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第8章 ヴァロン王国遠征
第246話 パンツの試練
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ヴィクトリーヌから話を聞くと、基本的に狼耳族は群れない種族らしく、成人すると親の許を離れて一人で暮らすようになるそうだ。
だがヴァロン王国では獣人族の差別が激しく、皆人間に変身して暮らしていると。
ヴィクトリーヌも例に漏れず、人間として騎士団に入隊し、副隊長になる程優秀なのだが、暑さに弱いらしく、一瞬変身能力が解けてしまったという事だった。
「どうせお前たちも、獣人族に偏見を持っているのだろう! さぁ煮るなり焼くなり好きにしろっ! 我は狼耳族の名に恥じぬよう、潔く死を選ぶっ!」
「いや、そんなパンツ丸見えの状態で大の字に寝転ばれても……」
「ふんっ! 既に無くなったも同然の命だ。好きにすれば良い! だが、決して我は誇りを捨てぬ!」
えぇー。いや、「お菓子を買ってくれるまで動かない!」っていう駄々っ子みたいにされても困るんだけど。
「さぁ殺すなら早く殺せっ!」
「いや、そもそも獣人族だからって危害を加えるつもりなんて、一切無いんだが」
「嘘だっ! 獣人族の中には、そんな甘言に惑わされ、自害する事も許されず、奴隷同然に生きている者も居ると聞く。我は決して騙されんっ!」
「だから、そんな事しないってば。そもそも獣人族に偏見なんて持ってないし。事実として俺の部隊に獣人族の人だって居るし、王宮や冒険者ギルドで獣人族が働いているしさ」
シャロンとナタリーの事なのだが、俺は二人に対して偏見なんて全く無い。
それどころか、可愛いし、おっぱい大きいし、耳が可愛いし、プラスにしかならないのだが。
『耳はともかく、顔と胸についてはお二人の個人的な特徴であって、獣人族の話ではないと思うのですが』
(いやでも、ヴィクトリーヌだって綺麗だし、美人じゃないか。胸が小さい訳でもないし。今の所、俺が出会った獣人族の人は、皆可愛い! つまり、獣人族は可愛い!)
『……いや、まぁ別に構わないですけど、そもそもそういう話でしたっけ?』
アオイの指摘で我に返る。
そうだった。おっぱいの話じゃなかったな。
「ヴィクトリーヌ。俺たちは獣人族だからって、色眼鏡で見る事は無いぞ。それに、そんな事でヴィクトリーヌを脅そうとも思わない」
「う、嘘だ……」
「本当だってば。それに、この国がそんなに棲み難いのなら、うちの領地に来るか? 歓迎するぞ?」
「領地? ど、どういう事だ?」
「どういう事だ……って、そのままの意味だが?」
少し話を聞く気になったのか、大の字に寝ていたヴィクトリーヌが、上半身だけ身体を起こし、膝を曲げた三角座りになる。
わざとか!? わざとやっているのか!?
俺を試すかのように、足の間からパンツを見せてくるなんて!
くっ……この誘惑は強い。
だが、縞々パンツでもなければ、純白パンツでも無い、地味な色のパンツだから、耐えられるはずっ!
頑張れ俺っ!
パンツを見るなっ!
ここは真面目な話をする所なんだっ!
集中すれば乗り切れるはずだっ!
『な、なんて、くだらない戦いで集中力を消耗しているんですか……』
(何を言う! 目の前にパンツがあれば見てしまう……それが男の性なんだっ!)
『いや、そんなの知りませんよ』
例え、それがパメラのパンツであったとしても目が吸い寄せられてしまうのが、パンツの持つ恐ろしい魔力だ。
例外的に男の目が向かないのは、母親のパンツくらいではないだろうか。
気を抜けば、すぐに視線が下に行ってしまいそうになるのを耐え、ヴィクトリーヌの目を見つめていると、
「……本当に、我を脅す気はないのか? これでも第五騎士隊の副隊長なのだぞ?」
「俺たちはヴァロン王国と戦う気なんて、これっぽちも無いさ。それよりも、倒すべき敵がいるからな」
「……倒すべき敵とは?」
「魔王や魔族といった人類共通の敵だ。俺たちは、魔族を倒す為の武器を作ってもらうために、ドワーフの国を目指しているんだ」
「魔族だなんて、伝説上のお伽噺……いや、しかし少し前に噂が流れたな。どこかの国で魔族が出たとかって……」
「それは俺たちの国の事だ。ここに居る三人は、魔族の攻撃によって石にされていたんだ。ある聖女のおかげで治癒が成功して、元に戻れたけどな」
クレア、ドロシー、プリシラの石化からの復帰組が大きく頷くが、ヴィクトリーヌは半信半疑といった顔をしている。
だが、先程までと違って、死を覚悟した悲壮な顔ではなくなったので、もう大丈夫だろう。
パンツを我慢した甲斐があった。
「まぁとにかく、そういう訳だ。俺たちは先に進むから、一緒に来てくれ。いつ魔族が襲ってくるかも分からないし、早くドワーフの所へ行きたいんだ」
「……本当に獣人族に偏見は無いんだな?」
「あぁ。もちろんだ」
「……わかった。ならば、我も本来の役目を果たそう。うろたえてしまい、すまない。先へ進もう」
そう言うと、ヴィクトリーヌが立ち上がり、おもむろに金属鎧を脱ぎ捨てた。
何をしているのかと思ったら……頭から灰色の大きな耳が生えている。
「この暑い場所では、変身能力が維持出来ないので、本来の姿で同行させてもらおう」
どうして鎧を脱いだのかと思ったら、獣人族姿のヴィクトリーヌはEランクの大きなおっぱいの持ち主だった。
だがヴァロン王国では獣人族の差別が激しく、皆人間に変身して暮らしていると。
ヴィクトリーヌも例に漏れず、人間として騎士団に入隊し、副隊長になる程優秀なのだが、暑さに弱いらしく、一瞬変身能力が解けてしまったという事だった。
「どうせお前たちも、獣人族に偏見を持っているのだろう! さぁ煮るなり焼くなり好きにしろっ! 我は狼耳族の名に恥じぬよう、潔く死を選ぶっ!」
「いや、そんなパンツ丸見えの状態で大の字に寝転ばれても……」
「ふんっ! 既に無くなったも同然の命だ。好きにすれば良い! だが、決して我は誇りを捨てぬ!」
えぇー。いや、「お菓子を買ってくれるまで動かない!」っていう駄々っ子みたいにされても困るんだけど。
「さぁ殺すなら早く殺せっ!」
「いや、そもそも獣人族だからって危害を加えるつもりなんて、一切無いんだが」
「嘘だっ! 獣人族の中には、そんな甘言に惑わされ、自害する事も許されず、奴隷同然に生きている者も居ると聞く。我は決して騙されんっ!」
「だから、そんな事しないってば。そもそも獣人族に偏見なんて持ってないし。事実として俺の部隊に獣人族の人だって居るし、王宮や冒険者ギルドで獣人族が働いているしさ」
シャロンとナタリーの事なのだが、俺は二人に対して偏見なんて全く無い。
それどころか、可愛いし、おっぱい大きいし、耳が可愛いし、プラスにしかならないのだが。
『耳はともかく、顔と胸についてはお二人の個人的な特徴であって、獣人族の話ではないと思うのですが』
(いやでも、ヴィクトリーヌだって綺麗だし、美人じゃないか。胸が小さい訳でもないし。今の所、俺が出会った獣人族の人は、皆可愛い! つまり、獣人族は可愛い!)
『……いや、まぁ別に構わないですけど、そもそもそういう話でしたっけ?』
アオイの指摘で我に返る。
そうだった。おっぱいの話じゃなかったな。
「ヴィクトリーヌ。俺たちは獣人族だからって、色眼鏡で見る事は無いぞ。それに、そんな事でヴィクトリーヌを脅そうとも思わない」
「う、嘘だ……」
「本当だってば。それに、この国がそんなに棲み難いのなら、うちの領地に来るか? 歓迎するぞ?」
「領地? ど、どういう事だ?」
「どういう事だ……って、そのままの意味だが?」
少し話を聞く気になったのか、大の字に寝ていたヴィクトリーヌが、上半身だけ身体を起こし、膝を曲げた三角座りになる。
わざとか!? わざとやっているのか!?
俺を試すかのように、足の間からパンツを見せてくるなんて!
くっ……この誘惑は強い。
だが、縞々パンツでもなければ、純白パンツでも無い、地味な色のパンツだから、耐えられるはずっ!
頑張れ俺っ!
パンツを見るなっ!
ここは真面目な話をする所なんだっ!
集中すれば乗り切れるはずだっ!
『な、なんて、くだらない戦いで集中力を消耗しているんですか……』
(何を言う! 目の前にパンツがあれば見てしまう……それが男の性なんだっ!)
『いや、そんなの知りませんよ』
例え、それがパメラのパンツであったとしても目が吸い寄せられてしまうのが、パンツの持つ恐ろしい魔力だ。
例外的に男の目が向かないのは、母親のパンツくらいではないだろうか。
気を抜けば、すぐに視線が下に行ってしまいそうになるのを耐え、ヴィクトリーヌの目を見つめていると、
「……本当に、我を脅す気はないのか? これでも第五騎士隊の副隊長なのだぞ?」
「俺たちはヴァロン王国と戦う気なんて、これっぽちも無いさ。それよりも、倒すべき敵がいるからな」
「……倒すべき敵とは?」
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だが、先程までと違って、死を覚悟した悲壮な顔ではなくなったので、もう大丈夫だろう。
パンツを我慢した甲斐があった。
「まぁとにかく、そういう訳だ。俺たちは先に進むから、一緒に来てくれ。いつ魔族が襲ってくるかも分からないし、早くドワーフの所へ行きたいんだ」
「……本当に獣人族に偏見は無いんだな?」
「あぁ。もちろんだ」
「……わかった。ならば、我も本来の役目を果たそう。うろたえてしまい、すまない。先へ進もう」
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