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第5章 新たな試練
第120話 私はお兄さんから絶対に離れない
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「まぁ、こんなところかな」
具現化魔法でベッド二つ分くらいの台を樹の上に作り、おまけで落下防止のための柵も作っておいた。
そこから瞬間移動で街へと戻り、ソフィアとマーガレットと合流……と言いたい所だが、二人が今どこに居るかが分からない。
定時連絡まではまだ時間があるし、どうやって探そう。
『あの、ヘンリーさんからマーガレットさんにメッセージを送る魔法を使えば良いのでは?』
(……あ、そっか)
良く考えたら、メッセージ魔法は魔術師ギルドで有料サービスとして使われている程に普及している汎用魔法だ。
特殊な魔法ならばともかく、普通の魔法ならアオイが使えるか。
早速メッセージ魔法を発動させ、マーガレットへ『今、どこ?』と送ると、
『商店街の本屋です』
と返って来た。
早速向かうと、ソフィアがジト目で出迎える。
「アンタ。何がしたいの? どうして帰ってきたのよ」
「え? どういう事?」
「二時間で北東の山まで行ってくるだなんて豪語したのに。この一時間、何をしていたのよ」
「あれ? 一時間しか経ってないのか? というかさ、北東の山までもう行って来たんだよ。だからソフィアを迎えに来たんだ」
「う、ウソでしょ? あの距離よ!?」
ソフィアが驚くのも分からないでもない。正直、俺も驚いた。
途中、盗賊を捕またり、魔物を斬ったりしていたんだけど、そんなに早く着いたのか。
「で、ソフィアとマーガレットは本屋で何をしているんだ?」
「アンタが北東の山以外も調べろって言うから、地図を買いに来たのよ。精霊魔法で大よその方角は分かっても、どこに向かえば良いか分からないと、アンタに伝えられないでしょ」
「なるほどね。じゃあ、サクッと地図を買って、早く行こうぜ」
「ちょ、アンタ! 中身も見ないで適当に選んで……あー、もぉっ!」
時間が惜しいので、その辺にあった地図を店員に渡して代金を払うと、ソフィアとマーガレットを含めて先程作った物見台へと移動する。
「お兄さん。流石にこんな所へ移動させられると怖いんだけど、他に良い場所は無かったの?」
「いやー、地上は森が深くて暗いんだよ。おまけに魔物も出るし。ここなら明るいし、魔物は来ないだろ?」
「まぁ明るいのは確かだけど……魔物は来てるよ?」
魔物!? 俺の身長の四倍近くある、背の高い樹の上なのに!?
不思議に思っていると、静かにマーガレットが上を指差す。
つられて見上げてみると、空に大きな鳥の影が三つある。
「あー、そういう魔物も居るかー。すっかり失念してたな」
「ちょ、ちょっとアンタ! どうするのよっ! あんなに大きな鳥ががウチらを狙ってるじゃない」
「ソフィア、落ち着けって。ただ上空を飛んで居るだけで、別に俺たちを狙っている訳じゃないって……って、何でイフリートを出したんだ? で、何で呪文の詠唱とかしてるんだ?」
先手必勝とでもいいたいのか、ソフィアが魔法を使おうとしている。
俺としては、そんな詠唱よりも鉱物の検知をして欲しいのだが。
……詠唱中に口塞いでも大丈夫かな?
(アオイ。今、ソフィアの口を塞いだら、魔法って止められる? 何か、魔力を高めてるっぽいけど変な事にならない?)
『止められるとは思いますけど……私は呪文詠唱? なんてしないので、正直何とも。大丈夫とは思うのですが……たぶん』
(いや、多分とかやめてくれよ。ズバッと言いきって欲しいんだけど)
『そう言われましても、自分でやらないので分からないですって』
(えぇー。あ、じゃあマーガレットに聞いてみるよ。マーガレットは無詠唱じゃなかった気がするし)
アオイとの脳内会話を終了し、マーガレットに話を聞こうと近寄る。
「おーい、マーガレット……って、どうしたんだ!? 顔色が悪いぞ!?」
「……お兄さん。私、どうやら高い所はダメみたいです……」
「え? でも、この前は街の壁に上がってたよね?」
「あれはしっかり頑丈だったじゃないですか。けど、ここ……樹の上だからか、時々揺れるのが物凄く怖くて……」
「あー、この床を樹の上に具現化しちゃったからな。まぁでも、万が一の場合は俺が浮遊魔法で……」
「お兄さんっ! 私をしっかり抱きしめてっ!」
「えっ!? マーガレット!?」
ユーリヤを抱きかかえた俺にマーガレットが抱きついてきた。
くっ……ユーリヤが間に居なければ、胸の感触が楽しめただろうに。
何とかユーリヤをもう少し左側に寄せて、右側にマーガレットの身体を密着させられないだろうか。
顔色は悪いが、比較的大きなマーガレットの胸が小さくなる訳ではないので、もぞもぞと身体を動かしていると、
「ファイアストームッ!」
何故かソフィアが俺を睨みながら魔法を発動させた。
……しまった。マーガレットのおっぱいアクシデントで、ソフィアの魔法を止めるという当初の目的をすっかり忘れていた。
目の前にソフィアが作りだした炎の柱が生まれ、空高くに昇って行く。
凄いな。こんな魔法が使えた……いや、使えるようになったのか。
「ソフィア、凄いじゃないか。三匹の鳥が一気に消し炭になったぞ」
「ふんっ! ウチはちゃんと毎日魔法の修行をしているんだからっ! どっかの鼻の下ばかり伸ばしている誰かとは違ってね!」
何故かソフィアが物凄く怒っているのだが、俺を追い越そうとしているのは本気らしい……って、何だか物凄く焦げ臭いぞ?
「って、ソフィア! 早くその魔法を消せっ! 森がめちゃくちゃ燃えてるだろっ!」
「えっ!? ど、どうやって!?」
「どうやって……って、お前が作った火の柱だろうがっ! マーガレット! 緊急事態だ、一旦離れてくれ!」
山火事になるから、何とか消化しなければならないのだが、
「やだっ! 私はお兄さんから絶対に離れないんだからっ!」
「それは嬉しいんだけど、今はダメだぁぁぁっ!」
「こ、この魔法って、どうやって止めるのよーっ!」
マーガレットが離れてくれず、ソフィアは混乱しっぱなし。
とりあえず、アオイに力を借りて水の魔法でソフィアの魔法を相殺したのだが、結果として炎の柱よりも、二回り程広い範囲の樹が炭になってしまった。
具現化魔法でベッド二つ分くらいの台を樹の上に作り、おまけで落下防止のための柵も作っておいた。
そこから瞬間移動で街へと戻り、ソフィアとマーガレットと合流……と言いたい所だが、二人が今どこに居るかが分からない。
定時連絡まではまだ時間があるし、どうやって探そう。
『あの、ヘンリーさんからマーガレットさんにメッセージを送る魔法を使えば良いのでは?』
(……あ、そっか)
良く考えたら、メッセージ魔法は魔術師ギルドで有料サービスとして使われている程に普及している汎用魔法だ。
特殊な魔法ならばともかく、普通の魔法ならアオイが使えるか。
早速メッセージ魔法を発動させ、マーガレットへ『今、どこ?』と送ると、
『商店街の本屋です』
と返って来た。
早速向かうと、ソフィアがジト目で出迎える。
「アンタ。何がしたいの? どうして帰ってきたのよ」
「え? どういう事?」
「二時間で北東の山まで行ってくるだなんて豪語したのに。この一時間、何をしていたのよ」
「あれ? 一時間しか経ってないのか? というかさ、北東の山までもう行って来たんだよ。だからソフィアを迎えに来たんだ」
「う、ウソでしょ? あの距離よ!?」
ソフィアが驚くのも分からないでもない。正直、俺も驚いた。
途中、盗賊を捕またり、魔物を斬ったりしていたんだけど、そんなに早く着いたのか。
「で、ソフィアとマーガレットは本屋で何をしているんだ?」
「アンタが北東の山以外も調べろって言うから、地図を買いに来たのよ。精霊魔法で大よその方角は分かっても、どこに向かえば良いか分からないと、アンタに伝えられないでしょ」
「なるほどね。じゃあ、サクッと地図を買って、早く行こうぜ」
「ちょ、アンタ! 中身も見ないで適当に選んで……あー、もぉっ!」
時間が惜しいので、その辺にあった地図を店員に渡して代金を払うと、ソフィアとマーガレットを含めて先程作った物見台へと移動する。
「お兄さん。流石にこんな所へ移動させられると怖いんだけど、他に良い場所は無かったの?」
「いやー、地上は森が深くて暗いんだよ。おまけに魔物も出るし。ここなら明るいし、魔物は来ないだろ?」
「まぁ明るいのは確かだけど……魔物は来てるよ?」
魔物!? 俺の身長の四倍近くある、背の高い樹の上なのに!?
不思議に思っていると、静かにマーガレットが上を指差す。
つられて見上げてみると、空に大きな鳥の影が三つある。
「あー、そういう魔物も居るかー。すっかり失念してたな」
「ちょ、ちょっとアンタ! どうするのよっ! あんなに大きな鳥ががウチらを狙ってるじゃない」
「ソフィア、落ち着けって。ただ上空を飛んで居るだけで、別に俺たちを狙っている訳じゃないって……って、何でイフリートを出したんだ? で、何で呪文の詠唱とかしてるんだ?」
先手必勝とでもいいたいのか、ソフィアが魔法を使おうとしている。
俺としては、そんな詠唱よりも鉱物の検知をして欲しいのだが。
……詠唱中に口塞いでも大丈夫かな?
(アオイ。今、ソフィアの口を塞いだら、魔法って止められる? 何か、魔力を高めてるっぽいけど変な事にならない?)
『止められるとは思いますけど……私は呪文詠唱? なんてしないので、正直何とも。大丈夫とは思うのですが……たぶん』
(いや、多分とかやめてくれよ。ズバッと言いきって欲しいんだけど)
『そう言われましても、自分でやらないので分からないですって』
(えぇー。あ、じゃあマーガレットに聞いてみるよ。マーガレットは無詠唱じゃなかった気がするし)
アオイとの脳内会話を終了し、マーガレットに話を聞こうと近寄る。
「おーい、マーガレット……って、どうしたんだ!? 顔色が悪いぞ!?」
「……お兄さん。私、どうやら高い所はダメみたいです……」
「え? でも、この前は街の壁に上がってたよね?」
「あれはしっかり頑丈だったじゃないですか。けど、ここ……樹の上だからか、時々揺れるのが物凄く怖くて……」
「あー、この床を樹の上に具現化しちゃったからな。まぁでも、万が一の場合は俺が浮遊魔法で……」
「お兄さんっ! 私をしっかり抱きしめてっ!」
「えっ!? マーガレット!?」
ユーリヤを抱きかかえた俺にマーガレットが抱きついてきた。
くっ……ユーリヤが間に居なければ、胸の感触が楽しめただろうに。
何とかユーリヤをもう少し左側に寄せて、右側にマーガレットの身体を密着させられないだろうか。
顔色は悪いが、比較的大きなマーガレットの胸が小さくなる訳ではないので、もぞもぞと身体を動かしていると、
「ファイアストームッ!」
何故かソフィアが俺を睨みながら魔法を発動させた。
……しまった。マーガレットのおっぱいアクシデントで、ソフィアの魔法を止めるという当初の目的をすっかり忘れていた。
目の前にソフィアが作りだした炎の柱が生まれ、空高くに昇って行く。
凄いな。こんな魔法が使えた……いや、使えるようになったのか。
「ソフィア、凄いじゃないか。三匹の鳥が一気に消し炭になったぞ」
「ふんっ! ウチはちゃんと毎日魔法の修行をしているんだからっ! どっかの鼻の下ばかり伸ばしている誰かとは違ってね!」
何故かソフィアが物凄く怒っているのだが、俺を追い越そうとしているのは本気らしい……って、何だか物凄く焦げ臭いぞ?
「って、ソフィア! 早くその魔法を消せっ! 森がめちゃくちゃ燃えてるだろっ!」
「えっ!? ど、どうやって!?」
「どうやって……って、お前が作った火の柱だろうがっ! マーガレット! 緊急事態だ、一旦離れてくれ!」
山火事になるから、何とか消化しなければならないのだが、
「やだっ! 私はお兄さんから絶対に離れないんだからっ!」
「それは嬉しいんだけど、今はダメだぁぁぁっ!」
「こ、この魔法って、どうやって止めるのよーっ!」
マーガレットが離れてくれず、ソフィアは混乱しっぱなし。
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