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第3章 精霊と新しい暮らしを始める元聖女
第41話 おしおきタイム
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「セーラさん。この洗濯物、干しちゃいますねー」
「すまないねぇ、リディアちゃん」
クロードさんの実家へお世話になるようになってから早くも数日が経った。
最近の私の生活パターンは、朝に出勤されるクロードさんとレオナさんを見送り、食事の片付けをして、洗濯物を干して、掃除を終えたら、夕方までひたすらアクセサリー作り。
石は小さいのを使っているから、まだ余裕があるし、他の材料もレオナさんにお願いすれば買って帰ってきてくれるので、大丈夫だ。
そして、セーラさんとレオナさんの家だからか、それともクロードさんたちによる隠蔽が完璧だからか、狙われているという事を一切感じる事無く生活させてもらっている。
アクセサリーの流通はレオナさんがしてくれているので、私はひたすら自分の好きなアクセサリー作りに専念するだけで良いという、ある意味凄く良い状況だ。
だからだろうか。
気が緩みっぱなしだったのか、
『リディア、気を付けて。変な男が、少し離れた場所からこっちを伺っているよ』
エミリーに警告された時に、キョロキョロと周囲を見渡してしまった。
『リディア……それじゃあ、誰かに見られている事に気付いたって、相手に教えているようなものだよ』
(うぅ……そだね。油断してた)
『まぁ過ぎてしまった事は仕方がないけど……あ! 逃げたっ! 相手は北西の方向だよっ! どうする!?』
(えっと……追おう! もしも大臣側の人だったら、クロードさんに迷惑が掛かっちゃう!)
エミリー曰く、住宅街を西に向かって走って移動しているそうなので、私も……と思ったけれど、
(エミリー。緊急事態って事で、シルフちゃんをお願い!)
『了解っ! シルフ、よろしくっ!』
風の精霊の力を借りて、屋根の上を飛行して後をつけて行く。
暫くして、私の姿が見えないからと安心したのか、細い路地で立ち止まったので、
「そこまでよっ! 人の家を覗いて、一体何をしていたのっ!」
屋根の上に降り立ち、ビシッと指を突き付ける。
『リディア。どうして、わざわざそんな事をするのさ。近くに降りて、精霊の力を使えばすぐに終わるのに』
(え、えっと……実は、前からずっとこういうのをやってみたくて)
『……そ、そう。まぁ、良いんだけど……鼻で笑われてるよ?』
エミリーに言われて意識を男性へ戻すと、
「あの家の用心棒か? 誰かは知らないが、そこからどうするつもりだ? こっちは……こういう攻撃が出来るんだぜ?」
いきなり私に向かって石を投げてきた!
人に向かって石を投げるなんて、酷くない!?
もちろん、エミリーが全部防いでくれているから、一つも当たる事は無いんだけど、それにしても……やって良い事と悪い事があるのに。
こうなったら、飛び切りキツイお仕置きをしちゃうんだからっ!
(エミリー。イドちゃんをお願い)
『はいはい。シェイドー、出番だよー』
先ずは闇の精霊の力で男性を眠らせると、次は地の精霊ムーちゃんにお願いして、石で手足を動けなくする。
そして、最強のお仕置きを担当する、樹の精霊リーアちゃんにスタンバイしてもらった所で、イドちゃんに睡眠状態を解除してもらった。
「……ん? な、何だっ!? どうして俺は眠って……って、腕も足も動かないだと!?」
「謝るなら今の内よ。今なら許してあげるけど、どうします?」
「な、何を謝るって言うんだよ。俺はたまたまこの路地を歩いていただけだぜ?」
「残念ながら、私はずっと後ろからついて来ていたんですよ。……では、謝る気が無いという事で、あそこで何をしていたか正直に話せば、止めてあげますから、頑張ってくださいね」
「一体何をしようって……え!? ちょ……や、やめてくれぇーっ!」
リーアちゃんの力を借りた、お仕置きが始まった。
「すまないねぇ、リディアちゃん」
クロードさんの実家へお世話になるようになってから早くも数日が経った。
最近の私の生活パターンは、朝に出勤されるクロードさんとレオナさんを見送り、食事の片付けをして、洗濯物を干して、掃除を終えたら、夕方までひたすらアクセサリー作り。
石は小さいのを使っているから、まだ余裕があるし、他の材料もレオナさんにお願いすれば買って帰ってきてくれるので、大丈夫だ。
そして、セーラさんとレオナさんの家だからか、それともクロードさんたちによる隠蔽が完璧だからか、狙われているという事を一切感じる事無く生活させてもらっている。
アクセサリーの流通はレオナさんがしてくれているので、私はひたすら自分の好きなアクセサリー作りに専念するだけで良いという、ある意味凄く良い状況だ。
だからだろうか。
気が緩みっぱなしだったのか、
『リディア、気を付けて。変な男が、少し離れた場所からこっちを伺っているよ』
エミリーに警告された時に、キョロキョロと周囲を見渡してしまった。
『リディア……それじゃあ、誰かに見られている事に気付いたって、相手に教えているようなものだよ』
(うぅ……そだね。油断してた)
『まぁ過ぎてしまった事は仕方がないけど……あ! 逃げたっ! 相手は北西の方向だよっ! どうする!?』
(えっと……追おう! もしも大臣側の人だったら、クロードさんに迷惑が掛かっちゃう!)
エミリー曰く、住宅街を西に向かって走って移動しているそうなので、私も……と思ったけれど、
(エミリー。緊急事態って事で、シルフちゃんをお願い!)
『了解っ! シルフ、よろしくっ!』
風の精霊の力を借りて、屋根の上を飛行して後をつけて行く。
暫くして、私の姿が見えないからと安心したのか、細い路地で立ち止まったので、
「そこまでよっ! 人の家を覗いて、一体何をしていたのっ!」
屋根の上に降り立ち、ビシッと指を突き付ける。
『リディア。どうして、わざわざそんな事をするのさ。近くに降りて、精霊の力を使えばすぐに終わるのに』
(え、えっと……実は、前からずっとこういうのをやってみたくて)
『……そ、そう。まぁ、良いんだけど……鼻で笑われてるよ?』
エミリーに言われて意識を男性へ戻すと、
「あの家の用心棒か? 誰かは知らないが、そこからどうするつもりだ? こっちは……こういう攻撃が出来るんだぜ?」
いきなり私に向かって石を投げてきた!
人に向かって石を投げるなんて、酷くない!?
もちろん、エミリーが全部防いでくれているから、一つも当たる事は無いんだけど、それにしても……やって良い事と悪い事があるのに。
こうなったら、飛び切りキツイお仕置きをしちゃうんだからっ!
(エミリー。イドちゃんをお願い)
『はいはい。シェイドー、出番だよー』
先ずは闇の精霊の力で男性を眠らせると、次は地の精霊ムーちゃんにお願いして、石で手足を動けなくする。
そして、最強のお仕置きを担当する、樹の精霊リーアちゃんにスタンバイしてもらった所で、イドちゃんに睡眠状態を解除してもらった。
「……ん? な、何だっ!? どうして俺は眠って……って、腕も足も動かないだと!?」
「謝るなら今の内よ。今なら許してあげるけど、どうします?」
「な、何を謝るって言うんだよ。俺はたまたまこの路地を歩いていただけだぜ?」
「残念ながら、私はずっと後ろからついて来ていたんですよ。……では、謝る気が無いという事で、あそこで何をしていたか正直に話せば、止めてあげますから、頑張ってくださいね」
「一体何をしようって……え!? ちょ……や、やめてくれぇーっ!」
リーアちゃんの力を借りた、お仕置きが始まった。
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