて見てみると、二人が辛うじて立っているというか、足が先行して、横になった身体が引っ張られているだけというか。
まぁ二人とも女性だし、筋肉が少ないから仕方ないのかもしれないけど……これって、ラウラが使う時はどうしているんだ? 引き回しの拷問みたいになるんじゃないか?
「ラウラ。これ、ラウラが使う時って、大丈夫なのか?」
「……大丈夫。一人なら、この手を全てラウラちゃんだけに使う。だから、手と腰と足を持ってくれるから、寝転んで居るだけで目的地に着く」
「そ、そうか」
どうやら本来六つの手で支える物を、三人に使っているから足だけを引っ張られる事になっているらしい。
だが、それ以前に寝転びながら移動するという予想の斜め上を行く発想の回答が来た所で、
「にーに。まえ、ぶつかる」
ユーリヤに言われて前方に目をやると、ぞろぞろと街道を歩く集団が居た。
やばいぞ。このままでは、直撃するんだが。
「ラウラ。前の方に、街道を歩いている集団があるんだが」
「……残念。この魔法は、急に止まれない」
おぃぃぃっ! 流石にこれは突っ込まざるを得ないと思っていると、ユーリヤの言っていた集団が索敵魔法に引っ掛かる。
という事は、あの集団は魔物なのか!
確かにユーリヤはぶつかると言っただけで、人間に……とは言っていない。
しかし、どうして魔物が群れで、しかも街道を歩いているんだ?
いや、今はそんな事よりも、直撃を避けなければ。結構な速度が出ているから、俺やユーリヤはともかく三人がヤバい。
その中でもラウラは自業自得……って訳にもいかないな。
……そうだっ!
「マテリアライズ」
高速で移動している俺たちを守るように、具現化魔法で前方に土の壁を作ると、炸裂音と共に魔物たちが吹き飛んで行く。
ま、まぁ相手が魔物なので、良しとしよう。
そのまま時々現れる魔物の群れを弾き飛ばしながら、次の街――帝都ではなく、中継地点の街――へと到着した。
……ちなみに、アタランテとヴィクトリーヌは半泣きだったが。
一先ず偽名身分証を見せて中へと入ったが、最初に居たピーマセンスの街よりも更に酷く、通りに人が少なく、街全体の雰囲気が暗くて、重い。
とりあえず一応酒屋だけでも見てみようと思った所で、
「お花……おにいちゃん、お花かってよ」
ボロボロの服を纏った、ユーリヤよりも少し大きいくらいの女の子が、小さな花を差し出してきた。
正直言って、嫌な予感がしつつも、
「……えっと、君のお母さんやお父さんは、どうしているのかな?」
「……いない。へーしにつれてかれて、しんじゃったって」
最悪の答えが返ってくる。
「……貴方」
「……ヘンリー殿」
うん、わかった。皆まで言わなくていいよ。
「……えっと、お兄ちゃんの家に来る? この街には戻ってこれないけど、ご飯は食べられるよ?」
「……いいの!? 行く! ごはん、たべたい!」
レオナと名乗る九歳の女の子を保護する事になって……あれ? 日に日に幼女が増えてない?
「……早く終わらせて、あの兄たんのフカフカベッドで寝たい。あのベッドは凄い。ドワーフをダメにするベッド」
いや、ドワーフをダメに……というか、ラウラだけじゃないのか?
それに、特別でも何でもなくて、普通のベッドなんだけど。
まぁドワーフの、あの地中に住んでいる環境からすれば、かなり良いとは思うけどさ。
一先ず、ラウラのやる気を削がない為にも黙っていると、
「アース・ハンド」
ドワーフの魔法なのだろうか。
俺に抱えられたままのラウラが、聞いた事の無い魔法を使う。
一体どういう効果なのかと思っていると、
「うぇっ!? な、何だい!? 何なのさっ!?」
「これは……手? ちょっと、お嬢ちゃん!? 一体、どういう魔法を使ったのだ!?」
「……問題ない。ラウラちゃんのオリジナル魔法。そのまま立って居るだけで良い」
地面――舗装されていない、ただの土がむき出しになった街道から、土で出来た手が生えてきた。
その手が、俺とアタランテ、ヴィクトリーヌの足首を掴む。
「……兄たんは、ラウラちゃんとユーリアちゃんをしっかり抱えて」
「ん? あぁ、分かった」
「……じゃあ、出発」
ラウラがそう言った直後、地面から生えた土の手が、凄い速さで街道を進んで行く。
……俺たちの足を掴んだまま。
『どうやら土の精霊の力で、足元の土を手の形にして、それを任意の方角へ高速移動させる魔法みたいですね』
(みたいだな。まぁラウラらしい魔法だな。要は自分で歩きたくないから、精霊に運んでもらおうって事だろ?)
『そういう用途みたいですね。ただ、速過ぎてアタランテさんとヴィクトリーヌの身体が斜めになってしまっていますが』
アオイに言われて見てみると、二人が辛うじて立っているというか、足が先行して、横になった身体が引っ張られているだけというか。
まぁ二人とも女性だし、筋肉が少ないから仕方ないのかもしれないけど……これって、ラウラが使う時はどうしているんだ? 引き回しの拷問みたいになるんじゃないか?
「ラウラ。これ、ラウラが使う時って、大丈夫なのか?」
「……大丈夫。一人なら、この手を全てラウラちゃんだけに使う。だから、手と腰と足を持ってくれるから、寝転んで居るだけで目的地に着く」
「そ、そうか」
どうやら本来六つの手で支える物を、三人に使っているから足だけを引っ張られる事になっているらしい。
だが、それ以前に寝転びながら移動するという予想の斜め上を行く発想の回答が来た所で、
「にーに。まえ、ぶつかる」
ユーリヤに言われて前方に目をやると、ぞろぞろと街道を歩く集団が居た。
やばいぞ。このままでは、直撃するんだが。
「ラウラ。前の方に、街道を歩いている集団があるんだが」
「……残念。この魔法は、急に止まれない」
おぃぃぃっ! 流石にこれは突っ込まざるを得ないと思っていると、ユーリヤの言っていた集団が索敵魔法に引っ掛かる。
という事は、あの集団は魔物なのか!
確かにユーリヤはぶつかると言っただけで、人間に……とは言っていない。
しかし、どうして魔物が群れで、しかも街道を歩いているんだ?
いや、今はそんな事よりも、直撃を避けなければ。結構な速度が出ているから、俺やユーリヤはともかく三人がヤバい。
その中でもラウラは自業自得……って訳にもいかないな。
……そうだっ!
「マテリアライズ」
高速で移動している俺たちを守るように、具現化魔法で前方に土の壁を作ると、炸裂音と共に魔物たちが吹き飛んで行く。
ま、まぁ相手が魔物なので、良しとしよう。
そのまま時々現れる魔物の群れを弾き飛ばしながら、次の街――帝都ではなく、中継地点の街――へと到着した。
……ちなみに、アタランテとヴィクトリーヌは半泣きだったが。
一先ず偽名身分証を見せて中へと入ったが、最初に居たピーマセンスの街よりも更に酷く、通りに人が少なく、街全体の雰囲気が暗くて、重い。
とりあえず一応酒屋だけでも見てみようと思った所で、
「お花……おにいちゃん、お花かってよ」
ボロボロの服を纏った、ユーリヤよりも少し大きいくらいの女の子が、小さな花を差し出してきた。
正直言って、嫌な予感がしつつも、
「……えっと、君のお母さんやお父さんは、どうしているのかな?」
「……いない。へーしにつれてかれて、しんじゃったって」
最悪の答えが返ってくる。
「……貴方」
「……ヘンリー殿」
うん、わかった。皆まで言わなくていいよ。
「……えっと、お兄ちゃんの家に来る? この街には戻ってこれないけど、ご飯は食べられるよ?」
「……いいの!? 行く! ごはん、たべたい!」
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