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第6章 漆黒の召喚士
第148話 相手の行動を読む訓練
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「私には、妹が居りますの。凄く可愛い自慢の妹で、何より勉強熱心でしたの」
場所を変えていつもの小部屋へ行くと、コートニーがぽつりぽつりと話しだす。
今回はマーガレットがメインらしいので、俺は会議の場で眠ってしまったユーリヤを抱っこしながら、部屋の隅に居るだけだが。
「まだ十九歳になったばかりで、宮廷魔術師としてはまだまだでしたが、魔法の勉強を頑張っていた所でしたのに……」
コートニーが涙を零し、言葉が詰まる。
今の話っぷりだと、おそらく妹さんが亡くなってしまったか、大怪我をしてしまったといった所だろうか。
だが、マーガレットに助けて欲しいと言っている以上、後者だと思いたい。
流石に亡くなった人を生き返らせるというのは、神聖魔法を得意とするマーガレットでさえ無理だと思われるし、そもそも禁忌だと思われる。
『そうですね。亡くなって数秒以内とかでしたらともかく、時が経って居れば身体が維持出来ていないでしょうし。むしろ神聖魔法というよりも、ヘンリーさんの召喚魔法の方が適していると思われます』
(あー、そっか。アオイもマーガレットも、皆大昔に亡くなって居るんだよな)
『えぇ。ただ、以前にも申し上げましたが、亡くなる直前の記憶は無いので、自分が死んでいると言われると、不思議な感じになりますが』
俺が使っている召喚魔法は蘇生では無いのだが、今の現状を見ると、蘇生だと言えなくも無い。
ただ大問題として、召喚相手を指定出来ないので、そもそも今回のコートニーの妹を助けるという事に対しては何も力になれないが。
アオイと話をしていると、目を赤くしたコートニーがチラチラと俺の方を見てくる。
何か言いたい事でもあるのだろうか。
「コートニー。どうしたんだ?」
「いえ、その……これから事情をご説明したいと思っているのですが、実は貴方にはどうしても事情をお話出来無いんですの」
「俺にだけ? マーガレットは良いのか?」
「えぇ。少しだけ、席を外して欲しいんですの」
「……じゃあ、コートニーのお願いについての対応可否を、マーガレットに委ねたいという事か?」
「それは……マーガレットさんにお任せしますの。マーガレットさんに事情を話した上で、貴方の判断を仰がないといけないというのであれば……致し方ないのかもしれませんの」
一先ず、話を聞かなければ何も判断出来ないし、涙を流して頭を下げる程困っているのだろう。
除け者にされるのは少し悲しいが、俺に言えない強い理由があるのであれば、無理矢理聞き出そうとは思わない。
「じゃあ、一旦俺とユーリヤは部屋を出る。その上で、どうすべきかはマーガレットに任すよ」
「わかったー。一先ずコートニーさんの話を聞いて、お兄さんの判断を仰ぐべきだと思ったら、話せる範囲で話すよ」
それで構わない旨を伝えると、
「あの、私はどういたしましょうか」
ジェーンが困った表情を向けてきた。
「じゃあ、ジェーンもマーガレットと一緒に話を聞いてあげて欲しい。マーガレット一人で判断するよりも、相談出来る相手が居た方が良いだろ。コートニーも、ジェーンは話を聞いても構わないんだよな?」
「はい、構いませんの」
頷くコートニーを見て、ユーリヤと共に部屋の外へ。
扉の中ではコートニーが話をしているのだろうが、盗み聞きするような趣味は無い。
だから……暇だ。
『では僭越ながら、私が魔法の講義でも致しましょうか?』
(うーん。それはちょっと違うかな。それなら机に向かって、しっかり筆記出来る状態で聞きたい)
『あー、ユーリヤちゃんが寝ちゃってますもんね』
暫くぼーっとしていると、いつも話し掛けてくれるメイドさんが通りかかった。
無言のまま手招きをすると、眠っているユーリヤに気付き、小声で話しかけてくれる。流石は出来るメイドさんだ。
「……あの、ヘンリー様。どうかされましたか?」
「……大した用事では無いんだけど……えっと、お名前は?」
「……私、ですか? メアリーと申しますが」
「……メアリーさん。俺は今、戦闘における相手の行動を読む訓練をしているんです。少しだけお付き合いいただけないでしょうか」
「……はい、私でよろしければ。ですが、戦ったりは出来ませんが」
「……もちろん戦ったりはしませんよ。あくまで、相手の行動を読む――つまり、先手を取る為の訓練ですので」
一体何をするのだろうと、メアリーさんが小首を傾げながらも、少しワクワクした様子で俺を見つめてくる。
おそらく俺より少し年上の十七歳くらいで、金髪碧眼。小柄だけど、研修所で遭遇したドジっ子メイドさんのようなスキはなく、メイド服をきっちりと着こなして、歩き方も綺麗だ。
胸は大きくもなく、小さくもなく……おそらくアタランテと同じくらいの大きさで、顔は優しく可愛らしい。
ここから導かれる答えは……これだっ!
「……メアリーさん。当たって居たら正直に答えて欲しいのですが……ずばり下着の色は黒ですね?」
「……はい?」
「……いえ、ですから今身に付けているのは、黒い下着ではないかと」
「……いいえ、白ですけど……これが訓練なんですか?」
「……はい。相手を見ただけで、どういう行動かを予測する訓練でした。……あ、あの……訓練なので、俺の考えがどのように間違っていたか、確認させていただけませんか?」
「……えぇっ!? ど、どういう事ですか!?」
「……正直、可愛らしい外見だけど、実は見えない所で少し派手な要素を取り入れる――具体的に言うと、黒いレースでやや際どいデザインだと予想していたのですが、それにどれくらい乖離があったのかを知りたいんです!」
「……そ、それでヘンリー様の手助けになるというのであれば……」
おぉっ! 言ってみるもんだっ!
ぶっちゃけると、あまりに暇すぎたのでメアリーさんの下着の色を聞きたかっただけなんだけど、腰に手を当てて何やらスカートをいじっている。
これは、パンツを見せてくれる流れ!
ドキドキワクワクしながら食い入るようにスカートを凝視していると、
「お兄さん。話が終わったから中へ……って、何してるの?」
「きゃあぁぁっ!」
タイミングの悪い時にマーガレットが出て来て、せっかくパンツを見せてくれそうだったメアリーさんが逃げてしまった。
『アホですか……』
変態とか外道とかではなく、アオイからシンプルに呆れられてしまった。
場所を変えていつもの小部屋へ行くと、コートニーがぽつりぽつりと話しだす。
今回はマーガレットがメインらしいので、俺は会議の場で眠ってしまったユーリヤを抱っこしながら、部屋の隅に居るだけだが。
「まだ十九歳になったばかりで、宮廷魔術師としてはまだまだでしたが、魔法の勉強を頑張っていた所でしたのに……」
コートニーが涙を零し、言葉が詰まる。
今の話っぷりだと、おそらく妹さんが亡くなってしまったか、大怪我をしてしまったといった所だろうか。
だが、マーガレットに助けて欲しいと言っている以上、後者だと思いたい。
流石に亡くなった人を生き返らせるというのは、神聖魔法を得意とするマーガレットでさえ無理だと思われるし、そもそも禁忌だと思われる。
『そうですね。亡くなって数秒以内とかでしたらともかく、時が経って居れば身体が維持出来ていないでしょうし。むしろ神聖魔法というよりも、ヘンリーさんの召喚魔法の方が適していると思われます』
(あー、そっか。アオイもマーガレットも、皆大昔に亡くなって居るんだよな)
『えぇ。ただ、以前にも申し上げましたが、亡くなる直前の記憶は無いので、自分が死んでいると言われると、不思議な感じになりますが』
俺が使っている召喚魔法は蘇生では無いのだが、今の現状を見ると、蘇生だと言えなくも無い。
ただ大問題として、召喚相手を指定出来ないので、そもそも今回のコートニーの妹を助けるという事に対しては何も力になれないが。
アオイと話をしていると、目を赤くしたコートニーがチラチラと俺の方を見てくる。
何か言いたい事でもあるのだろうか。
「コートニー。どうしたんだ?」
「いえ、その……これから事情をご説明したいと思っているのですが、実は貴方にはどうしても事情をお話出来無いんですの」
「俺にだけ? マーガレットは良いのか?」
「えぇ。少しだけ、席を外して欲しいんですの」
「……じゃあ、コートニーのお願いについての対応可否を、マーガレットに委ねたいという事か?」
「それは……マーガレットさんにお任せしますの。マーガレットさんに事情を話した上で、貴方の判断を仰がないといけないというのであれば……致し方ないのかもしれませんの」
一先ず、話を聞かなければ何も判断出来ないし、涙を流して頭を下げる程困っているのだろう。
除け者にされるのは少し悲しいが、俺に言えない強い理由があるのであれば、無理矢理聞き出そうとは思わない。
「じゃあ、一旦俺とユーリヤは部屋を出る。その上で、どうすべきかはマーガレットに任すよ」
「わかったー。一先ずコートニーさんの話を聞いて、お兄さんの判断を仰ぐべきだと思ったら、話せる範囲で話すよ」
それで構わない旨を伝えると、
「あの、私はどういたしましょうか」
ジェーンが困った表情を向けてきた。
「じゃあ、ジェーンもマーガレットと一緒に話を聞いてあげて欲しい。マーガレット一人で判断するよりも、相談出来る相手が居た方が良いだろ。コートニーも、ジェーンは話を聞いても構わないんだよな?」
「はい、構いませんの」
頷くコートニーを見て、ユーリヤと共に部屋の外へ。
扉の中ではコートニーが話をしているのだろうが、盗み聞きするような趣味は無い。
だから……暇だ。
『では僭越ながら、私が魔法の講義でも致しましょうか?』
(うーん。それはちょっと違うかな。それなら机に向かって、しっかり筆記出来る状態で聞きたい)
『あー、ユーリヤちゃんが寝ちゃってますもんね』
暫くぼーっとしていると、いつも話し掛けてくれるメイドさんが通りかかった。
無言のまま手招きをすると、眠っているユーリヤに気付き、小声で話しかけてくれる。流石は出来るメイドさんだ。
「……あの、ヘンリー様。どうかされましたか?」
「……大した用事では無いんだけど……えっと、お名前は?」
「……私、ですか? メアリーと申しますが」
「……メアリーさん。俺は今、戦闘における相手の行動を読む訓練をしているんです。少しだけお付き合いいただけないでしょうか」
「……はい、私でよろしければ。ですが、戦ったりは出来ませんが」
「……もちろん戦ったりはしませんよ。あくまで、相手の行動を読む――つまり、先手を取る為の訓練ですので」
一体何をするのだろうと、メアリーさんが小首を傾げながらも、少しワクワクした様子で俺を見つめてくる。
おそらく俺より少し年上の十七歳くらいで、金髪碧眼。小柄だけど、研修所で遭遇したドジっ子メイドさんのようなスキはなく、メイド服をきっちりと着こなして、歩き方も綺麗だ。
胸は大きくもなく、小さくもなく……おそらくアタランテと同じくらいの大きさで、顔は優しく可愛らしい。
ここから導かれる答えは……これだっ!
「……メアリーさん。当たって居たら正直に答えて欲しいのですが……ずばり下着の色は黒ですね?」
「……はい?」
「……いえ、ですから今身に付けているのは、黒い下着ではないかと」
「……いいえ、白ですけど……これが訓練なんですか?」
「……はい。相手を見ただけで、どういう行動かを予測する訓練でした。……あ、あの……訓練なので、俺の考えがどのように間違っていたか、確認させていただけませんか?」
「……えぇっ!? ど、どういう事ですか!?」
「……正直、可愛らしい外見だけど、実は見えない所で少し派手な要素を取り入れる――具体的に言うと、黒いレースでやや際どいデザインだと予想していたのですが、それにどれくらい乖離があったのかを知りたいんです!」
「……そ、それでヘンリー様の手助けになるというのであれば……」
おぉっ! 言ってみるもんだっ!
ぶっちゃけると、あまりに暇すぎたのでメアリーさんの下着の色を聞きたかっただけなんだけど、腰に手を当てて何やらスカートをいじっている。
これは、パンツを見せてくれる流れ!
ドキドキワクワクしながら食い入るようにスカートを凝視していると、
「お兄さん。話が終わったから中へ……って、何してるの?」
「きゃあぁぁっ!」
タイミングの悪い時にマーガレットが出て来て、せっかくパンツを見せてくれそうだったメアリーさんが逃げてしまった。
『アホですか……』
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