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第8章 ヴァロン王国遠征
第250話 ヴィクトリーヌの知りたい事
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ついにドワーフの国を見つけた!
エルフの洞窟みちたいに魔法が制限されていないのは幸いだったが、無駄に距離は長いし、溶岩地帯は暑いし、その上しっかり幻覚系の罠を仕込んでくる。
激しいバトルは無かったものの、大変な道のりではあった。
それに加えて、そもそものドワーフの国を探すのに大変な労力を掛けたので、かなりの達成感があるのだが……何かがおかしい。
「あの、師匠。何だか、ドワーフさんたち……随分慌ただしくないッスか?」
「そうだな。俺にもそう見える。何だか、バタバタして皆忙しそうに走っているし……ヴィクトリーヌ。ドワーフって、いつもこんな感じなのか?」
「ふっ……我が知る訳もなかろう。我が知りたいと望むのは、ヘンリー殿の気持ちのみ」
いや、ちょっとマジで何を仰っているんでしょうか。
ヴィクトリーヌが変な事を言うから、プリシラやクレアがキッて睨んできたよ。
真面目な二人はの前では、そういう事をしちゃダメなんだって。
……隠れてこっそりなら大歓迎だけどねっ!
と、それはさておき、分からないなら、とりあえず聞いてみよう。
ドスドスと右へ左へと走り回るドワーフが居たので、声を掛ける。
「すみません。ちょっとお聞きしたいんですが……」
「うるせぇっ! こっちはそれどころじゃねぇんだよっ!」
マジか。普通に接したはずなのに、一蹴されてしまった。
「俺、何か変な言い方だったか?」
「ううん。隊長さんは普通だったと思うよー」
「もしかしたら、男は受け入れられないとかか? ……よし。ここは最初から最終兵器であるニーナを投入しよう。ニーナ、さっきのとは違うドワーフに、何かあったのか聞いてみてくれ」
「隊長さん。ボクが最終兵器ってどういう意味……あ、やっぱりいいや。聞いてくるー」
ニーナの素晴らしさを語ろうと思ったら、何かを察したのか逃げるようにしてドワーフたちの元へ駆け出して行ってしまった。
言葉だけでなく、実際にその弾力や柔らかさ、手触りなんかを実演しながら説明しようとしたのだが、
「うるさい! 邪魔だっ!」
あのニーナが相手にもされずに戻ってくるはめになってしまう。
「最終兵器のニーナがダメだなんて……一体、俺たちはどうすれば良いんだ!? ……はっ!? まさか、奴らは……いやしかし、リスクが大き過ぎるっ!」
巨乳美少女のニーナが相手にされないという事は、即ちその逆……どこぞの魔族と同じ様に、幼い女の子が好きな種族の可能性がある。
つまり、ユーリヤに話しかけさせれば……しかし、万が一ユーリヤが相手にされず、厳しい言葉を投げかけられようものなら、俺が許さん!
可愛いユーリヤに暴言を吐いた奴は、斬り捨ててしまうかもしれない。
というか、そこでユーリヤが泣いてしまい、本来のドラゴンの姿に戻る様な事になれば、ここに居る全員が生き埋めになって死んでしまう。
まぁ俺たちだけは瞬間移動で逃げられるけど、そういう問題でも無い。
ここにルミが居れば、問答無用で突撃させるのだが……
「ふっ。ヘンリー殿。ここは我が手腕に任されよ!」
「え!? ヴィクトリーヌ!?」
「はっはっは。我が見事に情報を持ち帰ってみせる!」
変なテンションのヴィクトリーヌが、何も言っていないのに近くのドワーフに突撃して行った。
「我はヴァロン王国第五騎士隊副隊長、ヴィクトリーヌ=フォンテーヌである。そこのドワーフよ。何故、そんなに慌てておるのだ!?」
「……」
「おい! 無視するなっ! というか、可哀そうな人を見る様な視線を我に向けるなっ! いや、我は本当に第五騎士隊副隊長なのだっ! ちょ、頼むっ! 誰か、話を……話を聞かぬかっ!」
まぁ言い方はどうあれ、何が何でも情報を得ようとする心意気は素晴らしいな。
暫く様子を見ていると、走るドワーフと並走しながらヴィクトリーヌが話を聞き始めた。
やるなぁ。
「何っ!? ドワーフにとって、鉱物の次に大事な炉の機能が突然弱まった!? それで原因究明に皆あたふたしている!? なるほど。で、炉とは何だ!?」
ヴィクトリーヌ。簡単に言うと、炉は鉄などを溶かす為に使う、高温を得る為の装置だよ。
鍛冶にとって必須と言えるって、士官学校の武器講義で習った……って、ちょっと待った。
ドワーフ王国の炉が弱まったって、それは大丈夫なのか!?
聖銀は加工出来る……よね!?
ヴィクトリーヌは引き続きドワーフに話を聞いているのだが、
「ふむ……なるほど。鍛冶を行うのに必要な物なのだな。……ほう。原因は分からないが、溶岩の温度が下がったから、何かしらの理由で火の精霊力が落ちたのかもしれないと。……おそらく、それだな。先程我々がサラマンダーを弱めたからな」
「……なぬっ!? おい、狼の姉ちゃん! 今何て言った!?」
「だから、我々が火の精霊の力を弱めたと言ったのだ」
「何だとっ!? じゃあ、お前らが原因かっ! おい、皆の衆! こいつらが炉の力を弱めた元凶らしいぞっ!」
友好的に鍛冶を依頼したかったのに、早速険悪な雰囲気になってしまった。
エルフの洞窟みちたいに魔法が制限されていないのは幸いだったが、無駄に距離は長いし、溶岩地帯は暑いし、その上しっかり幻覚系の罠を仕込んでくる。
激しいバトルは無かったものの、大変な道のりではあった。
それに加えて、そもそものドワーフの国を探すのに大変な労力を掛けたので、かなりの達成感があるのだが……何かがおかしい。
「あの、師匠。何だか、ドワーフさんたち……随分慌ただしくないッスか?」
「そうだな。俺にもそう見える。何だか、バタバタして皆忙しそうに走っているし……ヴィクトリーヌ。ドワーフって、いつもこんな感じなのか?」
「ふっ……我が知る訳もなかろう。我が知りたいと望むのは、ヘンリー殿の気持ちのみ」
いや、ちょっとマジで何を仰っているんでしょうか。
ヴィクトリーヌが変な事を言うから、プリシラやクレアがキッて睨んできたよ。
真面目な二人はの前では、そういう事をしちゃダメなんだって。
……隠れてこっそりなら大歓迎だけどねっ!
と、それはさておき、分からないなら、とりあえず聞いてみよう。
ドスドスと右へ左へと走り回るドワーフが居たので、声を掛ける。
「すみません。ちょっとお聞きしたいんですが……」
「うるせぇっ! こっちはそれどころじゃねぇんだよっ!」
マジか。普通に接したはずなのに、一蹴されてしまった。
「俺、何か変な言い方だったか?」
「ううん。隊長さんは普通だったと思うよー」
「もしかしたら、男は受け入れられないとかか? ……よし。ここは最初から最終兵器であるニーナを投入しよう。ニーナ、さっきのとは違うドワーフに、何かあったのか聞いてみてくれ」
「隊長さん。ボクが最終兵器ってどういう意味……あ、やっぱりいいや。聞いてくるー」
ニーナの素晴らしさを語ろうと思ったら、何かを察したのか逃げるようにしてドワーフたちの元へ駆け出して行ってしまった。
言葉だけでなく、実際にその弾力や柔らかさ、手触りなんかを実演しながら説明しようとしたのだが、
「うるさい! 邪魔だっ!」
あのニーナが相手にもされずに戻ってくるはめになってしまう。
「最終兵器のニーナがダメだなんて……一体、俺たちはどうすれば良いんだ!? ……はっ!? まさか、奴らは……いやしかし、リスクが大き過ぎるっ!」
巨乳美少女のニーナが相手にされないという事は、即ちその逆……どこぞの魔族と同じ様に、幼い女の子が好きな種族の可能性がある。
つまり、ユーリヤに話しかけさせれば……しかし、万が一ユーリヤが相手にされず、厳しい言葉を投げかけられようものなら、俺が許さん!
可愛いユーリヤに暴言を吐いた奴は、斬り捨ててしまうかもしれない。
というか、そこでユーリヤが泣いてしまい、本来のドラゴンの姿に戻る様な事になれば、ここに居る全員が生き埋めになって死んでしまう。
まぁ俺たちだけは瞬間移動で逃げられるけど、そういう問題でも無い。
ここにルミが居れば、問答無用で突撃させるのだが……
「ふっ。ヘンリー殿。ここは我が手腕に任されよ!」
「え!? ヴィクトリーヌ!?」
「はっはっは。我が見事に情報を持ち帰ってみせる!」
変なテンションのヴィクトリーヌが、何も言っていないのに近くのドワーフに突撃して行った。
「我はヴァロン王国第五騎士隊副隊長、ヴィクトリーヌ=フォンテーヌである。そこのドワーフよ。何故、そんなに慌てておるのだ!?」
「……」
「おい! 無視するなっ! というか、可哀そうな人を見る様な視線を我に向けるなっ! いや、我は本当に第五騎士隊副隊長なのだっ! ちょ、頼むっ! 誰か、話を……話を聞かぬかっ!」
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鍛冶にとって必須と言えるって、士官学校の武器講義で習った……って、ちょっと待った。
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「……なぬっ!? おい、狼の姉ちゃん! 今何て言った!?」
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