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第5章 新たな試練

第133話 隠された双丘

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「フッ……」
「……はっ!」

 優男はクールを気取った感じで、あまり感情を出さずに剣を振るい、ジェーンは俺の振りをしているからか、極力声を出さないようにして剣を振るう。
 戦いとしては、決してレベルは低くないのだが、やや地味な感じがしてしまうのは何故だろうか。

『あの、地味……ですか? 先程から男性の方が激しく斬りつけていますけど』
(んー、例えば今の攻撃だってそうなんだけど、あんな浅い斬撃をいくら放ってもジェーンに当たるはずはないし、それどころかカウンターで突きを返されるのが目に見えている)
『はぁ……でも、ジェーンさんは剣で受け流しましたね』
(そうなんだよなー。ジェーンの持ち味はスピードを活かした連撃……って、あの格好だとジェーンの得意のスタイルで戦えないのか。視野も狭くなっていそうだし)
『鉄仮面を被って戦った事なんて無いでしょうしね』

 これは泥試合になるかもしれないな……と思っていると、予想通りどちらも決め手に欠けるグダグダな戦いになったのだが、突然ジェーンの動きにキレが戻る。

(これは……フルプレートアーマーの稼働域と視界の狭さにジェーンが慣れたな)
『じゃあ、勝負ありって所ですね?』
(そうだな。もうジェーンの勝ちが決まった様な物だし、俺は三人の身体を見納めに行こう)
『えぇー。ここから見て居れば良いじゃないですか』
(何を言う。今なら三人とも二人の戦いに集中しているから、近くで見ても気付かれないだろ)

「シャロン。少しだけユーリヤを見ていてくれ」

 ユーリヤを預けると、物陰からコソコソと出て、三人の女性の背後へ移動する。
 三人が三人共戦いを見ていて、後ろの俺には気付いて居ない。
 しかし、凄いな。この服は何て表現すれば良いのだろう。
 ……ふんどしか?
 腰の前はヒラヒラした布があるものの、お尻なんて殆ど丸出しで、シースルーの薄い布が被せられているだけだからな。
 教会からではなく、踊り子として来たと言われた方がしっくりくる程だ。
 胸も凄いのだが、流石に胸を凝視したら見つかるか? けど、見たい。
 だが前からはモロバレだから、横からならどうだ?
 もしくは、しゃがんで真下から見上げてみるとか。
 三人の大きなおっぱいを、足元から舐めるように見上げると、さぞかし良い景色だろう。
 ただ気付かれた時に、何も言い訳が出来ないが。
 大きなおっぱい、下から見るか? 横から見るか?
 難しい問題だが、保身を考えて横から見てみると……手前の女性が小声でぶつぶつ何かを言っている。
 もしかして、ヤバい人だろうか。
 見た目は綺麗だし、良い身体なのに勿体無い……って、ちょっと待った。
 この女性が呟いているのって、もしかして呪文詠唱じゃないか!?
 まさか、教会の騎士が負けそうだから、魔法で手助けをしようとしている!? それは流石に卑怯だろ。
 だが俺が気付いた直後に女性の魔法が完成してしまった。
 まったく、そうまでして勝ちに行くのかよっ!

「アジリティ……」
「おっと、手が滑ったぁっ!」
「え? ……きゃあぁぁぁっ!」

 三人の女性たちが目の前の戦いに集中していたので、俺は通行人の振りをして、呪文を発動させようとしていた女性の胸を覆う布を掴み、思いっきりずり下げてやった。
 自らの胸が露わになった事が分かった女性が、悲鳴と共に胸を隠すようにして蹲る。
 もちろん、そこに隠された双丘をバッチリ見て、そのまま走り去ってやったぜ!
 ジェーンを助けつつ、俺も良い物を見させてもらう。
 一石二鳥って奴だよね。

『あの、ヘンリーさん。完全な痴漢行為でしかないのと、残りの二人が追い掛けてきてますけど』
(いや、あくまで自己だから。俺の手が滑った所に、偶然あの女性の胸を覆う布があっただけだ)
『そもそも手が滑るって何ですか? それより、相手は教会なんですよね? こんな事をして大丈夫なんですか?』
(大丈夫、大丈夫。絶対に捕まらないし)

 女性二人に追いかけられつつ、建物の角を曲がった所で、小声でテレポートを使用する。

「ただいま」
「お、おかえりなさい」
「にーに! だっこー!」

 一瞬でシャロンとユーリヤの所へ戻って来ると、魔法による支援が得られなかったからか、ジェーンと教会の戦いが終わっていた。
 もちろんジェーンの勝利で、優男は持って居た剣が弾き飛ばされている。
 一方、俺が魔法を妨害した女性は、その場にしゃがみこんだまま、一生懸命布を直していた。
 はっはっは。俺の前で不正な事をしようとするからだ。

『あの……代役を立てているのは不正では無いのですか?』
(まぁ、それはそれ。これはこれだ)
『……』

 黙ってしまったアオイはさて置き、ジェーンに負けた優男が、一先ず帰ると言っている。
 知識や心構えの箇所を見ていないが、とりあえず合格だと思って良いのだろうか。
 そんな事を思っていると、

「レイモンド様。例の件、なにとぞお願いいたします」
「……分かっています」
「お願いします。お願いします」

 コートニーが優男に向かって頭を下げ、何かを必死に頼み込み、邪険に扱われて居た。
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