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第7章 マックート村の新領主
第223話 スイーツ
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ルミが逃げだした直後、俺の背後に居るメルヴィちゃんの声色が変わる。
「さーてと。じゃあ、外でずっと聞き耳を立てていたお子ちゃまエルフも帰った事だし、メルヴィちゃん本気出しちゃうわよー」
「いぇーいっ! イロナちゃんもー、お昼のサービスの研修しか受けた事が無かったからー、実は楽しみなんですぅー」
な、何だと!? 二人の美少女ダークエルフに肩を触られるだけでも凄く気持ち良かったのに、これは本気じゃなかった……いや、それどころか夜のサービスですら無かっただって!?
い、一体、これから俺の身にどんな事が起こるのかと期待しながらメルヴィちゃんの様子を窺っていると、
「うふふ……じゃあ、お兄さん。今度は服をぬぎぬぎしましょうねー」
メルヴィちゃんの細い指が、俺のベルトに伸びてくる。
これから行われるであろう、あーんな事やこーんな事を予想し、少しだけ緊張していると、
「にーに。クッキーおいしかったー!」
奥の部屋から満面の笑顔を浮かべたユーリヤが戻ってきた。
そして、何事も無かったかのように、すーっとメルヴィちゃんの指先が離れていく。
そんな……そんなぁぁぁっ!
「ん? にーに、どうしたの?」
「な、なんでも……なんでも無いんだよ。ユーリヤ」
若干引きつった表情でユーリヤを撫で、今日の所は引き上げる事となった。
イロナは結局、肩のマッサージを教わっただけだから、メルヴィちゃんの続きを……って訳にはいかないんだろうな。
後ろ髪を引かれる思いで屋敷へ戻り、夕食を済ませると、
「皆さん。あの、今度のエルフさんたちをお迎えする際の、デザートを作ってみたんです。で、出来れば試食していただいて、感想をいただけないでしょうか。……特に、イロナさん」
メリッサが恐る恐るといった感じで口を開く。
しまった。イロナをメリッサのサポートへつけたものの、俺がすぐにエルフの村へ連れて行ってしまったから、あんまり話が出来ていないのか。
やっぱり思い付きで色々決めるのは良くないなと反省していると、
「うーん。イロナちゃんは協力してあげたいんだけど、結構お腹いっぱいなのよねぇー。先に言ってくれていたら、ちゃんと控えめに食べたんだけどぉー」
メリッサの要請に、イロナが難色を示す。
だが、確かにイロナの言いたい事も分かる。
何気に、ここに居るメンバーって、ダークエルフのイロナを筆頭に、皆食が細いんだよね。……ユーリヤは除くけど。
ユーリヤはドラゴンだけあってか、どうなっているのか聞きたいくらいの量を食べるけど、実はドライアドのワンダは殆ど食事を食べないし、小柄なノーマとクレアも、そんなに食べない。
俺と父さんを除けば、まだ食べる方なのがニーナとジェーンかな。……うん、おっぱいに栄養が必要だもんね。
そんな訳で、一人に一皿ずつメリッサからデザートが出されたのだが……この温かくて薄いパンは何だろうか。
「こちらのシロップをかけて食べてみてください。あと、小さなバターを乗せるのもオススメだそうです」
一先ずメリッサのオススメ通りにシロップを掛け、一口大に切って食べてみると、
「旨いっ! これは何だっ!?」
「ホント! 甘過ぎないし、デザートなのに温かいし……バターでも美味しい!」
「にーに……おかわりー!」
これまでに食べた事のないデザートだった。
ユーリヤだけでなく、小食のメンバーまでもが、食事を済ませた直後だというのに完食している。
「これは、エリザベスさんに教えてもらったパンの作り方で、パンケーキを作ってみたんです」
「おぉぉ、これがエリザベスの加護か。普段のメリッサの料理は十分に美味しいんだけど、それが更に美味しくなるのか」
「私の加護は穀物にしか効果がありませんが……それはさておき、メリッサさんの料理の腕が良いからですよ。それに、私の加護はパンを作る人が愛情を注いで居ないと、効果が半減してしまいますから」
エリーのお母さんが元気を取り戻したエリザベスの加護を備えた料理か。
この美味しさなら、元々食が細いエルフにもウケるのではないだろうか。
そう思ってイロナを見てみると、
「うん! とっても美味しかったよー! お腹いっぱいだったのにー、全部食べちゃったもん」
しっかり完食していた。
やはりこれなら大丈夫だと確信を得た所で、
『ヘンリーさん。先程メリッサさんは、パンケーキだって言いましたよね?』
(ん? そうだけど、どうかしたのか?)
『……私の故郷では、これを更に美味しくする食べ方があるので、後でこっそりお伝えしてもらって良いですか?』
(え!? これを更に美味しく!? というか、アオイはパンケーキを知っていたのか?)
『はい。割とポピュラーなスイーツなので。ただ、私がお伝えする食べ方は、女性には人気でしたが、男性にはキツイかもしれませんが』
(いや、パーティに来るエルフたちは女性の方が多いと思うし、構わないと思うけど)
『そうですか。では……』
アオイの故郷の話を聞き、それをメリッサに伝え……俺の領主就任パーティの日となった。
「さーてと。じゃあ、外でずっと聞き耳を立てていたお子ちゃまエルフも帰った事だし、メルヴィちゃん本気出しちゃうわよー」
「いぇーいっ! イロナちゃんもー、お昼のサービスの研修しか受けた事が無かったからー、実は楽しみなんですぅー」
な、何だと!? 二人の美少女ダークエルフに肩を触られるだけでも凄く気持ち良かったのに、これは本気じゃなかった……いや、それどころか夜のサービスですら無かっただって!?
い、一体、これから俺の身にどんな事が起こるのかと期待しながらメルヴィちゃんの様子を窺っていると、
「うふふ……じゃあ、お兄さん。今度は服をぬぎぬぎしましょうねー」
メルヴィちゃんの細い指が、俺のベルトに伸びてくる。
これから行われるであろう、あーんな事やこーんな事を予想し、少しだけ緊張していると、
「にーに。クッキーおいしかったー!」
奥の部屋から満面の笑顔を浮かべたユーリヤが戻ってきた。
そして、何事も無かったかのように、すーっとメルヴィちゃんの指先が離れていく。
そんな……そんなぁぁぁっ!
「ん? にーに、どうしたの?」
「な、なんでも……なんでも無いんだよ。ユーリヤ」
若干引きつった表情でユーリヤを撫で、今日の所は引き上げる事となった。
イロナは結局、肩のマッサージを教わっただけだから、メルヴィちゃんの続きを……って訳にはいかないんだろうな。
後ろ髪を引かれる思いで屋敷へ戻り、夕食を済ませると、
「皆さん。あの、今度のエルフさんたちをお迎えする際の、デザートを作ってみたんです。で、出来れば試食していただいて、感想をいただけないでしょうか。……特に、イロナさん」
メリッサが恐る恐るといった感じで口を開く。
しまった。イロナをメリッサのサポートへつけたものの、俺がすぐにエルフの村へ連れて行ってしまったから、あんまり話が出来ていないのか。
やっぱり思い付きで色々決めるのは良くないなと反省していると、
「うーん。イロナちゃんは協力してあげたいんだけど、結構お腹いっぱいなのよねぇー。先に言ってくれていたら、ちゃんと控えめに食べたんだけどぉー」
メリッサの要請に、イロナが難色を示す。
だが、確かにイロナの言いたい事も分かる。
何気に、ここに居るメンバーって、ダークエルフのイロナを筆頭に、皆食が細いんだよね。……ユーリヤは除くけど。
ユーリヤはドラゴンだけあってか、どうなっているのか聞きたいくらいの量を食べるけど、実はドライアドのワンダは殆ど食事を食べないし、小柄なノーマとクレアも、そんなに食べない。
俺と父さんを除けば、まだ食べる方なのがニーナとジェーンかな。……うん、おっぱいに栄養が必要だもんね。
そんな訳で、一人に一皿ずつメリッサからデザートが出されたのだが……この温かくて薄いパンは何だろうか。
「こちらのシロップをかけて食べてみてください。あと、小さなバターを乗せるのもオススメだそうです」
一先ずメリッサのオススメ通りにシロップを掛け、一口大に切って食べてみると、
「旨いっ! これは何だっ!?」
「ホント! 甘過ぎないし、デザートなのに温かいし……バターでも美味しい!」
「にーに……おかわりー!」
これまでに食べた事のないデザートだった。
ユーリヤだけでなく、小食のメンバーまでもが、食事を済ませた直後だというのに完食している。
「これは、エリザベスさんに教えてもらったパンの作り方で、パンケーキを作ってみたんです」
「おぉぉ、これがエリザベスの加護か。普段のメリッサの料理は十分に美味しいんだけど、それが更に美味しくなるのか」
「私の加護は穀物にしか効果がありませんが……それはさておき、メリッサさんの料理の腕が良いからですよ。それに、私の加護はパンを作る人が愛情を注いで居ないと、効果が半減してしまいますから」
エリーのお母さんが元気を取り戻したエリザベスの加護を備えた料理か。
この美味しさなら、元々食が細いエルフにもウケるのではないだろうか。
そう思ってイロナを見てみると、
「うん! とっても美味しかったよー! お腹いっぱいだったのにー、全部食べちゃったもん」
しっかり完食していた。
やはりこれなら大丈夫だと確信を得た所で、
『ヘンリーさん。先程メリッサさんは、パンケーキだって言いましたよね?』
(ん? そうだけど、どうかしたのか?)
『……私の故郷では、これを更に美味しくする食べ方があるので、後でこっそりお伝えしてもらって良いですか?』
(え!? これを更に美味しく!? というか、アオイはパンケーキを知っていたのか?)
『はい。割とポピュラーなスイーツなので。ただ、私がお伝えする食べ方は、女性には人気でしたが、男性にはキツイかもしれませんが』
(いや、パーティに来るエルフたちは女性の方が多いと思うし、構わないと思うけど)
『そうですか。では……』
アオイの故郷の話を聞き、それをメリッサに伝え……俺の領主就任パーティの日となった。
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