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第8章 ヴァロン王国遠征
第245話 副隊長はパンツが地味
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ヴィクトリーヌがもうダメだと言いながら、その場にしゃがみ込む。
うむ。上半身を覆う鎧と、膝から足先までを守る足鎧。金属に覆われたヴィクトリーヌの身体の中で、顔に次いで無防備な箇所――そう、パンツだ。
しゃがみ込んだ事により、短いスカートが捲れ、柔らかそうな太ももの間にある灰色のパンツが丸見えになっている。
灰色というのは何とも地味だが、だがそれも良い……じゃなくて、辛そうだから回復してあげようと思って近づくと、突然パンツが動いた。
な……何を言っているのか分からないと思うが、俺も何が起こったのか分からなかった。
ただ、ヴィクトリーヌは脚を動かしていないのに、モゾモゾと灰色のパンツが一瞬動いたんだ。
「一体何が起こったんだ!?」
訳が分からず、マジマジとヴィクトリーヌのパンツを凝視していると、
「隊長さん。まぁ隊長さんも男の子だからねー」
「ヘンリー隊長。そ、そういうのは良くないのですっ!」
「師匠は、胸よりもパンツが好きッスか? 自分、師匠の為なら……」
ニーナが呆れ、プリシラが不機嫌で、ドロシーは何故かモジモジしていた。
何だ!? 一体、俺の周りで何が起こっているんだ!?
『それを言うなら、ヘンリーさんこそ何をしているんですか! 変な事をしたら国際問題になるって、あれ程言われていたのに』
(何を……って、俺はパンツを見ていただけだが?)
『それがダメなんですってば! どうして学習しないんですか?』
(アオイこそ何を言っているんだよ。見ていないのか? ヴィクトリーヌさんのパンツだけが揺れた所を)
『あの、ここ数日の中で、一番何を言っているか分からないです』
アオイに「は? 何言ってんのコイツ」くらいの冷たい感じで色々言われたけれど、確かに俺は見たんだってば!
……よし、こうなったら直接聞いてやる!
「ヴィクトリーヌ。今のは何だ!?」
「はっ! しまっ……み、見たのかっ!?」
「あぁ、この目でしっかりと見たぞ。灰色の物が動く所を」
「見られてしまったのか。ならば、私はもう生きてはいけないだろう。くっ……殺せっ!」
「いやいやいや。どうして、そこまで飛躍するんだよっ! 死ぬ程の事ではないだろっ!?」
『何を言っているんですかっ! 恋人でも無い男の人に、マジマジとパンツを凝視されたんですよ!? 人によっては――特に純潔を重んじる人や、誠実さを求められる騎士にとっては、死に等しい行為ですってば!』
(いや、確かにパンツは見たけどさ、俺が言っているのはパンツを見た事じゃないんだってば)
『思いっきりパンツを見ていたじゃないですかっ! ヘンリーさんが女性のパンツ好きなのは知って居ますけど、最近はドロシーさんのおかげで……というか、ドロシーさんがヘンリーさんからの被害を全て負ってくれて、一名を除いて平穏な日々だったのにっ!』
(えっ!? その言い方だと、俺が災厄か何かみたいなんだけどっ!)
『自覚が無いんですかっ!? 女性からすれば、災いみたいな物ですよっ!?』
あ、アオイがここぞとばかりに苛めてくる。
うーん。ヴィクトリーヌが見られたと言っているのは、アオイの言う通りパンツの事なのか?
もしそうなら、ソフィアなんて命が幾つあっても足りないんだが。
絶対にパンツが勝手に動いたはずなんだけど、アオイに言われ過ぎて段々自信が無くなってきてしまった。
「ヴィクトリーヌ。その、さっきの灰色の物の事なんだが……」
「あぁ。ヘンリー殿が見た通り、あの灰色の物は狼の尻尾だ」
「狼の尻尾!? パンツじゃなくて!?」
「……え? パンツ!? だが先程、灰色の物が動いた所を見たって言ったではないか!」
「確かに言ったぞ。灰色のパンツが動いた所を見たって。けど、そうか。尻尾だったのか」
どうやらパンツが動いたように見えたのは、俺の勘違いでは無かったらしい。
どういう仕組みなのかは分からないが、突然尻尾が生えたから、それでパンツが動いたんだな。
まぁ、その突然尻尾が映えるっていうのは、意味が分からないんだけどさ。
『なるほど。時にはヘンリーさんのパンツ好きが功を奏しましたね。おそらく彼女は獣人族で、それもレアな狼耳族ではないでしょうか』
(ん? 獣人族なら、頭から大きな耳が生えているんじゃないのか? シャロンやナタリーみたいに)
『普通の獣人族はそうですね。ですが、その中でも狼耳族は、魔法とは違う獣人族特有の能力で、大きな耳や尻尾を隠して人間になり済ます事が出来るそうです』
(へぇー。そうなんだ)
『はい。私も聞いた事があるだけで、そもそも狼耳族に会ったのも初めてですが、おそらくそれなのでしょう。狼は砂漠に棲む種類や、寒冷地に棲む種類がありますが、おそらく彼女は後者で、暑さに弱く、一瞬変身能力が解けてしまったんでしょうね』
なるほどな。
ドラゴンであるユーリヤは全く平気そうだけど、他のメンバーも全員暑さで余裕が無く、ヴィクトリーヌの様子を凝視していたのが俺だけだったんだろう。
けど、どうして獣人族だって事がバレただけで殺せだなんて……というか、そもそも獣人族だという事を隠していた理由も良く分からないのだが、
「うぅ……パンツを見ていただけの、ただの変態行為を我の秘密がバレたと思い、自ら喋ってしまうなんて……」
ヴィクトリーヌが再びパンツが丸見えの状態で頭を抱えてしまったので、聞けなくなってしまった。
うむ。上半身を覆う鎧と、膝から足先までを守る足鎧。金属に覆われたヴィクトリーヌの身体の中で、顔に次いで無防備な箇所――そう、パンツだ。
しゃがみ込んだ事により、短いスカートが捲れ、柔らかそうな太ももの間にある灰色のパンツが丸見えになっている。
灰色というのは何とも地味だが、だがそれも良い……じゃなくて、辛そうだから回復してあげようと思って近づくと、突然パンツが動いた。
な……何を言っているのか分からないと思うが、俺も何が起こったのか分からなかった。
ただ、ヴィクトリーヌは脚を動かしていないのに、モゾモゾと灰色のパンツが一瞬動いたんだ。
「一体何が起こったんだ!?」
訳が分からず、マジマジとヴィクトリーヌのパンツを凝視していると、
「隊長さん。まぁ隊長さんも男の子だからねー」
「ヘンリー隊長。そ、そういうのは良くないのですっ!」
「師匠は、胸よりもパンツが好きッスか? 自分、師匠の為なら……」
ニーナが呆れ、プリシラが不機嫌で、ドロシーは何故かモジモジしていた。
何だ!? 一体、俺の周りで何が起こっているんだ!?
『それを言うなら、ヘンリーさんこそ何をしているんですか! 変な事をしたら国際問題になるって、あれ程言われていたのに』
(何を……って、俺はパンツを見ていただけだが?)
『それがダメなんですってば! どうして学習しないんですか?』
(アオイこそ何を言っているんだよ。見ていないのか? ヴィクトリーヌさんのパンツだけが揺れた所を)
『あの、ここ数日の中で、一番何を言っているか分からないです』
アオイに「は? 何言ってんのコイツ」くらいの冷たい感じで色々言われたけれど、確かに俺は見たんだってば!
……よし、こうなったら直接聞いてやる!
「ヴィクトリーヌ。今のは何だ!?」
「はっ! しまっ……み、見たのかっ!?」
「あぁ、この目でしっかりと見たぞ。灰色の物が動く所を」
「見られてしまったのか。ならば、私はもう生きてはいけないだろう。くっ……殺せっ!」
「いやいやいや。どうして、そこまで飛躍するんだよっ! 死ぬ程の事ではないだろっ!?」
『何を言っているんですかっ! 恋人でも無い男の人に、マジマジとパンツを凝視されたんですよ!? 人によっては――特に純潔を重んじる人や、誠実さを求められる騎士にとっては、死に等しい行為ですってば!』
(いや、確かにパンツは見たけどさ、俺が言っているのはパンツを見た事じゃないんだってば)
『思いっきりパンツを見ていたじゃないですかっ! ヘンリーさんが女性のパンツ好きなのは知って居ますけど、最近はドロシーさんのおかげで……というか、ドロシーさんがヘンリーさんからの被害を全て負ってくれて、一名を除いて平穏な日々だったのにっ!』
(えっ!? その言い方だと、俺が災厄か何かみたいなんだけどっ!)
『自覚が無いんですかっ!? 女性からすれば、災いみたいな物ですよっ!?』
あ、アオイがここぞとばかりに苛めてくる。
うーん。ヴィクトリーヌが見られたと言っているのは、アオイの言う通りパンツの事なのか?
もしそうなら、ソフィアなんて命が幾つあっても足りないんだが。
絶対にパンツが勝手に動いたはずなんだけど、アオイに言われ過ぎて段々自信が無くなってきてしまった。
「ヴィクトリーヌ。その、さっきの灰色の物の事なんだが……」
「あぁ。ヘンリー殿が見た通り、あの灰色の物は狼の尻尾だ」
「狼の尻尾!? パンツじゃなくて!?」
「……え? パンツ!? だが先程、灰色の物が動いた所を見たって言ったではないか!」
「確かに言ったぞ。灰色のパンツが動いた所を見たって。けど、そうか。尻尾だったのか」
どうやらパンツが動いたように見えたのは、俺の勘違いでは無かったらしい。
どういう仕組みなのかは分からないが、突然尻尾が生えたから、それでパンツが動いたんだな。
まぁ、その突然尻尾が映えるっていうのは、意味が分からないんだけどさ。
『なるほど。時にはヘンリーさんのパンツ好きが功を奏しましたね。おそらく彼女は獣人族で、それもレアな狼耳族ではないでしょうか』
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(へぇー。そうなんだ)
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