172 / 343
第6章 漆黒の召喚士
第172話 ハーレム?
しおりを挟む
「うぅー。あのダークエルフが残って、ルミがお兄ちゃんと一緒に行くべきなのにー」
「はいはい。長老のお孫さんは大変ねー。ヘンリーさん、いえヘンリーの事はイロナちゃんに任せて、しっかりお仕事してきてねー」
「あぁーっ! お兄ちゃんの事、呼び捨てにしてるーっ!」
エルフの村にダークエルフが住む事になり、村のルールの確認や新たな整備などをする事になったそうで、サロモンさんやヨセフィーナさんたちの長グループに混じって、若者いエルフ代表でルミも参加する事になったらしい。
そのため、悔しそうにするルミと余裕の笑みを浮かべるイロナ……って、お互い仲良くしようぜ。
せっかくの交流復活なんだからさ。
「イロナ。お兄さんに迷惑をかけ過ぎてはいけないのよ?」
「ヨセフィーナ様ったら、大丈夫ですよー。イロナちゃん、ちゃんと分かってますからー。女の子のワガママはー、男の人にとってはご褒美なんですよねー」
「……お兄さん。悪い娘ではないのよ。ただ、その……ちょっと、いろいろとアレなだけで。だけど精霊魔法が使えるし、薬や毒の知識もあるから、きっと役に立つと思うのよ」
一先ず、今後も魔族と戦うであろう俺にダークエルフを代表してイロナが俺に同行し、持ち前の精霊魔法や毒の知識で共闘する事で、今回の恩返しにする……という事になった。
残念な事に、イロナの知識不足のせいで、夜のサービスについては当面実施してくれそうにないが。
まぁでも、この常にこの大きな胸の谷間を眺められるだけでも良しとしよう。
精霊魔法を使う者は肌の露出が激しいというのは、実に素晴らしい仕組みだ。
「じゃあ、俺は街に戻りますね。あと、ヨセフィーナさんは俺と一緒に城へ行って、魔族を倒した事について言及してもらうかもしれませんので」
「えぇ、心得ているわよ」
ヨセフィーナさんと、未だに不機嫌そうなルミに見送られ、イロナを連れてワープ・ドアの魔法でエリーの家へ。
ルミの家で暫く話していたから気付けなかったが、既に陽が傾いていて、家の前でアタランテが退屈そうにしていた。
「あ、貴方ー! おかえりなさーいっ!」
「アタランテ、ただいま」
かなり待って居たからか、俺に気付いた途端にアタランテ走り寄ってきたのだが、
「……えっ!? ちょっと、このエルフは誰なのよっ!」
「ねぇねぇ、ヘンリー。この獣人の女性は誰なのー?」
俺の腕に抱きつくイロナを見て、足を止める。
「アタランテ。この娘は、イロナっていうんだ。後で説明するけど、いろいろあって行動を共にする事になった。よろしく頼むよ」
「ふーん。まぁ後で事情を説明してくれるなら……アタランテよ。よろしく」
「イロナよ。これから私が一番になるけど、よろしくね」
アタランテとイロナが互いに見つめ合って挨拶をしているのだが、どちらも笑顔なのに目が笑っていないのは何故だろうか。
というか、イロナは普通に喋れるのかよ。
あの喋り方は、お店用って事なのか? それとも初対面だから、丁寧に話したのか? まぁどっちでも構わないが。
「立ち話もなんだし、食事にしよう。エリーとユーリヤも待って居るだろうしな」
「うん、そうだねー。今日も頑張ったから、お腹が空いたよー」
「エリーとユーリヤ? ヘンリー……まさか、まだ女の子が居るの?」
眉をひそめるイロナと反対の腕にアタランテが腕を絡め、三人でエリーの家へ上がって行く。
「エリー。お邪魔しま……」
「にーにっ! にーにーっ! おかえりーっ!」
「ユーリヤ、ただいま」
幼女らしからぬ速度で俺の胸にダイブしてきたユーリヤに驚き、イロナが腕から離れたので、その手でユーリヤの頭を撫でてやる。
「あのね、あのね。ユーリヤ、ねーねと、ごはんつくたのー!」
「そうなんだー。凄いじゃないか、ユーリヤ」
「うんっ! だから、にーに、たべてー!」
「もちろん。ユーリヤが作ってくれたご飯、楽しみだなー」
目をキラキラ輝かせて喋るユーリヤを抱きかかえると、イロナが恐る恐る口を開く。
「えっ!? えぇっ!? ヘンリーは既に子供が居るのーっ!?」
「ユーリヤは俺の子供ではないけど、保護者というか、父親代わりというか、まぁいろいろあってさ。一先ず、ユーリヤは俺が護る事にしたんだ」
「そ、そっかー。父親代わりなんだねー。イロナちゃん、ちょっとビックリしちゃったー。てへっ」
ユーリヤと共に歩きだすと、
「てへっ!? ……そんな言葉を使って良いのはユーリヤくらいじゃないの?」
アタランテが小さな声で呟く。
イロナには……うん、おそらく聞こえていないと思う。
仲良く……仲良くしようぜっ!
まぁでも、夕食を共にすれば二人とも打ち解け合うだろ。
今は事情を割愛した事もあって、互いの事がわかっていないからな。
お腹がいっぱいになれば、皆幸せになって争いの心も消えてしまうだろう。
そう思って足早にリビングへ移動すると、
「ハー君! おかえりーっ! お疲れ様っ!」
「エリー、ただいま」
抱きかかえたユーリヤと、腕に抱きつくアタランテの隙間にエリーが飛び込んできた。
少しすると満足したのか、エリーが離れ、
「じゃあ、皆席に……って、そちらの女の子は初めましてかな? エリーだよー! よろしくねー!」
「あ、うん。イロナちゃんだよ。よろしくねー!」
イロナと挨拶を交わす。
一先ず名乗りあったし、詳しい事はご飯を食べながらにしようと思った所で、
「……ヘンリー。お店に来る前から、既にハーレムがあったんだねー」
「ん? お店? 貴方。どういう事か、詳しく話してもらえるかなー?」
ポツリと呟いたイロナの言葉に、アタランテが反応する。
「え? いや、それはこれから話すんだけど、先ずは食事を……」
「貴方。今日、どこで何をしてきたのかしら」
「ハー君。何か買い物してきたのー?」
「イロナちゃん、知ーらなーい」
どうしよう。アタランテの眼光が鋭すぎるんだけど。
「にーに! ユーリヤがきれーにならべた、サラダたべてー!」
俺の膝の上で、無邪気にレタスを差し出すユーリヤに癒されながら、質疑応答に対応する事になってしまった。
「はいはい。長老のお孫さんは大変ねー。ヘンリーさん、いえヘンリーの事はイロナちゃんに任せて、しっかりお仕事してきてねー」
「あぁーっ! お兄ちゃんの事、呼び捨てにしてるーっ!」
エルフの村にダークエルフが住む事になり、村のルールの確認や新たな整備などをする事になったそうで、サロモンさんやヨセフィーナさんたちの長グループに混じって、若者いエルフ代表でルミも参加する事になったらしい。
そのため、悔しそうにするルミと余裕の笑みを浮かべるイロナ……って、お互い仲良くしようぜ。
せっかくの交流復活なんだからさ。
「イロナ。お兄さんに迷惑をかけ過ぎてはいけないのよ?」
「ヨセフィーナ様ったら、大丈夫ですよー。イロナちゃん、ちゃんと分かってますからー。女の子のワガママはー、男の人にとってはご褒美なんですよねー」
「……お兄さん。悪い娘ではないのよ。ただ、その……ちょっと、いろいろとアレなだけで。だけど精霊魔法が使えるし、薬や毒の知識もあるから、きっと役に立つと思うのよ」
一先ず、今後も魔族と戦うであろう俺にダークエルフを代表してイロナが俺に同行し、持ち前の精霊魔法や毒の知識で共闘する事で、今回の恩返しにする……という事になった。
残念な事に、イロナの知識不足のせいで、夜のサービスについては当面実施してくれそうにないが。
まぁでも、この常にこの大きな胸の谷間を眺められるだけでも良しとしよう。
精霊魔法を使う者は肌の露出が激しいというのは、実に素晴らしい仕組みだ。
「じゃあ、俺は街に戻りますね。あと、ヨセフィーナさんは俺と一緒に城へ行って、魔族を倒した事について言及してもらうかもしれませんので」
「えぇ、心得ているわよ」
ヨセフィーナさんと、未だに不機嫌そうなルミに見送られ、イロナを連れてワープ・ドアの魔法でエリーの家へ。
ルミの家で暫く話していたから気付けなかったが、既に陽が傾いていて、家の前でアタランテが退屈そうにしていた。
「あ、貴方ー! おかえりなさーいっ!」
「アタランテ、ただいま」
かなり待って居たからか、俺に気付いた途端にアタランテ走り寄ってきたのだが、
「……えっ!? ちょっと、このエルフは誰なのよっ!」
「ねぇねぇ、ヘンリー。この獣人の女性は誰なのー?」
俺の腕に抱きつくイロナを見て、足を止める。
「アタランテ。この娘は、イロナっていうんだ。後で説明するけど、いろいろあって行動を共にする事になった。よろしく頼むよ」
「ふーん。まぁ後で事情を説明してくれるなら……アタランテよ。よろしく」
「イロナよ。これから私が一番になるけど、よろしくね」
アタランテとイロナが互いに見つめ合って挨拶をしているのだが、どちらも笑顔なのに目が笑っていないのは何故だろうか。
というか、イロナは普通に喋れるのかよ。
あの喋り方は、お店用って事なのか? それとも初対面だから、丁寧に話したのか? まぁどっちでも構わないが。
「立ち話もなんだし、食事にしよう。エリーとユーリヤも待って居るだろうしな」
「うん、そうだねー。今日も頑張ったから、お腹が空いたよー」
「エリーとユーリヤ? ヘンリー……まさか、まだ女の子が居るの?」
眉をひそめるイロナと反対の腕にアタランテが腕を絡め、三人でエリーの家へ上がって行く。
「エリー。お邪魔しま……」
「にーにっ! にーにーっ! おかえりーっ!」
「ユーリヤ、ただいま」
幼女らしからぬ速度で俺の胸にダイブしてきたユーリヤに驚き、イロナが腕から離れたので、その手でユーリヤの頭を撫でてやる。
「あのね、あのね。ユーリヤ、ねーねと、ごはんつくたのー!」
「そうなんだー。凄いじゃないか、ユーリヤ」
「うんっ! だから、にーに、たべてー!」
「もちろん。ユーリヤが作ってくれたご飯、楽しみだなー」
目をキラキラ輝かせて喋るユーリヤを抱きかかえると、イロナが恐る恐る口を開く。
「えっ!? えぇっ!? ヘンリーは既に子供が居るのーっ!?」
「ユーリヤは俺の子供ではないけど、保護者というか、父親代わりというか、まぁいろいろあってさ。一先ず、ユーリヤは俺が護る事にしたんだ」
「そ、そっかー。父親代わりなんだねー。イロナちゃん、ちょっとビックリしちゃったー。てへっ」
ユーリヤと共に歩きだすと、
「てへっ!? ……そんな言葉を使って良いのはユーリヤくらいじゃないの?」
アタランテが小さな声で呟く。
イロナには……うん、おそらく聞こえていないと思う。
仲良く……仲良くしようぜっ!
まぁでも、夕食を共にすれば二人とも打ち解け合うだろ。
今は事情を割愛した事もあって、互いの事がわかっていないからな。
お腹がいっぱいになれば、皆幸せになって争いの心も消えてしまうだろう。
そう思って足早にリビングへ移動すると、
「ハー君! おかえりーっ! お疲れ様っ!」
「エリー、ただいま」
抱きかかえたユーリヤと、腕に抱きつくアタランテの隙間にエリーが飛び込んできた。
少しすると満足したのか、エリーが離れ、
「じゃあ、皆席に……って、そちらの女の子は初めましてかな? エリーだよー! よろしくねー!」
「あ、うん。イロナちゃんだよ。よろしくねー!」
イロナと挨拶を交わす。
一先ず名乗りあったし、詳しい事はご飯を食べながらにしようと思った所で、
「……ヘンリー。お店に来る前から、既にハーレムがあったんだねー」
「ん? お店? 貴方。どういう事か、詳しく話してもらえるかなー?」
ポツリと呟いたイロナの言葉に、アタランテが反応する。
「え? いや、それはこれから話すんだけど、先ずは食事を……」
「貴方。今日、どこで何をしてきたのかしら」
「ハー君。何か買い物してきたのー?」
「イロナちゃん、知ーらなーい」
どうしよう。アタランテの眼光が鋭すぎるんだけど。
「にーに! ユーリヤがきれーにならべた、サラダたべてー!」
俺の膝の上で、無邪気にレタスを差し出すユーリヤに癒されながら、質疑応答に対応する事になってしまった。
0
お気に入りに追加
1,338
あなたにおすすめの小説
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
俺だけ異世界行ける件〜会社をクビになった俺は異世界で最強となり、現実世界で気ままにスローライフを送る〜
平山和人
ファンタジー
平凡なサラリーマンである新城直人は不況の煽りで会社をクビになってしまう。
都会での暮らしに疲れた直人は、田舎の実家へと戻ることにした。
ある日、祖父の物置を掃除したら変わった鏡を見つける。その鏡は異世界へと繋がっていた。
さらに祖父が異世界を救った勇者であることが判明し、物置にあった武器やアイテムで直人はドラゴンをも一撃で倒す力を手に入れる。
こうして直人は異世界で魔物を倒して金を稼ぎ、現実では働かずにのんびり生きるスローライフ生活を始めるのであった。
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
追放?俺にとっては解放だ!~自惚れ勇者パーティに付き合いきれなくなった俺、捨てられた女神を助けてジョブ【楽園創造者】を授かり人生を謳歌する~
和成ソウイチ
ファンタジー
(全77話完結)【あなたの楽園、タダで創ります! 追放先はこちらへ】
「スカウトはダサい。男はつまらん。つーことでラクター、お前はクビな」
――その言葉を待ってたよ勇者スカル。じゃあな。
勇者のパワハラに愛想を尽かしていたスカウトのラクターは、クビ宣告を幸いに勇者パーティを出て行く。
かつては憧れていた勇者。だからこそここまで我慢してきたが、今はむしろ、追放されて心が晴れやかだった。
彼はスカルに仕える前から――いや、生まれた瞬間から決めていたことがあった。
一生懸命に生きる奴をリスペクトしよう。
実はラクターは転生者だった。生前、同じようにボロ布のようにこき使われていた幼馴染の同僚を失って以来、一生懸命に生きていても報われない奴の力になりたいと考え続けていた彼。だが、転生者であるにも関わらずラクターにはまだ、特別な力はなかった。
ところが、追放された直後にとある女神を救ったことでラクターの人生は一変する。
どうやら勇者パーティのせいで女神でありながら奴隷として売り飛ばされたらしい。
解放した女神が憑依したことにより、ラクターはジョブ【楽園創造者】に目覚める。
その能力は、文字通り理想とする空間を自由に創造できるチートなものだった。
しばらくひとりで暮らしたかったラクターは、ふと気付く。
――一生懸命生きてるのは、何も人間だけじゃないよな?
こうして人里離れた森の中で動植物たちのために【楽園創造者】の力を使い、彼らと共存生活を始めたラクター。
そこで彼は、神獣の忘れ形見の人狼少女や御神木の大精霊たちと出逢い、楽園を大きくしていく。
さらには、とある事件をきっかけに理不尽に追放された人々のために無料で楽園を創る活動を開始する。
やがてラクターは彼を慕う大勢の仲間たちとともに、自分たちだけの楽園で人生を謳歌するのだった。
一方、ラクターを追放し、さらには彼と敵対したことをきっかけに、スカルを始めとした勇者パーティは急速に衰退していく。
(他サイトでも投稿中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる