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第8章 ヴァロン王国遠征
第255話 三人でお風呂
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すっかり陽が落ちてしまったが、一先ず街に着いたので、今日の宿を探す。
だが新たに探すのも面倒臭いので、とりあえず昨日泊まった宿で良いか……という話で纏まった。
ちなみに、ヴィクトリーヌも今日は疲れたので同じ宿に泊まるらしく、人間の姿になって宿を目指す。
「……兄たん。あれは何ー?」
「ん? あぁ、あれは肉料理の屋台だな。宿をとったら食事にしよう」
「……じゃあ、兄たん。あれはー?」
「あれは馬車だ。荷物や人を乗せた荷台を馬車に引かせるんだ」
「……兄たん。それじゃあ、これは?」
おそらくラウラは初めて人間の街へ来たのだろう。
相変わらず俺に抱えらたまま、目に留まる物を片っ端から何? と聞いてくる。
思い返してみれば、ユーリヤも最初はそんな感じだったよな。
最初は服すら来てくれなくて大変だった。
その点、ラウラは最低限の服を着ているから、まだましか。
……ユーリヤは言えば自分で歩くけど、ラウラは言っても自分で歩こうとしないが。
一先ず、目的の宿に着いたので、部屋を押さえて、真っ先に食事だ。
宿の一階がカフェとなっているのだが、どうやら食事も出してくれるらしく、各自で好きなものを注文する。
「……兄たん」
「どうしたんだ?」
「……これ、物凄く美味しい」
「お、おぅ。そうか。じゃあ、好きなだけ食べて良いぞ!」
「……ん。じゃあ、食べさせて」
ラウラが自分で食べたのは最初だけかよ!
ユーリヤでさえ、ちゃんと一人で食べているというのに。
……まぁユーリヤは逆に食べ過ぎで、店員のお姉さんが引いているんだが。
とりあえず、ラウラには弱みを握られているとも言えなくないので、食べていたリゾットをスプーンですくっては、ぐったりしたラウラの口に運んでいると、段々小鳥に餌をやっているような気分になってきた。
「……兄たん。熱いから、ふぅふぅして欲しい」
……うん。ちょっと調子に乗り過ぎかな。
一先ず、スプーンでラウラのリゾットをごっそりすくうと、
「……ふーふー。はい、あーん」
「あーん。にーに、おいしー!」
しっかり冷まして、ユーリヤの口へ。
「……兄たん、酷い。それ、ラウラちゃんの」
「だったら、ご飯くらいは自分で食べような」
「……ん、仕方がない。地上のご飯は美味しいし、頑張る」
そう言って、ラウラが自力で食べ終えた所で会計を済ませ、それぞれの部屋へと移動する。
とりあえず、俺とユーリヤの二人部屋と、女性たちの大部屋をとってあるのだが、
「……って、ラウラ。廊下で寝るなって。寝るなら、ベッドで寝ろよ」
「……兄たん、運んで。あと、ラウラちゃんも兄たんと同じ部屋にして」
「なんでだよっ!」
「……逆に、その女の子は同じ部屋なのに、ラウラちゃんがダメな理由は? その子が良いなら、ラウラちゃんだって良いはず」
いや、ユーリヤを俺から離すと、泣き叫んで街が壊れる……なんて、言えないっての。
どうしたものかと考えていると、クレアが助け船を出してくれたので、暫く成り行きを見守っていると、
「あの、ラウラさん。貴女も女性なら淑女らしく振る舞われては、いかがでしょうか?」
「……やだ。めんどい。ラウラちゃんは、ずっと兄たんにお世話してもらいながら生きる」
「お世話って……というか、ずっと気になっていたんですが、ヘンリー様を兄たんって呼ぶのは何ですか?」
「……ん、ラウラちゃんは兄たんの養子になった」
そうそうラウラが俺の養子に……って、ならねぇよっ!
「ラウラ。誰が、いつ養子にしたって?」
「……養子じゃなくて、妹でも良い」
「いや、妹にもしないから」
「……じゃあ、妻」
「妻を名乗るなら、妻らしい事が出来るようになってから言えって」
「……ん、出来る。例えば子作……」
「はい、この話は終了っ!」
ユーリヤの前で、変な事は言うなって言っただろ!
ほら、ラウラが変な事を言いかけたから、クレアやプリシラが怒っているじゃないか。
「……とにかく、兄たんと同じ部屋を希望。でないと、さっきの話を続きを……」
「はぁ……わかったよ。もう、どうせ寝るだけだし、好きにしろよ」
「……ん、じゃあ運んで」
「はいはい……じゃあ、皆おやすみー」
床に寝ころんで動かないラウラを拾い上げると、一先ず部屋へ。
ラウラをポイっとベッドに投げようとして、ふと気付く。
「そういや、ラウラ。風呂はどうするんだ?」
「……ん、入る。お風呂は好き。だから、連れてって」
「いや、連れてって……って、俺は女湯には入れないんだが」
「……男湯でもいい」
「いや、良くねーよっ!」
ラウラは見た目が十歳くらいだが、実際は十六歳で、ドワーフとしても成人を迎えている。
いや、絶対に男湯とか入っちゃダメだろ。
俺はラウラのAAランクの胸に興味は無いが、世の中には変な奴がいっぱい居るからな。……俺の父親とかさ。
「……その女の子は、お風呂に入らないの?」
お風呂を理由に、女性部屋に移動してもらおうかと考えていたら、ラウラが痛い所を突いてきた。
ユーリヤもラウラと同じく男湯とか女湯とかを気にしないが、俺が気にしてしまう。
可愛いユーリヤを変態から守る為、具現化魔法で宿の部屋に簡易の風呂を作っていたりする。
「仕方が無い。ラウラもユーリヤと同じ風呂にするか……マテリアライズ」
流石に、ユーリヤよりも少し大きくなった程度のラウラと何かが起こる訳もないので、纏めて三人でお風呂へ入る事にした。
だが新たに探すのも面倒臭いので、とりあえず昨日泊まった宿で良いか……という話で纏まった。
ちなみに、ヴィクトリーヌも今日は疲れたので同じ宿に泊まるらしく、人間の姿になって宿を目指す。
「……兄たん。あれは何ー?」
「ん? あぁ、あれは肉料理の屋台だな。宿をとったら食事にしよう」
「……じゃあ、兄たん。あれはー?」
「あれは馬車だ。荷物や人を乗せた荷台を馬車に引かせるんだ」
「……兄たん。それじゃあ、これは?」
おそらくラウラは初めて人間の街へ来たのだろう。
相変わらず俺に抱えらたまま、目に留まる物を片っ端から何? と聞いてくる。
思い返してみれば、ユーリヤも最初はそんな感じだったよな。
最初は服すら来てくれなくて大変だった。
その点、ラウラは最低限の服を着ているから、まだましか。
……ユーリヤは言えば自分で歩くけど、ラウラは言っても自分で歩こうとしないが。
一先ず、目的の宿に着いたので、部屋を押さえて、真っ先に食事だ。
宿の一階がカフェとなっているのだが、どうやら食事も出してくれるらしく、各自で好きなものを注文する。
「……兄たん」
「どうしたんだ?」
「……これ、物凄く美味しい」
「お、おぅ。そうか。じゃあ、好きなだけ食べて良いぞ!」
「……ん。じゃあ、食べさせて」
ラウラが自分で食べたのは最初だけかよ!
ユーリヤでさえ、ちゃんと一人で食べているというのに。
……まぁユーリヤは逆に食べ過ぎで、店員のお姉さんが引いているんだが。
とりあえず、ラウラには弱みを握られているとも言えなくないので、食べていたリゾットをスプーンですくっては、ぐったりしたラウラの口に運んでいると、段々小鳥に餌をやっているような気分になってきた。
「……兄たん。熱いから、ふぅふぅして欲しい」
……うん。ちょっと調子に乗り過ぎかな。
一先ず、スプーンでラウラのリゾットをごっそりすくうと、
「……ふーふー。はい、あーん」
「あーん。にーに、おいしー!」
しっかり冷まして、ユーリヤの口へ。
「……兄たん、酷い。それ、ラウラちゃんの」
「だったら、ご飯くらいは自分で食べような」
「……ん、仕方がない。地上のご飯は美味しいし、頑張る」
そう言って、ラウラが自力で食べ終えた所で会計を済ませ、それぞれの部屋へと移動する。
とりあえず、俺とユーリヤの二人部屋と、女性たちの大部屋をとってあるのだが、
「……って、ラウラ。廊下で寝るなって。寝るなら、ベッドで寝ろよ」
「……兄たん、運んで。あと、ラウラちゃんも兄たんと同じ部屋にして」
「なんでだよっ!」
「……逆に、その女の子は同じ部屋なのに、ラウラちゃんがダメな理由は? その子が良いなら、ラウラちゃんだって良いはず」
いや、ユーリヤを俺から離すと、泣き叫んで街が壊れる……なんて、言えないっての。
どうしたものかと考えていると、クレアが助け船を出してくれたので、暫く成り行きを見守っていると、
「あの、ラウラさん。貴女も女性なら淑女らしく振る舞われては、いかがでしょうか?」
「……やだ。めんどい。ラウラちゃんは、ずっと兄たんにお世話してもらいながら生きる」
「お世話って……というか、ずっと気になっていたんですが、ヘンリー様を兄たんって呼ぶのは何ですか?」
「……ん、ラウラちゃんは兄たんの養子になった」
そうそうラウラが俺の養子に……って、ならねぇよっ!
「ラウラ。誰が、いつ養子にしたって?」
「……養子じゃなくて、妹でも良い」
「いや、妹にもしないから」
「……じゃあ、妻」
「妻を名乗るなら、妻らしい事が出来るようになってから言えって」
「……ん、出来る。例えば子作……」
「はい、この話は終了っ!」
ユーリヤの前で、変な事は言うなって言っただろ!
ほら、ラウラが変な事を言いかけたから、クレアやプリシラが怒っているじゃないか。
「……とにかく、兄たんと同じ部屋を希望。でないと、さっきの話を続きを……」
「はぁ……わかったよ。もう、どうせ寝るだけだし、好きにしろよ」
「……ん、じゃあ運んで」
「はいはい……じゃあ、皆おやすみー」
床に寝ころんで動かないラウラを拾い上げると、一先ず部屋へ。
ラウラをポイっとベッドに投げようとして、ふと気付く。
「そういや、ラウラ。風呂はどうするんだ?」
「……ん、入る。お風呂は好き。だから、連れてって」
「いや、連れてって……って、俺は女湯には入れないんだが」
「……男湯でもいい」
「いや、良くねーよっ!」
ラウラは見た目が十歳くらいだが、実際は十六歳で、ドワーフとしても成人を迎えている。
いや、絶対に男湯とか入っちゃダメだろ。
俺はラウラのAAランクの胸に興味は無いが、世の中には変な奴がいっぱい居るからな。……俺の父親とかさ。
「……その女の子は、お風呂に入らないの?」
お風呂を理由に、女性部屋に移動してもらおうかと考えていたら、ラウラが痛い所を突いてきた。
ユーリヤもラウラと同じく男湯とか女湯とかを気にしないが、俺が気にしてしまう。
可愛いユーリヤを変態から守る為、具現化魔法で宿の部屋に簡易の風呂を作っていたりする。
「仕方が無い。ラウラもユーリヤと同じ風呂にするか……マテリアライズ」
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