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第3章 第三王女直属特別隊
第50話 第三王女直属特別隊隊長
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王宮にある小さな部屋――第三王女フローレンス様と密会、もとい打ち合わせを行う部屋へ数日振りに通され、待つ事十数分。
パタンと扉が開く音がしたかと思うと、
「ありがとう。ここまでで良いわ。貴方は会議が終わるまで待機ね」
久しぶりに聞く、フローレンス様の凛とした声が響き渡る。
そして再びパタンと扉が閉まると、
「ヘンリーッ! もぉっ! 寂しかったじゃないっ! 早く抱っこしてっ!」
突然フローレンス様が走りだし、俺の胸にダイブしてきた。
「フローレン……じゃない、フロウ。一先ず、隊の活動報告を……」
「そんなの後で! ほらほら、もっとギューって強く抱きしめてっ! あと、フロウ可愛いって言いながら、頭をナデナデしてね」
お姫様抱っこをしながら頭を撫でる……いや、流石に無理だから。
ルミくらい小さな身体なら何とかなるかもしれないが。
「むー。ヘンリーったら、今別の女の子の事を考えていなかった?」
「え? いや、全く。だけど、フロウに報告すべき子供エルフの事は考えていた」
「子供エルフ? どういう事?」
「じゃあ、その報告をするから、一度降ろして良いか?」
「ダメよ。このまま話して」
えぇぇぇー。何この会議。というか、会議なのかこれ?
だが、王女様の命令とあらば、仕方が無いのだろうか。
一先ず指示された通り、フローレンス様をお姫様抱っこしたまま――仄かに香る甘い香りと、俺の胸に押し付けられる柔らかい膨らみに時々意識を奪われながら――これまでの事をかいつまんで説明する。
「……ふぅん。魔王と戦った勇者様の仲間の子孫かぁ」
「あぁ。それで、まだ魔王が生きている事と、その対抗策として聖剣を――厳密に言えば、聖剣の材料を手に入れるために洞窟を攻略しようと思うんだ」
「つまり、自分たちで聖剣と同じものを作っちゃうって事ね?」
「まぁ、そういう事かな。聖剣の伝説は沢山あるけれど、実際に聖剣があるっていう話は聞かないからね」
「うーん。仮に有ったとしても、絶対に譲ってくれないでしょうしね。聖剣なんて、国宝級の武器だもの」
まぁそうだろうな。
仮に俺が聖剣を持つ国の王だとして、魔王が復活したとしても、間違いなく自国の信頼出来る者に聖剣を貸し与える。
間違っても、どこの誰とも分からない学生なんかに聖剣を貸そうとは思わないだろう。
「えっと、じゃあヘンリーは暫く、その洞窟で聖剣の材料を探すって事なのね?」
「そうだな。突然魔族が現れたりしたら話は別だけど、まだ表立って魔族が活動していない内に、出来る事をやっておこうかなって」
「そっか。じゃあ、丁度良いかも。実はね……じゃじゃーん! お父様にお願いして、私たち第三王女直属特別隊に騎士を一人配属してもらったのー!」
「えぇっ!? この隊に正規の騎士!? 流石、フロウ! 凄いね」
「でしょでしょ。もっと褒めて、ナデナデしてー。あ、でもこの隊の隊長はヘンリーのままで、変わらないからね。正式に、ヘンリーの部下なんだから」
部下……って、俺はまだ学生なんだけど、良いのだろうか。
「どうする? 早速部下と会ってみる?」
「え? 今、居るのか?」
「えぇ。その扉の向こうで待機させているわ」
「じゃあ、せっかくだし会ってみるよ」
「わかった……けど、ちょっと待って。まだ、フロウ可愛いって言いながら、ナデナデしてもらってないわよ?」
冗談かと思っていたのに、どうやらフローレンス様は本気だったらしい。
一旦、フローレンス様を床に降ろし、「フロウ可愛い」と言いながら、頭を撫でる。
それなりの時間を、このナデナデに費やし、ようやくフローレンス様が満足してくれた。
「じゃあ、ヘンリーの部下を呼ぶけど、ここからは二人っきりじゃないから、私の事はフロウって呼んじゃダメだからね? ……ニーナ、入ってらっしゃい」
フローレンス様が扉を開け、一人の騎士を迎え入れる。
入って来たのは青髪の女性騎士だった。
「は、初めましてっ! ぼ、ボクはニーナ=レッドフィールドですっ。魔族からフローレンス様を助けた英雄ヘンリー様のお力になれると聞いています。じゃ、若輩者ですが、よろしくお願いします」
「ヘンリー=フォーサイスだ。よろしく」
女性の騎士というのは結構珍しいのだが、女性だからと舐められないように一人称が「ボク」なのだろうか。
少し自信なさげな感じにも見てとれるのだが、それ以上に目を引くのが、大きな大きな胸だ。
俺の周りで一番大きなジェーンの胸よりも、更に大きい。
非常に素晴らしい物を持っているのだが、鎧を着る事が出来るのだろうか。
……はっ! ジェーンも、ニーナも共に騎士であり、共に巨乳の持ち主だ。もしかして、騎士は身体を鍛えるから胸も大きく育つのか!? それとも剣か? 剣の鍛錬が胸の鍛錬にも繋がるとか!?
『ヘンリーさん、ヘンリーさん。女性の胸を見過ぎです! あと、意味不明な思考はやめてください! 騎士ならむしろ胸が大きい方がデメリットじゃないんですか? 剣を振ったりする時、邪魔になりそうですし。というか、胸の鍛錬って何なんですか』
危ない、危ない。フローレンス様の前だというのに、目が胸に釘付けになってしまっていた。
アオイの呆れかえったツッコミによって我に返ると、極力真面目な振りをして、
「あー、コホン。では、ニーナの腕前がどれ程か見せてもらいたんだが」
何とか誤魔化してみた。
「ボクの剣を隊長さん自ら見てくださるんですか?」
「え? いや、俺が見ないで誰が見るんだ?」
「そ、そうですねっ! よ、よろしくお願いします。い、今すぐ見られますか?」
「あぁ、頼むよ」
「わかりましたっ! じゃあ、早速……」
「って、ちょっと待て! こんな狭い場所で、しかもフローレンス様のすぐ傍で剣を抜こうとするなっ!」
「あ! ご、ごめんなさい。そ、そうですよね。場所は変えないといけないですよね」
何とか誤魔化せたのは良かったのだが、この新米騎士は大丈夫か?
万が一にもフローレンス様に怪我を負わせてしまったら、良くて国外追放。最悪死罪だぞ?
小さく溜息を吐きながら、フローレンス様とニーナと共に、部屋を後にした。
パタンと扉が開く音がしたかと思うと、
「ありがとう。ここまでで良いわ。貴方は会議が終わるまで待機ね」
久しぶりに聞く、フローレンス様の凛とした声が響き渡る。
そして再びパタンと扉が閉まると、
「ヘンリーッ! もぉっ! 寂しかったじゃないっ! 早く抱っこしてっ!」
突然フローレンス様が走りだし、俺の胸にダイブしてきた。
「フローレン……じゃない、フロウ。一先ず、隊の活動報告を……」
「そんなの後で! ほらほら、もっとギューって強く抱きしめてっ! あと、フロウ可愛いって言いながら、頭をナデナデしてね」
お姫様抱っこをしながら頭を撫でる……いや、流石に無理だから。
ルミくらい小さな身体なら何とかなるかもしれないが。
「むー。ヘンリーったら、今別の女の子の事を考えていなかった?」
「え? いや、全く。だけど、フロウに報告すべき子供エルフの事は考えていた」
「子供エルフ? どういう事?」
「じゃあ、その報告をするから、一度降ろして良いか?」
「ダメよ。このまま話して」
えぇぇぇー。何この会議。というか、会議なのかこれ?
だが、王女様の命令とあらば、仕方が無いのだろうか。
一先ず指示された通り、フローレンス様をお姫様抱っこしたまま――仄かに香る甘い香りと、俺の胸に押し付けられる柔らかい膨らみに時々意識を奪われながら――これまでの事をかいつまんで説明する。
「……ふぅん。魔王と戦った勇者様の仲間の子孫かぁ」
「あぁ。それで、まだ魔王が生きている事と、その対抗策として聖剣を――厳密に言えば、聖剣の材料を手に入れるために洞窟を攻略しようと思うんだ」
「つまり、自分たちで聖剣と同じものを作っちゃうって事ね?」
「まぁ、そういう事かな。聖剣の伝説は沢山あるけれど、実際に聖剣があるっていう話は聞かないからね」
「うーん。仮に有ったとしても、絶対に譲ってくれないでしょうしね。聖剣なんて、国宝級の武器だもの」
まぁそうだろうな。
仮に俺が聖剣を持つ国の王だとして、魔王が復活したとしても、間違いなく自国の信頼出来る者に聖剣を貸し与える。
間違っても、どこの誰とも分からない学生なんかに聖剣を貸そうとは思わないだろう。
「えっと、じゃあヘンリーは暫く、その洞窟で聖剣の材料を探すって事なのね?」
「そうだな。突然魔族が現れたりしたら話は別だけど、まだ表立って魔族が活動していない内に、出来る事をやっておこうかなって」
「そっか。じゃあ、丁度良いかも。実はね……じゃじゃーん! お父様にお願いして、私たち第三王女直属特別隊に騎士を一人配属してもらったのー!」
「えぇっ!? この隊に正規の騎士!? 流石、フロウ! 凄いね」
「でしょでしょ。もっと褒めて、ナデナデしてー。あ、でもこの隊の隊長はヘンリーのままで、変わらないからね。正式に、ヘンリーの部下なんだから」
部下……って、俺はまだ学生なんだけど、良いのだろうか。
「どうする? 早速部下と会ってみる?」
「え? 今、居るのか?」
「えぇ。その扉の向こうで待機させているわ」
「じゃあ、せっかくだし会ってみるよ」
「わかった……けど、ちょっと待って。まだ、フロウ可愛いって言いながら、ナデナデしてもらってないわよ?」
冗談かと思っていたのに、どうやらフローレンス様は本気だったらしい。
一旦、フローレンス様を床に降ろし、「フロウ可愛い」と言いながら、頭を撫でる。
それなりの時間を、このナデナデに費やし、ようやくフローレンス様が満足してくれた。
「じゃあ、ヘンリーの部下を呼ぶけど、ここからは二人っきりじゃないから、私の事はフロウって呼んじゃダメだからね? ……ニーナ、入ってらっしゃい」
フローレンス様が扉を開け、一人の騎士を迎え入れる。
入って来たのは青髪の女性騎士だった。
「は、初めましてっ! ぼ、ボクはニーナ=レッドフィールドですっ。魔族からフローレンス様を助けた英雄ヘンリー様のお力になれると聞いています。じゃ、若輩者ですが、よろしくお願いします」
「ヘンリー=フォーサイスだ。よろしく」
女性の騎士というのは結構珍しいのだが、女性だからと舐められないように一人称が「ボク」なのだろうか。
少し自信なさげな感じにも見てとれるのだが、それ以上に目を引くのが、大きな大きな胸だ。
俺の周りで一番大きなジェーンの胸よりも、更に大きい。
非常に素晴らしい物を持っているのだが、鎧を着る事が出来るのだろうか。
……はっ! ジェーンも、ニーナも共に騎士であり、共に巨乳の持ち主だ。もしかして、騎士は身体を鍛えるから胸も大きく育つのか!? それとも剣か? 剣の鍛錬が胸の鍛錬にも繋がるとか!?
『ヘンリーさん、ヘンリーさん。女性の胸を見過ぎです! あと、意味不明な思考はやめてください! 騎士ならむしろ胸が大きい方がデメリットじゃないんですか? 剣を振ったりする時、邪魔になりそうですし。というか、胸の鍛錬って何なんですか』
危ない、危ない。フローレンス様の前だというのに、目が胸に釘付けになってしまっていた。
アオイの呆れかえったツッコミによって我に返ると、極力真面目な振りをして、
「あー、コホン。では、ニーナの腕前がどれ程か見せてもらいたんだが」
何とか誤魔化してみた。
「ボクの剣を隊長さん自ら見てくださるんですか?」
「え? いや、俺が見ないで誰が見るんだ?」
「そ、そうですねっ! よ、よろしくお願いします。い、今すぐ見られますか?」
「あぁ、頼むよ」
「わかりましたっ! じゃあ、早速……」
「って、ちょっと待て! こんな狭い場所で、しかもフローレンス様のすぐ傍で剣を抜こうとするなっ!」
「あ! ご、ごめんなさい。そ、そうですよね。場所は変えないといけないですよね」
何とか誤魔化せたのは良かったのだが、この新米騎士は大丈夫か?
万が一にもフローレンス様に怪我を負わせてしまったら、良くて国外追放。最悪死罪だぞ?
小さく溜息を吐きながら、フローレンス様とニーナと共に、部屋を後にした。
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