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第6章 漆黒の召喚士

第168話 ロリエルフと巨乳ダークエルフ

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「……という訳で、エルフとダークエルフ。同じ種族同士仲良くしませんか?」

 若干たどたどしい箇所があったものの、ルミがダークエルフの長、ヨセフィーナさんにエルフとダークエルフの交流復活を呼びかけた。
 ちなみに、ダークエルフの長であるヨセフィーナさんは二十代後半といった所なのに、二十歳頃に見える娘さんが居る。
 美しく、胸が大きく、露出も激しく……ダークエルフは歳を取らないのか?
 エルフの村長であるサロモンさんを見てみろ。完璧なお爺さんなんだぞ。……まぁあの人は、千年以上生きているって言っていたが。

「仲良く交流ねぇ……まぁ同じエルフだし、繁殖力の強い人間が大きな顔をしているこの世界で、数の少ないエルフが協力し合おうっていうのは悪くないかもねぇ」
「ですよね!」
「……で、具体的には何をするんだい?」
「……え?」

 ヨセフィーナさんの質問にルミが固まる。
 どうやら考えていなかったらしい。
 必死で考えたのだろう。
 ヨセフィーナさんの、美しくも冷たい視線で見つめられたルミが、絞りだすようにして声を出す。

「ま、魔法や技術の勉強会……とか?」
「……我々ダークエルフが最も長けているのは、毒に関する知識だけど、それでも良いのかい?」
「ど、毒も使いようによっては、薬になりますし」
「へぇ、言うじゃないか。じゃあ、お嬢ちゃんたちエルフは、どんな事を教えてくれるんだい?」

 新たな質問で再びルミが固まる。
 ヨセフィーナさんの相手は、見た目十二歳くらいのルミには中々荷が重いらしい。
 だが、エルフ同士の話に俺が口出しする訳にもいかないので、こればっかりはルミに頑張ってもらうしかないだろう。
 テンパっているのか、今にも泣きだしそうな顔のルミが俺をチラッと見て、

「る、ルミたちは時空魔法を教え……」
「教えるかぁぁぁっ!」
「ど、どうしてっ!? お兄ちゃん、そろそろルミにも教えてよぉっ!」
「だから、無理だって言っただろ」

 盛大に俺を巻きこもうとしてきやがった。

「時空魔法!? そっちの人間は時空魔法が使えるのかい!?」

 ほら、ヨセフィーナさんが興味を示しちゃったよ。
 どうするんだよ。
 教えろって言われても、アオイが使える訳であって、俺が使える訳じゃないから教える事なんて出来ないぞ。

「まぁ確かに使えますけど、使えるだけであって、教える事が出来る程習熟している訳ではないので、教える事は出来ません」
「いや、使えるだけでも凄いと思うけどね。というより、そもそもどうして人間がエルフのお嬢ちゃんと一緒に行動しているんだい? あっちのエルフは、我々とは違って人間嫌いじゃなかったのかい? 確か、昔エルフの英雄が人間の勇者と一緒に魔王退治に行ったけど、パーティに居た人間に魔法で負けたから、拗ねて人間を避けるようになったって聞いているけどね」

『プークスクス。……あのバカエルフ、私に魔法で負けて拗ねちゃってたんですね。まぁこの大賢者アオイちゃんを前にしては、仕方が無い事ですけど』

 ヨセフィーナさんが魔王討伐隊の話を出すから、アオイの面倒臭いスイッチが入っちゃったよ。
 ルミも自分のご先祖様をバカにされたみたいで微妙な表情になっているし、ここは話を変えてあげようか。

「ところで、俺たちがここへ来た理由なんですが、先程ヴィルヘルミーナさんにもお伝えしたんですが、ブライタニア王国に現れた魔族がこのダークエルフの村に来る可能性が高いです。というか、戦ったから分かるのですが、必ず来ます」
「魔族が? だが、ここは我々ダークエルフが隠蔽魔法を使って存在を隠している。いかに魔族といえども、そう簡単に見つかるとは思えないけどね」
「この村は隠していても、海の家はどうですか? あそこは、普通の人間でも入れる場所でしょう」
「……確かに。だが、そもそも魔族は何しに来るんだい?」
「目的はダークエルフの魔力です。おそらくダークエルフの中で、一番幼い女の子が狙われ、さらわれる可能性が高い」
「一番幼い女の子? 魔力を求めるのなら、幼い子供ではダメだろう。その話は矛盾してないかい?」
「いえ、その魔族が幼女趣味なんです」

 幼女趣味――ロリコン魔族の話でヨセフィーナさんが絶句する。
 もしかしたら、ダークエルフの村に幼い女の子が居るのかもしれない。
 そうだとしたら、ダークエルフたちと協力して全力で守らなければ。

「……幼女趣味だったら、一緒に居るエルフのお嬢ちゃんも狙われるんじゃないのかい?」
「そうですね。ですが、以前に俺が戦った時は、七歳くらいの女の子からオジサン呼ばわりされて喜んで居ましたね」
「それは、かなり重症の変態だな。人間で七歳という事は、エルフでいうと七十歳くらいか……マズイな。流石に店には出ないが、村にはそれくらいの年齢の女の子が居る」
「あのお店に居る最年少の女の子は何歳くらいなんですか?」
「夜は百八十……人間の十八歳相当からだが、昼は十六歳相当からだ」
「なるほど」

 夜は十八歳相当のダークエルフの女の子が大人なサービスをしてくれる……。
 行ってみたい。行ってみたいぞぉぉぉっ!
 どうやって夜にお店へ行こうかと考えていると、突然ヨセフィーナさんの表情が険しくなる。

「なっ……今、店で変な男たちが暴れているらしい。しかも、その中には魔族と思わしき男が居ると」
「急いで行きましょう! こっちへ!」

 俺はワープ・ドアの魔法を使い、何事かと戸惑うヨセフィーナさんの手を引き、ダークエルフの海の家へと移動した。
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