精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

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第3章 精霊と新しい暮らしを始める元聖女

挿話14 情報収集する商人ギルドのカイン

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 いつもの様にレオナさんの顔を眺めに来たら、

「レオナさーんっ! これ、凄いですねー! いつもより、集中力が研ぎ澄まされていて、私の弓矢が魔物の弱点に刺さりまくりでしたよー!」
「でしょでしょ!? 凄いよねー!」
「はい! ですから、依頼されていたストーンゴーレムの核……二倍取ってきちゃいましたー!」
「うんうん。凄いけど、ちょーっと声のボリュームを落とそうねー」

 列の前の方で、ストーンゴーレムの核を二倍取ってきたという声が聞こえてきた。
 元の依頼数が分からないから、どれ程の物かは分からないが、あの巨体に対して小さ過ぎる弱点の眼を射貫き続けたという事か。
 少し引っかかる事があったので、並んでいた列から外れて、カウンターの近くにある机の影に隠れ、様子を伺う。

「これで私たちのパーティは、そろそろA級に上がれますか?」
「そうだねー。良いペースで来ているし、もうひと踏ん張りって所かな」
「うぅ……その、もうひと踏ん張りが長いですよー。魔物も強くなって、武器も防具も結構消耗しちゃいますしー」
「そういう所を含めて、A級になれるかどうかかなー。力に任せて武器を使うんじゃなくて、武器への負荷を減らしつつ、魔物に攻撃を行うんだよ」
「あの、レオナさんが何を言っているか分からないんですけど……とにかく、もっと頑張れって事ですね」

 なるほど。この冒険者の少女はB級で、まだ武器の扱い方の極意を掴んで居ないと。
 こういう攻撃するための技術しか身に着けていなくて、もう一皮がむけない冒険者は、商人ギルドの客として山の様に見てきた。
 だが、このレベルの冒険者が何体もストーンゴーレムを倒せるかと言えば、一体や二体がせいぜいで、大量には無理なはずだ。
 つまり、この冒険者は俺の予想通りなら……よし、話を聞こう。

「ハーイ。そこのお嬢さん。ちょっと僕とお話ししませんかぁー」

 先程の少女がレオナさんと話が終わったタイミングで先に僕がギルドを出て、ギルドから少し離れた所で声を掛けた。

「……結構です」
「はいはい、そんなに照れないで。僕ね、商人ギルドの職員なんだけど……ちょーっとお話し聞かせてくれるだけで、武器や防具が安く買えちゃったりするかもよー?」
「……す、少しだけなら。何の用ですか?」

 ちょっとシャイな女の子みたいだったけれど、僕の容姿と話術で、あっさりと落ちた。
 ふふ……まぁでも、僕の心はレオナさんの物なんだけどねー。

「そんなに怯えなくても大丈夫だよ。僕が知りたいのは、レオナさんとスリーサイズと、君の秘密だけさ」
「……何も秘密なんてありませんが」
「はっはっは。君はB級冒険者だよね? それなのに、どうしてストーンゴーレムを大量に狩る事が出来たんだい?」
「えっ!? そ、それは……パーティの仲間が頑張ってくれたからで……」
「ふぅん。そういえば君、随分と可愛らしいネックレスをつけているね。そんなのを身につけていたら、戦いで邪魔になるんじゃないのかい?」
「――っ!? べ、別に平気です」

 ネックレスの話をした途端に、少女が一瞬ビクッと身体を振るわせた。
 やはり……これか。

「そうかい。じゃあ、最後に聞くけど、そのネックレス。僕が言い値で買ってあげるよ。いくらで買って欲しい?」
「う、売りません! これは大事な物なので! し、失礼します」
「そうか、残念だよ。じゃあ、商人ギルドに僕が居る時に声を掛けてくれたまえ。少しばかり色を付けてあげるよ」

 ネックレスを買うと言った途端に、血相を変え、逃げるようにして去っていった。
 おそらく、あのネックレスはレオナさんが持っていた物と同じ様な効果があるのだろう。
 ……つまり、レオナさんは、あの手のネックレスを複数個所有しているという事だ。
 ふふ……レオナさん。貴女の秘密、全て曝け出してもらいますからね。
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