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第4章 マルチタスク
第77話 心からの感謝
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悲鳴で振り向くと、小さな――といっても普通のピンクスライムよりは大きなそれがルミの足元に付いていた。
慌ててルミが飛びのくが、靴が溶かされ、裸足になってしまっている。
靴以外に被害は無さそうだが、そもそも、どうして後ろにスライムが居たのだろうか。
『マーガレットさんが吹き飛ばした破片が集まっていましたよ』
(マジかよ。という事は、あの小さなスライムを放っておいたら、また本体にくっついてしまうって事か)
じゃあ、この小さいのも何とかして本体に戻らないようにしなければならないが、凍らせたりする事は出来ない。
物理攻撃と土魔法だけで何とかしなければ。
「えへへ……お兄ちゃん。捕まーえた!」
「へっ?」
「ねぇ、お兄ちゃん。ルミと遊ぼうよー。ルミねー、実はお兄ちゃんが喜びそうな事、いっぱい知っているんだー」
「ル、ルミ!?」
気付けばルミが俺の腰に抱きついている。
これは……まさかピンクスライムの毒にやられているのか!?
だけどルミはそういった知識が無いから、催淫効果が効き難い……って、あれはクリムゾンオーキッドの話だっけ?
『その幼女エルフは、見事にピンクスライムの毒を受けていますね』
(そうか。やはり、大きい相手だから、持っている毒も強力だったって事か)
『いえ、そうではなくて、その幼女エルフはそういう知識が無いように見せかけていただけで、実際はあるんですって。以前に、その幼女エルフはかなりのやり手だと忠告したと思うのですが』
本当かよ。どう見ても子供……って、そんな事よりも、何にせよルミを元に戻してやらないと、後でアタランテみたいに穴へ入りたいとか言い出しそうだ。
……って、穴か。なるほど。この穴は使えそうだ。
『ヘンリーさんっ!? 一体何を考えているんですか!?』
(アオイ。土の魔法で、穴を掘る魔法って無いか? この小さなスライムを……というか、何ならあの特大ピンクスライムの真下に大きな穴を掘って、埋めてやろうかと思うんだけど)
『あぁ、穴ってそういう意味の……コホン。確かに地面に穴を掘る魔法はあります。ですが、そもそもこの洞窟に真銀の原石が含まれているから、土魔法しか使えないんですよ? いくら土魔法を使っても、真銀の原石に穴を開ける事は出来ないかと』
残念ながら、穴を掘る事自体が出来ないのか。
いや、待てよ。だったら、今のアタランテ作戦だ!
腰にしがみ付くルミが離れてくれないが、身体が軽いのでそのまま移動し、小さなピンクスライムをメイスで押しながら洞窟の壁際へ運んで行く。
「マテリアライズ!」
壁際へ押しやったピンクスライムの周りを囲むように土で壁を作ると、予想通りピンクスライムが出て来れなくなった。
「やっぱりな。さっきアタランテの矢を溶かさずに、押しだしたからな。土や鉄は溶かせないと思ったんだが、見事に的中したな」
本体と比べると小さいながらも、この体積分は再生不可能にする事が出来た。
これなら奴を倒せる!
……どうにかしてマーガレットに攻撃してもらえれば。
「マーガレット! 見ただろ? 頼むから、その大きなピンクスライムを攻撃してくれ。吹き飛ばされた破片は、俺が動けなくして、再生出来ないようにするから」
「えぇー。でも……」
「マーガレット! この戦いが終わったら、好きな服を買ってやる!」
「お兄さん。それって、デート?」
「……あ、あぁ。デートだ、デート。悪しきピンクスライムを倒したら、デートだっ!」
「やったぁ、デートデート! って、だけど私が攻撃したら、今度こそ服が……」
「マーガレット。目の前に居る大きな魔法生物は何だ? スライムだぞ、スライム。自然に生を受けるはずがない、魔物だ。しかも見てくれ。マーガレットの仲間であるルミが、その毒でやられている。毒を使う敵といえば、悪しき存在だ。つまり毒を使うピンクスライムは、マーガレットの敵である、悪なんだっ!」
「悪の存在……毒……私の敵……悪には滅びをっ!」
よし、マーガレットの退魔スイッチがオンになった!
「滅っ!」
いや、滅って。
攻撃する時の声が怖いんだけど、それよりも凄い勢いでピンクスライムが飛び散って行く。
何か吹っ切れているのか、最初に対峙した時よりも強く退魔モードに入ってしまったのか、マーガレット自身もピンクスライムの破片を受けているはずなのに、退魔モードが解除されずにメイスで殴りまくっている。
飛び散ったピンクスライムが離れた場所で集まり、そこそこ大きくなった所で、俺が未だにルミを抱えたまま急行し、土の壁を生成して動けなくする。
そんな事を暫く繰り返していると、ようやくスライムの大きさが最初の半分程度にまで小さくなった。
というか、これだけやっても未だ半分なのか。
半分でも、五階層に居たゴーレムより大きいけど、この作業を繰り返して行けば、更に小さくなって……って、あれ?
「ルミ。あのピンクスライムの奥に見える扉って、エルフの扉だよな」
「お兄ちゃーん。エルフに興味があるの? だったら、ルミと一緒に子供を作ろうよー」
……ルミが俺にスリスリしながら恐ろしい事を言ってきた。
しかもマーガレットの攻撃で飛び散ったピンクスライムが付着していたのか、ルミの薄い胸を覆う小さな布が、背中側で千切れそうになっているし。
一先ず、混乱状態のルミを先程同様に運びながらピンクスライム本体の所へ戻り、大きな土の壁で蓋をする。
「よし、マーガレット。もういいぞ。倒してはいないが、土の壁で塞いだからな。奥の扉にも通れるだけの隙間があるし、十分……ぶはぁっ」
最初に比べれば小さくなった特大ピンクスライムを土の壁で封印したら、とてつもなく大きな肌色の膨らみがあった。
退魔モードだからか、一切隠す気の無いマーガレットの二つの膨らみを至近距離で見て、盛大に鼻血が出てしまったよ。
「マーガレット……本当に、ありがとう」
ポタポタと鼻血を零しながら、良い物を見せてくれたマーガレットに心から感謝しつつ、アタランテを覆っていた土の壁だけ解除する。
すると、
「ふぅ。ようやく自由に動き回れる……って、ちょっと貴方! ど、どういう事なの!? 説明してっ!」
何故だか分からないが、近づいて来たアタランテが急に凄い剣幕で迫って来た。
慌ててルミが飛びのくが、靴が溶かされ、裸足になってしまっている。
靴以外に被害は無さそうだが、そもそも、どうして後ろにスライムが居たのだろうか。
『マーガレットさんが吹き飛ばした破片が集まっていましたよ』
(マジかよ。という事は、あの小さなスライムを放っておいたら、また本体にくっついてしまうって事か)
じゃあ、この小さいのも何とかして本体に戻らないようにしなければならないが、凍らせたりする事は出来ない。
物理攻撃と土魔法だけで何とかしなければ。
「えへへ……お兄ちゃん。捕まーえた!」
「へっ?」
「ねぇ、お兄ちゃん。ルミと遊ぼうよー。ルミねー、実はお兄ちゃんが喜びそうな事、いっぱい知っているんだー」
「ル、ルミ!?」
気付けばルミが俺の腰に抱きついている。
これは……まさかピンクスライムの毒にやられているのか!?
だけどルミはそういった知識が無いから、催淫効果が効き難い……って、あれはクリムゾンオーキッドの話だっけ?
『その幼女エルフは、見事にピンクスライムの毒を受けていますね』
(そうか。やはり、大きい相手だから、持っている毒も強力だったって事か)
『いえ、そうではなくて、その幼女エルフはそういう知識が無いように見せかけていただけで、実際はあるんですって。以前に、その幼女エルフはかなりのやり手だと忠告したと思うのですが』
本当かよ。どう見ても子供……って、そんな事よりも、何にせよルミを元に戻してやらないと、後でアタランテみたいに穴へ入りたいとか言い出しそうだ。
……って、穴か。なるほど。この穴は使えそうだ。
『ヘンリーさんっ!? 一体何を考えているんですか!?』
(アオイ。土の魔法で、穴を掘る魔法って無いか? この小さなスライムを……というか、何ならあの特大ピンクスライムの真下に大きな穴を掘って、埋めてやろうかと思うんだけど)
『あぁ、穴ってそういう意味の……コホン。確かに地面に穴を掘る魔法はあります。ですが、そもそもこの洞窟に真銀の原石が含まれているから、土魔法しか使えないんですよ? いくら土魔法を使っても、真銀の原石に穴を開ける事は出来ないかと』
残念ながら、穴を掘る事自体が出来ないのか。
いや、待てよ。だったら、今のアタランテ作戦だ!
腰にしがみ付くルミが離れてくれないが、身体が軽いのでそのまま移動し、小さなピンクスライムをメイスで押しながら洞窟の壁際へ運んで行く。
「マテリアライズ!」
壁際へ押しやったピンクスライムの周りを囲むように土で壁を作ると、予想通りピンクスライムが出て来れなくなった。
「やっぱりな。さっきアタランテの矢を溶かさずに、押しだしたからな。土や鉄は溶かせないと思ったんだが、見事に的中したな」
本体と比べると小さいながらも、この体積分は再生不可能にする事が出来た。
これなら奴を倒せる!
……どうにかしてマーガレットに攻撃してもらえれば。
「マーガレット! 見ただろ? 頼むから、その大きなピンクスライムを攻撃してくれ。吹き飛ばされた破片は、俺が動けなくして、再生出来ないようにするから」
「えぇー。でも……」
「マーガレット! この戦いが終わったら、好きな服を買ってやる!」
「お兄さん。それって、デート?」
「……あ、あぁ。デートだ、デート。悪しきピンクスライムを倒したら、デートだっ!」
「やったぁ、デートデート! って、だけど私が攻撃したら、今度こそ服が……」
「マーガレット。目の前に居る大きな魔法生物は何だ? スライムだぞ、スライム。自然に生を受けるはずがない、魔物だ。しかも見てくれ。マーガレットの仲間であるルミが、その毒でやられている。毒を使う敵といえば、悪しき存在だ。つまり毒を使うピンクスライムは、マーガレットの敵である、悪なんだっ!」
「悪の存在……毒……私の敵……悪には滅びをっ!」
よし、マーガレットの退魔スイッチがオンになった!
「滅っ!」
いや、滅って。
攻撃する時の声が怖いんだけど、それよりも凄い勢いでピンクスライムが飛び散って行く。
何か吹っ切れているのか、最初に対峙した時よりも強く退魔モードに入ってしまったのか、マーガレット自身もピンクスライムの破片を受けているはずなのに、退魔モードが解除されずにメイスで殴りまくっている。
飛び散ったピンクスライムが離れた場所で集まり、そこそこ大きくなった所で、俺が未だにルミを抱えたまま急行し、土の壁を生成して動けなくする。
そんな事を暫く繰り返していると、ようやくスライムの大きさが最初の半分程度にまで小さくなった。
というか、これだけやっても未だ半分なのか。
半分でも、五階層に居たゴーレムより大きいけど、この作業を繰り返して行けば、更に小さくなって……って、あれ?
「ルミ。あのピンクスライムの奥に見える扉って、エルフの扉だよな」
「お兄ちゃーん。エルフに興味があるの? だったら、ルミと一緒に子供を作ろうよー」
……ルミが俺にスリスリしながら恐ろしい事を言ってきた。
しかもマーガレットの攻撃で飛び散ったピンクスライムが付着していたのか、ルミの薄い胸を覆う小さな布が、背中側で千切れそうになっているし。
一先ず、混乱状態のルミを先程同様に運びながらピンクスライム本体の所へ戻り、大きな土の壁で蓋をする。
「よし、マーガレット。もういいぞ。倒してはいないが、土の壁で塞いだからな。奥の扉にも通れるだけの隙間があるし、十分……ぶはぁっ」
最初に比べれば小さくなった特大ピンクスライムを土の壁で封印したら、とてつもなく大きな肌色の膨らみがあった。
退魔モードだからか、一切隠す気の無いマーガレットの二つの膨らみを至近距離で見て、盛大に鼻血が出てしまったよ。
「マーガレット……本当に、ありがとう」
ポタポタと鼻血を零しながら、良い物を見せてくれたマーガレットに心から感謝しつつ、アタランテを覆っていた土の壁だけ解除する。
すると、
「ふぅ。ようやく自由に動き回れる……って、ちょっと貴方! ど、どういう事なの!? 説明してっ!」
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