上 下
39 / 343
第3章 第三王女直属特別隊

第39話 アタランテと競走

しおりを挟む
 アタランテと二人で同じお湯に浸かり、結構な時間が経つ。
 日が暮れ始めた頃に風呂へ入り、今ではすっかり日が落ちてしまっているのではないだろうか。
 そろそろ夕食を済ませて就寝したいのだが、アタランテがお湯から出ようとしない。
 しかし、せっかく女の子と一緒にお風呂へ入ったと言うのに、互いに会話も無く、ただただお湯に浸かっているだけというのはいかがだろうか。
 あと、一つ後悔しているのは、部屋の灯りを淡い光にしてしまった事だ。
 薄暗い良い感じの雰囲気なのだが、その暗さ故に、お湯の中が良く見えない!
 アタランテの猫耳や赤く染まった顔は良く見える。だが肝心のおっぱいや、そのスリムな身体が殆ど見えない!
 今からでも、光魔法を追加しようか。

「ん……」

 如何にして水の中にある身体を見ようかと思っていると、アタランテの方から俺に寄り掛かってきた。
 これは……これは、そういう事だなっ!
 水の中で恐る恐る肩に手を回すと、

「アタランテ……」
「もう……無理」

 ぐったりとしたアタランテが気を失ってしまった。

「あ、あれ? アタランテ?」
『ヘンリーさん! 何をしているんですか! 早くお湯から出してあげてください。長時間お湯に浸かり過ぎて、のぼせてますよっ!』
「えぇぇぇっ! どうして!?」
『だって、お湯から出たらヘンリーさんが穴が開くくらい凝視するでしょ? それが嫌だったんじゃないですか?』
「そ、そんな……って、ショックを受けている場合じゃないな。とりあえずベッドだ」

 具現化魔法で簡易のベッドを作り、空間収納魔法で街を出る前に買い込んでいたタオルと毛布を取り出す。
 毛布を敷いただけのベッドにアタランテを運んで寝かせると、風邪を引かない様にタオルで身体を拭いていく。
 仰向けに寝る全裸の猫耳少女をタオルで拭く……服を着ていた時は看病だと言い張ったが、これは流石に犯罪の香りしかしない。……しないんだが、濡れたままにしておけないもんね。
 ピンク色に染まったアタランテの肌は温かく、そして柔らかい。
 一旦、顔から足の先まで水を拭き取ったが、全裸のままというのは良く無い。だから服を着せてあげなければ。
 風呂へ入る前にアタランテが脱ぎ捨てた服から、真っ先に小さなピンクの布――もちろんパンツを手に取る。

『ヘンリーさん、鼻から血が垂れてます。あと、顔に近づけ過ぎじゃないですか!? というか、そのパンツをどうする気なんですかっ!?』
(アオイ。俺はもう、死んでも良いかもしれない)
『ダメですよっ! ヘンリーさんには魔族を、最悪の場合魔王を倒して貰わなくちゃいけないんですから! 勇者として立ち上がり、世界を救って貰わないと!』
(えっと、これはあくまで服を着せるためであって……先ずは右足からで良いかな?)
『どっちでも良いですし、というかもう一枚毛布を出して被せれば済む話ですよっ! というか、そんな事より私の話を聞いてました!?』
(ところでアオイ。何かこう、俺が見ているこの視界を鮮明に記録するというか、いつでもハッキリくっきり思いだせるようにするというか、超精密な絵として残すような魔法は無いか?)
『ありませんよっ! って、ヘンリーさん!? ……ヘンリーさん? あぁぁぁ、鼻から大量出血で貧血を起こすとか情けないんで勘弁してください! ヘンリーさーんっ!』

 危ない、危ない。
 アタランテの為とはいえ、眠っている全裸の少女にパンツを履かせる事がこんなに危険だとは思わなかった。
 この足元から見るこのアングル……いろんな意味で危ない。
 残念だが、俺のレベルではこれ以上先には進めないようだ。
 悔しいが、アオイのアドバイスに従い、もう一枚毛布を出して、アタランテに被せておこう。
 しかし、片足の足首だけに通されたパンツって、妙にエロいのは何なのだろうか。
 あ……ダメだ。これ以上血を流したら、本当に倒れてしまう。
 名残惜しい、本当に勿体無い状況なのだが、俺の身体がもたないので、空間収納魔法で俺の分の毛布も出して包まり、就寝する。
 そして翌朝。目覚めて身体を起こすと、寝ぼけた視界の中に、着替えを済ませて戦闘準備を完全に終えたアタランテが映った。

「貴方……競走しないかい?」
「競走? 一体何の事?」
「これだよ」

 良く分からないままに、アタランテが示す先を見ると、血の付いた毛布がある。俺の鼻血が垂れて、付いてしまったのだろう。

「これがどうかしたの?」
「ど、どうかしたの……って、この身体では初めてだったんだよ。なのに、私がのぼせて気を失っている間に……だから、競走しよう」
「ご、ごめん。話が全然見えてこないんだけど」

 俺の鼻血と競走が全く結びつかない。あと、初めてっていうのは何だろう。
 裸を見られたのが初めてって事か? 確かに胸は触っていたけど、見ては居なかったしな。

「生前の私は、結構モテたんだよ。でも、狩猟の女神様を信仰している私は処女を貫き通し、生涯独身で居るつもりだったんだよ」
「そんな……勿体無い。アタランテはこんなに可愛いのに」

 アタランテは胸が少し控えめなのが残念だけどソフィア程ではないし、見た目も悪くない上に猫耳という属性まである。これでモテない訳などないだろう。

「かわ……コホン。で、でも、余りに言い寄って来る男性が多いから、命を懸けて私に勝てたら結婚するって条件で、競走をしていたんだ」
「命を……壮絶だね」
「まぁね。私は当時世界で一番足が早かったから無敗だったんだけど、あの男性がリンゴの罠を……いや、この話はいいよ。とにかく、順番が逆になっちゃうけど、私の中のルールを守るためにも競走して欲しいんだよ」
「……よくわからないけど、とにかくアタランテと競走すれば良いんだね?」
「うん。お願い」

 一先ず俺も出発する準備をしようと毛布から立ち上がり、

「にゃぁぁぁっ……き、昨日、これが……」

 顔を赤く染めたアタランテが両手で顔を覆い、指の隙間から目だけ出して俺に――いや、俺の下半身を見ている?
 そういえば、随分とスースーするけど……?

「どわぁぁぁっ! しまった! ご、ごめん。アタランテ」
「い、いや。今更、もういいんだよ」

 良く考えたら、俺も昨日、風呂上がりの格好のままで寝てしまったんだ。
 まぁ昨日一緒にお風呂へ入った仲だし、今更と言われればそうかもしれないが。
 チラチラとアタランテの視線を感じつつ着替えを済ませ、具現化魔法で生み出した簡易の小屋を解除すると、景色が一転して山の中に。

「じゃあ、あそこに見える大きな樹をゴールにしよう。準備は良いかい?」
「俺は良いけど、アタランテはそんな大きな弓や矢を持ったまま走るの?」
「うん。今まで、この格好で走ってきたからね。条件は同じにしておきたいんだ……だから、お願い。私に勝って」

 アタランテの中で決め事があるのかもしれないが、矢まで持たなくても良い気がするんだけど。

『あの、ヘンリーさん。彼女の話と、条件を同じにするという話からすると、負けたら撃たれるんじゃないですか?』
(いや、流石にそこまではしないんじゃない?)
『甘い! 甘いです! 彼女は狩猟の女神を信仰していると言っていました。神聖魔法を使えないヘンリーさんにはピンと来ないかもしれませんが、信仰心って凄い――場合によっては怖いんですよ?』
(そうなのか? じゃあ、出来る事はしておいた方が良いかな?)
『そうしてください。敏捷性を上げるアジリティ・ブーストを使っておきましょう。……ヘンリーさんにとっては、勝っても負けても大変ですが』

 神聖魔法の身体強化は効果が凄過ぎるけど……まぁアタランテは世界一足が早かったと言っていたし、ハンデとしては良いか。

「じゃあ、この小石を投げて、地面に着いたらスタートって事にしよう。いくよっ」
「わかった。……アジリティ・ブースト……」

 小声で神聖魔法を使い、アタランテの投げた小石が地面に着いたと同時に走りだすと、

「え? あ、あれ?」

 自分でも怖いくらいの速度が出て、ぶっちぎりで勝利してしまった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。

カズマ・ユキヒロ
ファンタジー
解呪師マモル・フジタニは追放された。 伝説の武器の封印を解いたあとで、勇者パーティーに裏切られて。 深い傷と毒で、死を待つばかりとなったマモル。 しかし。 お迎えにきた死神少女との『うっかりキス』が、マモルを変えた。 伝説の武器の封印を解いたとき、体内に取り込んでいた『いにしえの勇者パーティー』の力。 その無敵の力が異種族異性とのキスで覚醒、最強となったのだ。 一方で。 愚かな勇者たちは、魔王に呪いを受けてしまう。 死へのタイムリミットまでは、あと72時間。 マモル追放をなげいても、もう遅かった。 マモルは、手にした最強の『力』を使い。 人助けや、死神助けをしながら。 10年前、己のすべてを奪った犯人への復讐を目指す。 これは、過去の復讐に燃える男が。 死神少女とともに、失ったはずの幼なじみや妹を取り戻しながら。 結果的に世界を救ってしまう、そんな物語。

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

処理中です...