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第5章 新たな試練
第98話 お姫様とロリ巨乳
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「違うんですっ! これは……誤解、誤解なんですっ!」
「へー」
「あぁっ! フローレンス様の目が冷たいっ!」
聞く耳を持たないといった様子のフローレンス様の冷たい視線を浴びながら、どうにか誤解を解かなければならないと思い、この悲しい事件の経緯について説明するのだが、
「ヘンリー。ちゃーんと、説明してね。ちゃーんと」
その視線が和らぐどころか、人差し指でぐりぐりと頬を突かれる。
何だろう。
誤解とはいえ、責められているはずなのに、フローレンス様の冷たい視線と共に触れる柔らかい指と、背後から押し付けられ、ますますその圧が強くなっていく大きな膨らみのコントラストは。
『ヘンリーさん。先に言っておきますが、これ以上変な性癖に目覚めないでくださいね』
(いや、この状況で何を言っているんだ? というか、どこに目覚める性癖なんてあるんだよ)
『ドMとか』
(変態のランクが上がってるっ!)
「あ、あの、フローレンス様。これは、私が悪いんです。この部屋に連れて来られた時に、勝手に手篭めにされるのだと早とちりしてしまいまして」
「……二人共本当なの?」
「本当です。それについては、俺がこの部屋でフローレンス様に会う事をシャロンさんに伝えていなかったのも悪いんです」
いつの間にか服を正していたシャロンさんがフローレンス様へ説明すると、何故か俺が話した時とは違い、すぐさま聞き入れられた。
うぅ……これがアオイの言う、日頃の行いという奴なのだろうか。
『その通りです。ヘンリーさん、成長しましたね』
(全く嬉しくないんだが)
アオイに悲しいツッコミを入れられていると、
「で、ヘンリー。本題は?」
ようやくフローレンス様に話を聞いてもらえるようになった。
「はい。二つありまして、一つ目は今後の第三王女直属特別隊の活動についてです。資料庫でシャロンさんに手伝ってもらい、聖銀の加工について少し光が見えました」
「あら、腕利きの鍛冶師が見つかったの?」
「正確に申し上げると、腕利きの鍛冶師が居そうな場所が分かりました。そこで、その場所……ドワーフの国を探させてもらいたいと」
「なるほど、ドワーフの国ね。でも、大昔は交流があったという伝承を聞いた事があるけど、今はどこにあるのか全く分からないわよ?」
「承知の上です。先ずは情報収集から始める必要がありますが」
聖銀の加工……つまり、魔族への対抗手段の確保であり、フローレンス様を守る為の活動なので、すぐに了承してくれると思ったのだが、
「わかりました。ですが、一つだけ条件……いえ、お願いがあります」
「お願い……ですか?」
予想外の言葉が出てきた。
「お願いっていうのは……教会の事なんだけど」
「き、教会絡みですかっ!?」
教会は不味い。
以前、町の教会へ行った時、アオイに反応して牧師さんがマーガレットみたいに退魔スイッチがオンになってしまった。
マーガレットは自信が英霊だからアオイには反応しないみたいだけれど、俺が教会に行くと、牧師さんたちがバーサーカーになってしまう。
「ヘンリー。貴方も王宮へ入るのだから、教会の事を毛嫌いしちゃダメよ?」
「いえ、毛嫌いとかではないんですけど……」
「騎士はともかく、兵士には多いのよねー。教会の事を……って、話が逸れたわね。話を戻すと、ヘンリーに一時的で良いから、魔法騎士の部隊へ入って欲しいのよ」
「魔法騎士に?」
「えぇ。詳しい事は、後で説明があるけど、要は学校卒業前の学生が私の部隊とはいえ、隊長に抜擢されるのは、どういう事だ……って難癖を付けてきているのよ」
「フローレンス様にですか?」
仮にも王女様だというのに、その決定に文句を言うなんて……どうなっているんだ?
「王宮にもいろいろあってね。特に教会側は王宮側と立場が違うから……とはいえ学校もあるし、先程の探索もあるでしょ? だから、毎日参加しなくても良いから。要は、ヘンリーが隊長に抜擢される程の実力の持ち主だって示せれば良いのよ」
実力を示せれば良い……って、それはそれで面倒なんだけど。
しかし、フローレンス様が困っているというのなら、何とかするしかないか。
「分かりました」
「助かるわ。詳細については、また後で連絡するわね。……それから、もう一つ話があるのよね?」
「はい。こちらのシャロンさんを第三王女直属特別隊としても活動出来るようにしていただけないかと思いまして」
「……へぇぇぇ。それはどうしてかしら? まさか、一緒にドワーフの国を探す旅に出て、長い時間を共に歩んで行く内に少しずつ二人の関係に変化が生じ、ある時宿泊先の宿屋でどちらともなく……」
「フ、フローレンス様っ!? そういう話ではないですよっ! それに小さな子の前ですので、そういう事は……」
チラッとユーリヤを見てみると、先程お腹がいっぱいになったからか、いつの間にか部屋の隅で眠っていた。
良かった。
流石に幼女に聞かせる話ではないし、質問されても困るしね。
「じゃあ、シャロンを連れて行くのはどういう理由なの?」
「いえ、ドワーフ国探しに連れて行く訳ではないんです。少し思うところがあり、剣の訓練を受けてもらおうかと思いまして」
「シャロンに戦わせるの?」
「いえ、そういう意図ではありません。護身術くらいに思っていただければ」
「ふぅん。まぁ良いけど……」
フローレンス様がいろいろと言いたげな表情で俺とシャロンさんを見てくる。
けど、先程のお願いを了承したからだろうか。それ以上の追求はなく、承認してもらえた。
だけど、シャロンさんを一旦退出させた後、眠るユーリヤの前でいつもより長めのお姫様抱っこを要求されたけど。
一先ずこれで、シャロンさんも第三王女直属特別隊として活動出来るようになった。
「へー」
「あぁっ! フローレンス様の目が冷たいっ!」
聞く耳を持たないといった様子のフローレンス様の冷たい視線を浴びながら、どうにか誤解を解かなければならないと思い、この悲しい事件の経緯について説明するのだが、
「ヘンリー。ちゃーんと、説明してね。ちゃーんと」
その視線が和らぐどころか、人差し指でぐりぐりと頬を突かれる。
何だろう。
誤解とはいえ、責められているはずなのに、フローレンス様の冷たい視線と共に触れる柔らかい指と、背後から押し付けられ、ますますその圧が強くなっていく大きな膨らみのコントラストは。
『ヘンリーさん。先に言っておきますが、これ以上変な性癖に目覚めないでくださいね』
(いや、この状況で何を言っているんだ? というか、どこに目覚める性癖なんてあるんだよ)
『ドMとか』
(変態のランクが上がってるっ!)
「あ、あの、フローレンス様。これは、私が悪いんです。この部屋に連れて来られた時に、勝手に手篭めにされるのだと早とちりしてしまいまして」
「……二人共本当なの?」
「本当です。それについては、俺がこの部屋でフローレンス様に会う事をシャロンさんに伝えていなかったのも悪いんです」
いつの間にか服を正していたシャロンさんがフローレンス様へ説明すると、何故か俺が話した時とは違い、すぐさま聞き入れられた。
うぅ……これがアオイの言う、日頃の行いという奴なのだろうか。
『その通りです。ヘンリーさん、成長しましたね』
(全く嬉しくないんだが)
アオイに悲しいツッコミを入れられていると、
「で、ヘンリー。本題は?」
ようやくフローレンス様に話を聞いてもらえるようになった。
「はい。二つありまして、一つ目は今後の第三王女直属特別隊の活動についてです。資料庫でシャロンさんに手伝ってもらい、聖銀の加工について少し光が見えました」
「あら、腕利きの鍛冶師が見つかったの?」
「正確に申し上げると、腕利きの鍛冶師が居そうな場所が分かりました。そこで、その場所……ドワーフの国を探させてもらいたいと」
「なるほど、ドワーフの国ね。でも、大昔は交流があったという伝承を聞いた事があるけど、今はどこにあるのか全く分からないわよ?」
「承知の上です。先ずは情報収集から始める必要がありますが」
聖銀の加工……つまり、魔族への対抗手段の確保であり、フローレンス様を守る為の活動なので、すぐに了承してくれると思ったのだが、
「わかりました。ですが、一つだけ条件……いえ、お願いがあります」
「お願い……ですか?」
予想外の言葉が出てきた。
「お願いっていうのは……教会の事なんだけど」
「き、教会絡みですかっ!?」
教会は不味い。
以前、町の教会へ行った時、アオイに反応して牧師さんがマーガレットみたいに退魔スイッチがオンになってしまった。
マーガレットは自信が英霊だからアオイには反応しないみたいだけれど、俺が教会に行くと、牧師さんたちがバーサーカーになってしまう。
「ヘンリー。貴方も王宮へ入るのだから、教会の事を毛嫌いしちゃダメよ?」
「いえ、毛嫌いとかではないんですけど……」
「騎士はともかく、兵士には多いのよねー。教会の事を……って、話が逸れたわね。話を戻すと、ヘンリーに一時的で良いから、魔法騎士の部隊へ入って欲しいのよ」
「魔法騎士に?」
「えぇ。詳しい事は、後で説明があるけど、要は学校卒業前の学生が私の部隊とはいえ、隊長に抜擢されるのは、どういう事だ……って難癖を付けてきているのよ」
「フローレンス様にですか?」
仮にも王女様だというのに、その決定に文句を言うなんて……どうなっているんだ?
「王宮にもいろいろあってね。特に教会側は王宮側と立場が違うから……とはいえ学校もあるし、先程の探索もあるでしょ? だから、毎日参加しなくても良いから。要は、ヘンリーが隊長に抜擢される程の実力の持ち主だって示せれば良いのよ」
実力を示せれば良い……って、それはそれで面倒なんだけど。
しかし、フローレンス様が困っているというのなら、何とかするしかないか。
「分かりました」
「助かるわ。詳細については、また後で連絡するわね。……それから、もう一つ話があるのよね?」
「はい。こちらのシャロンさんを第三王女直属特別隊としても活動出来るようにしていただけないかと思いまして」
「……へぇぇぇ。それはどうしてかしら? まさか、一緒にドワーフの国を探す旅に出て、長い時間を共に歩んで行く内に少しずつ二人の関係に変化が生じ、ある時宿泊先の宿屋でどちらともなく……」
「フ、フローレンス様っ!? そういう話ではないですよっ! それに小さな子の前ですので、そういう事は……」
チラッとユーリヤを見てみると、先程お腹がいっぱいになったからか、いつの間にか部屋の隅で眠っていた。
良かった。
流石に幼女に聞かせる話ではないし、質問されても困るしね。
「じゃあ、シャロンを連れて行くのはどういう理由なの?」
「いえ、ドワーフ国探しに連れて行く訳ではないんです。少し思うところがあり、剣の訓練を受けてもらおうかと思いまして」
「シャロンに戦わせるの?」
「いえ、そういう意図ではありません。護身術くらいに思っていただければ」
「ふぅん。まぁ良いけど……」
フローレンス様がいろいろと言いたげな表情で俺とシャロンさんを見てくる。
けど、先程のお願いを了承したからだろうか。それ以上の追求はなく、承認してもらえた。
だけど、シャロンさんを一旦退出させた後、眠るユーリヤの前でいつもより長めのお姫様抱っこを要求されたけど。
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