上 下
128 / 343
第5章 新たな試練

第128話 おっぱいは正義

しおりを挟む
 教会に俺の騎士としての能力を示さなくてはならないのだが、戦闘能力だけではなく、心構えや礼儀、知識なども示さなければならない。
 戦闘能力はともかく、騎士の礼儀や知識を今から超短期間で詰め込もうとしたって、そんなのすぐにボロが出るに決まっている。
 という訳で、それらを全て兼ね備えているジェーンを俺の代わりすれば全てが解決するという訳だ。
 ちなみに騎士という点ではニーナでも良いのだが、正規の騎士であるニーナは顔が割れている可能性があるからな。
 教会にはヘンリー=フォーサイスという名前しか伝わっておらず、俺もジェーンも、どちらの顔も知らないはずだ。

「主様。主様をお助け出来るというのであれば、私が代役となるのも構いませんが、その……私が女に見えないという事でしょうか?」
「いやいや、何を言い出すんだ。ジェーン以上に女の子らしい女の子は、中々居ないだろ。顔は可愛いし、胸も大きい。声だって綺麗で、どこからどう見ても美少女だろ」
「あ、ありがとうございます。そ、その……面と向かって、そこまで言われると恥ずかしいです」

 そう言って、ジェーンが顔を赤らめ、身体をモジモジ動かす。
 しかし、ジェーンは変な心配をするんだな。本当に女の子として見て居なければ、俺がお尻を触る訳が無いだろう。
 流石にこれは、シャロンがすぐ傍に居るので口には出さないが。

「だけど問題は、そのジェーンの女の子らしさの象徴とも言える大きな胸なんだよな」
「す、すみません」
「どうして、そこでジェーンが謝るんだよ。むしろ、胸が大きい事は誇って良い事だろ。おっぱいは正義だ! だから、もちろんシャロンも正義だ!」

 巨乳三銃士の内、ジェーンばかり褒めるのもどうかと思ったので、シャロンの胸も褒めたのだが、何故か微妙な表情を浮かべられてしまった。
 何故だ? おっぱいは正義のはずなのに。

「にーに。ユーリヤはー? せーぎ?」
「も、もちろん。ユーリヤも正義だ」
「わーい! せーぎ、せーぎ」

 その、なんだ。今は何もないけれど、きっとそのうちユーリヤも胸が膨らんでくるだろう。
 まだ可能性があるし、嘘ではない!
 これがソフィアやコートニーだったら、もうあれ以上育たないだろうし、正義とは言えないが。
 しかし、代役にするなら本当はコートニーが適材なんだよな。
 騎士として見られるポイントを全て抑えているだろうし、何よりジェーンと違って胸が無い。
 髪の毛が長いけど、そういう男だって居るし、兜や帽子を被る事も出来るし、対策はいくらでもある。
 だけど、コートニーは確実に先方へ顔バレしているしな。
 胸が無いって点では、ソフィアを連れて来るのも有効なんだけど、そうすると今度は肝心の騎士としての強さで問題が出てしまう。
 やはり、ジェーンの胸をどうするか考えるべきか。

「ジェーンってさ、革鎧を着ているのは見た事があるんだけど、金属の鎧を着ている所を見た覚えがないんだけど、これってニーナと同じ理由なのか?」
「は、はい。恥ずかしながら、胸が入らないです」
「なるほど。だけど革鎧だと、どうしても胸の部分が大きく膨らんでしまう。女性だとバレないようにするには、金属の鎧で胸を隠すしかないんだけど、市販の鎧では大きな胸が入らない……か」

 確か、ニーナとも同じようなやり取りをした気がするな。
 オーダーメイドで金属の鎧を作ろうにも、費用も期間も掛かり過ぎるって。
 ……ん? オーダーメイドか。複雑な物は作れないが、シンプルな物ならオーダーメイドで作れるじゃないか。しかも、今すぐに。

「マテリアライズ」

 具現化魔法を使って、何の装飾もない無骨な金属の鎧を作りだす。

「ジェーン。この鎧は……って、ぶかぶかだな」
「そうですね。ですが、胸は少し引っ掛かりますね」

 適当なサイズで鎧を作りだしたら、男物の服を着て、胸の部分だけがピチピチになっている女性……みたいな事になってしまった。
 というか、この鎧のサイズでも、胸が引っ掛かるのか。

「マテリアライズ」
「マテリアライズ」
「マテリアライズ」

 何度か試行錯誤をして、徐々にサイズは合っていくものの、どうしても違和感が残る。
 代役というのがバレる訳にはいかないのだが、鎧のサイズが微妙に合っていない……という小さな綻びから、何かの気付きになっても困るので、ここはきっちりやっておいた方が良いだろう。

「ジェーン。そこで、俺に背を向けて立ってくれ」
「はい。主様、これで宜しいですか?」
「あぁ……で、今からジェーンの身体のサイズを測るから、動かないでくれ」
「畏まりました。ですが、メジャーなどを使われるのでしたら、前から測った方が宜しくないですか?」
「いや、メジャーなんて無いから、別の方法で測ろうと思うんだ。で、それには後ろ向きの方が良くてさ」

 俺に背を向けたまま、ジェーンが小首を傾げる。
 だが、俺に全てを任せると言わんばかりに、すぐに真っ直ぐ前を向く。
 うん。ジェーンなら、これから俺がする事についても、きっと分かってくれるだろう。

「じゃあ、ジェーン。両手を左右に開いて、肩の高さまで上げたら、そのまま待機」
「はい。出来ました」
「分かった。じゃあ測るからな? 動かないでくれよ?」

 ジェーンに念押した後、頷いたのを確認したので、俺は背後からジェーンの脇の下へ両手を入れる。

「え? 主様!? ……ひゃぅっ!」
「今、測ってるから! あくまで採寸だから!」
「あ、主様ぁ……」

 ジェーンの胸を服の上から鷲掴みにしているけど……超柔らかい。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する

平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。 しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。 だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。 そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。

「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~

平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。 しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。 カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。 一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。

処理中です...