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第6章 漆黒の召喚士
第157話 エリーの母性!?
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ルミの準備が整ったので、早速黒の森へ……という訳にはいかず、先ずは俺一人でニーナの所へ。
ちなみに、普段はちゃんと王宮の門から正規の手続きを取って入っているけれど、今回は瞬間移動魔法で訓練場へ直接移動し、出来るだけ人目に付かないようにしている。
「えっと、隊長さん。話を纏めると、隊長さんがエァル公国へ行くから、その許可をフローレンス様からボクが貰えば良いって事?」
「そういう事だ。俺はフローレンス様に瞬間移動の魔法が使える事を報告していないから、今俺からフローレンス様に話すと、時間的な辻褄が合わないんだよ」
「せっかく瞬間移動っていう物凄い魔法が使えるんだから、使えるって言えば良いと思うんだけど……その表情を見ると、いろいろあるんですねー。了解ですー。メッセージ魔法で連絡を貰った事にして、話しておきますねー」
「あぁ、頼む。それから、暫く俺はエァル公国に行っているので、ニーナはジェーンと共に王宮に待機して居て欲しい。万が一、俺の読みが外れて魔族が王宮へ直接来た場合の為に」
「わかりました。あと、そういった緊急時には、今騎士団寮に居るマーガレットさんに言って、メッセージ魔法を送って貰えば良いんですよね」
あとジェーンも訓練場に居たので、ニーナと同様に有事の際に対応可能とするため、王宮の警護の任務に就いてもらう事と、暫くニーナの家に泊めてもらうようにと言っておいた。
一先ず、フローレンス様が心配していた俺が不在時の対応については、ジェーンが居れば少しは安心して貰えるだろう。
そんな事を考えていると、何かを思い出した様子のニーナが口を開く。
「ところで隊長さん。行き先がエァル公国って話ですけど、大丈夫ですか?」
「ん? 大丈夫とは?」
「だって、エァル公国ってこの国――ブライタニア王国と仲が悪いですよね」
「え!? そうなの!?」
「えぇ。戦争とまではいきませんが、昔からの領土問題で互いの主張がぶつかり合ってますから」
なるほど。
全く興味が無かったから、全然知らなかった。
となれば、尚更第三王女直属特別隊ではなく学生の旅行として行かなければならないな。
ニーナに礼を言い、学生としての入国手続きを依頼すると共に、改めてジェーンの住まいについてお願いすると、再び瞬間移動魔法で撤収した。
一先ず、フローレンス様への報告と、ニーナとジェーンの騎士コンビは大丈夫だろう。
『ヘンリーさん。これは何かあったら即撤収ですね』
(そうだな。フローレンス様の名前を出すと、余計に話がこじれそうだし)
『ちなみに、そのエァル公国とはどんな国なんですか?』
(あんまり詳しくは知らないけれど、ここ――王都から西にある少し小さめの国なんだけど、隣国はこの国だけで、海に囲まれているんだ。おそらく、エァル公国の南側に黒い森があるんじゃないかと思っている)
エァル公国はエルフの村からだと南西にあたるし、黒の森はそこで間違いないと思う。
一先ずエァル公国の街へ行き、情報収集をして、細かい場所はルミに教えてもらう事になるだろう。
次は寮へ戻り、アタランテにソフィアと共にドワーフ国探しをするように告げ、
「……そうだ。探してもらっているドワーフの国だけど、宮廷魔術士が全面的に協力してくれるらしいから、もうすぐ解決すると思うよ」
「良かったー。正直言って、範囲が広すぎて途方に暮れてたのよ。素直にありがたいわね」
「また話が具体的になったら連携して、動いてくれ。あと、今日から暫くエリーの家に泊まる事になるから」
夜の事も伝えて、エルフの村へと一旦戻る。
「お待たせ」
「にーに、おかえりー!」
俺の魔力を察知したのか、移動した直後に抱きついてきたユーリヤを床に下ろすと、目線を合わせてゆっくりと話す。
「ユーリヤ。俺は今からお出かけしないといけないんだ。少しだけお留守番出来る?」
「やだー! ユーリヤは、にーにといっしょー!」
「うん。俺はいつもユーリヤと一緒に居るよ。でも、お仕事でどうしてもユーリヤを連れて行けないんだ」
「やだもんっ! にーにといっしょじゃなきゃ、やだー!」
ダメか。
正直、一番の難所がユーリヤだと思っていたのだが、予想通りとなってしまった。
子供なので、理由を説明しても自身が納得しないとダメだし、無理矢理強引に置いていけば、街が壊滅する恐れがある。
今みたいに、お菓子や食べ物で釣っておいて、小一時間程行く事は出来るが、それでも誰かが付きっきりじゃないといけないし、どうしたものか。
「ねぇ、ユーリヤちゃん。お姉ちゃんのおうちに来る? ハー君も何度も来てるし、夜はお姉ちゃんの家に帰って来るんだよー」
「ねーねがあそんでくれるのー?」
「うん。お姉ちゃんも、今お家に一人で寂しいんだー。だから、ユーリヤちゃんが一緒に居てくれると、お姉ちゃんも嬉しいんだけどなー」
「……わかったー。ユーリヤ、ねーねといっしょにいるー!」
……何……だと……?
あのユーリヤが、俺以外の人間に懐いた!?
いや、ユーリヤが俺以外にも心を開くのは凄く嬉しい事だし、俺にとっても良い事なのだが……エリー、凄いな。
学校で見かける程度で、あまり接点があったとも思えないのに。
エリー自身が寂しいからか、それともホムンクルスの件で母性に目覚めたのか。
一先ずワープ・ドアの魔法を使って全員でユーリヤの家へ行き、
「じゃあ、行ってくるよ。夜には一旦帰って来るから、ユーリヤを頼む」
「うん。ハー君、行ってらっしゃーい!」
「にーに、いってらっしゃーい!」
エリーとユーリヤに見送られながら、ルミと共に街の西門へ向かって歩きだす。
二人が見えなくなるまでルミは静かだったのだが、
「ふっふっふ。お兄ちゃん、ここからはルミのターンだよ」
姿が見えなくなった途端、意味不明な事を言い出した。
ちなみに、普段はちゃんと王宮の門から正規の手続きを取って入っているけれど、今回は瞬間移動魔法で訓練場へ直接移動し、出来るだけ人目に付かないようにしている。
「えっと、隊長さん。話を纏めると、隊長さんがエァル公国へ行くから、その許可をフローレンス様からボクが貰えば良いって事?」
「そういう事だ。俺はフローレンス様に瞬間移動の魔法が使える事を報告していないから、今俺からフローレンス様に話すと、時間的な辻褄が合わないんだよ」
「せっかく瞬間移動っていう物凄い魔法が使えるんだから、使えるって言えば良いと思うんだけど……その表情を見ると、いろいろあるんですねー。了解ですー。メッセージ魔法で連絡を貰った事にして、話しておきますねー」
「あぁ、頼む。それから、暫く俺はエァル公国に行っているので、ニーナはジェーンと共に王宮に待機して居て欲しい。万が一、俺の読みが外れて魔族が王宮へ直接来た場合の為に」
「わかりました。あと、そういった緊急時には、今騎士団寮に居るマーガレットさんに言って、メッセージ魔法を送って貰えば良いんですよね」
あとジェーンも訓練場に居たので、ニーナと同様に有事の際に対応可能とするため、王宮の警護の任務に就いてもらう事と、暫くニーナの家に泊めてもらうようにと言っておいた。
一先ず、フローレンス様が心配していた俺が不在時の対応については、ジェーンが居れば少しは安心して貰えるだろう。
そんな事を考えていると、何かを思い出した様子のニーナが口を開く。
「ところで隊長さん。行き先がエァル公国って話ですけど、大丈夫ですか?」
「ん? 大丈夫とは?」
「だって、エァル公国ってこの国――ブライタニア王国と仲が悪いですよね」
「え!? そうなの!?」
「えぇ。戦争とまではいきませんが、昔からの領土問題で互いの主張がぶつかり合ってますから」
なるほど。
全く興味が無かったから、全然知らなかった。
となれば、尚更第三王女直属特別隊ではなく学生の旅行として行かなければならないな。
ニーナに礼を言い、学生としての入国手続きを依頼すると共に、改めてジェーンの住まいについてお願いすると、再び瞬間移動魔法で撤収した。
一先ず、フローレンス様への報告と、ニーナとジェーンの騎士コンビは大丈夫だろう。
『ヘンリーさん。これは何かあったら即撤収ですね』
(そうだな。フローレンス様の名前を出すと、余計に話がこじれそうだし)
『ちなみに、そのエァル公国とはどんな国なんですか?』
(あんまり詳しくは知らないけれど、ここ――王都から西にある少し小さめの国なんだけど、隣国はこの国だけで、海に囲まれているんだ。おそらく、エァル公国の南側に黒い森があるんじゃないかと思っている)
エァル公国はエルフの村からだと南西にあたるし、黒の森はそこで間違いないと思う。
一先ずエァル公国の街へ行き、情報収集をして、細かい場所はルミに教えてもらう事になるだろう。
次は寮へ戻り、アタランテにソフィアと共にドワーフ国探しをするように告げ、
「……そうだ。探してもらっているドワーフの国だけど、宮廷魔術士が全面的に協力してくれるらしいから、もうすぐ解決すると思うよ」
「良かったー。正直言って、範囲が広すぎて途方に暮れてたのよ。素直にありがたいわね」
「また話が具体的になったら連携して、動いてくれ。あと、今日から暫くエリーの家に泊まる事になるから」
夜の事も伝えて、エルフの村へと一旦戻る。
「お待たせ」
「にーに、おかえりー!」
俺の魔力を察知したのか、移動した直後に抱きついてきたユーリヤを床に下ろすと、目線を合わせてゆっくりと話す。
「ユーリヤ。俺は今からお出かけしないといけないんだ。少しだけお留守番出来る?」
「やだー! ユーリヤは、にーにといっしょー!」
「うん。俺はいつもユーリヤと一緒に居るよ。でも、お仕事でどうしてもユーリヤを連れて行けないんだ」
「やだもんっ! にーにといっしょじゃなきゃ、やだー!」
ダメか。
正直、一番の難所がユーリヤだと思っていたのだが、予想通りとなってしまった。
子供なので、理由を説明しても自身が納得しないとダメだし、無理矢理強引に置いていけば、街が壊滅する恐れがある。
今みたいに、お菓子や食べ物で釣っておいて、小一時間程行く事は出来るが、それでも誰かが付きっきりじゃないといけないし、どうしたものか。
「ねぇ、ユーリヤちゃん。お姉ちゃんのおうちに来る? ハー君も何度も来てるし、夜はお姉ちゃんの家に帰って来るんだよー」
「ねーねがあそんでくれるのー?」
「うん。お姉ちゃんも、今お家に一人で寂しいんだー。だから、ユーリヤちゃんが一緒に居てくれると、お姉ちゃんも嬉しいんだけどなー」
「……わかったー。ユーリヤ、ねーねといっしょにいるー!」
……何……だと……?
あのユーリヤが、俺以外の人間に懐いた!?
いや、ユーリヤが俺以外にも心を開くのは凄く嬉しい事だし、俺にとっても良い事なのだが……エリー、凄いな。
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一先ずワープ・ドアの魔法を使って全員でユーリヤの家へ行き、
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「うん。ハー君、行ってらっしゃーい!」
「にーに、いってらっしゃーい!」
エリーとユーリヤに見送られながら、ルミと共に街の西門へ向かって歩きだす。
二人が見えなくなるまでルミは静かだったのだが、
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