精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

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第3章 精霊と新しい暮らしを始める元聖女

第55話 足手纏い!?

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「……以上より、リディアはここで待機。後の事は、私に任せてもらいます」

 場所を変え、クロードが調べて来た内容を話してくれた。
 大雑把に纏めると、あの精霊が居ない一帯の奥には、エスドレア王国で言う所の王宮に該当する建物があるらしい。
 その他にも、メリア大臣が出入りしていたという怪しい研究所や、常に兵士が居て、近寄る事さえ許されない倉庫があったりするとか。
 どれも怪しいし、どれも非常に危険だという話だ。

「嫌です。危ないのであれば、それはクロードも同じではないですか。私も一緒に行きます」
「ダメです。おそらくあの中にある建物へ忍び込んだ場合、捕縛などではなく、問答無用で殺しに掛かってくるでしょう。そのような場所へリディアを連れて行く訳には行きません」
「ですが……クロードは私を守ってくれるのでしょう? あの言葉は偽りだったのですか!?」
「リディアを確実に守る為、今回は待機してもらうという判断です」
「……それで、万が一クロードに何かあったら、私はどうすれば良いのですか!」

 あれ? 突然クロードが固まってしまった。
 さっきまで、何を言っても返事があったのに……これは同行を認めてくれる気になったという事かしら。

『リディア。自分が何を言ったか理解してる? クロードが硬直してるよ?』
(何を……って、万が一クロードに何かあったら……ん? これって、聞きようによっては、色んな意味に捉えられちゃう!?)
『そういう事。リディア、もっと落ち着いて。今回はクロードに任せても良いんじゃない? 流石に危険過ぎるし、クロードなら一人でも何とか出来そうだし』
(そんな……でも、それこそ万が一の時、一人だとどうしようもなくなってしまうじゃない)
『だけどさ。正直に言わせてもらうけど、今回みたいな戦闘になった時、リディアは戦えないでしょ? たぶん……クロードの足手纏いになると思う』

 エミリーが言葉を選びながら、話してくれているけれど、言いたい事は分かる。
 私はいつもエミリーに助けてもらって、精霊さんに力を借りて……自分自身で出来る事は、この世界で活動する為に莫大な魔力を必要とするエミリーを、様々な場所へ連れて行ってあげる事だけだ。
 そのエミリーが居なければ、確かに私は足手まといでしかない。

『ごめん。ちょっと言い過ぎた。ウチだって、リディアが居てくれなきゃ何も出来ないのにね』
(ううん。エミリーの指摘は、確かにその通りだから。私は、エミリーが居ないと何も出来ないもん)
『だから、それを言うならウチも一緒だってば。あー、もうっ! ごめんね、リディア! わかった! あの謎の結界みたいなのをウチが気合で何とかしよう! 要は精霊の力が使えれば、リディアは足手纏いなんかじゃないんだから!』

 よく分からないけど、結界とかって気合でどうこう出来るものなのかしら?
 真偽はともかく、エミリーの気持ちは伝わったので、私からも謝り、一先ずクロードの返事を待っていると、

「リディア! 私は必ずここへ戻って来る! だから、どうか私の事を信じて待っていて欲しい!」

 一体何が起こったのか、力強く抱きしめられ……って、クロード!?
 いつの間にかクロードにぎゅっと抱きしめられていて、それから……え? 今、キスされた? え? えぇぇぇ!?

「リディア! 先ずは、一つ目の建物へ行ってくる。必ず戻って来るから!」

 そう言って、私が茫然としている間にクロードが部屋を出て行ってしまった。
 ……き、キスされちゃった。
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