精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

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第3章 精霊と新しい暮らしを始める元聖女

第38話 レオナの閃き

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「私が実力者……まぁレオナったら、リディアちゃんにそんな事を話したの!? いやねぇ、何年前の話をしているのよ。今の私は、せいぜい家に忍び込もうとした盗賊に当身を食らわせて、気絶させるくらいしか出来ないわよ」

 そう言って、セーラさんがニコニコと笑みを浮かべるけど、そもそも盗賊を気絶させるって、普通は出来ないよっ!?
 ……そういえば、昨日のお昼頃に何かがぶつかるような音がしたけど、まさかセーラさんが盗賊を倒した音だったとか!?
 あ! なるほど。セーラさんが傍に居れば、まず安全だから、クロードさんやロビンさんが私をここへ連れて来たんだね。

「そうだ。セーラさん。お世話になっていますし、今日の夕食は私が作りますから、ゆっくり休んでいてください」
「おや、良いのかい? すまないねぇ。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかしら。あと、食材は好きに使って構わないからね」

 家事のお手伝いを申し入れると、セーラさんが上機嫌でリビングへ向かっていく。
 昨日は丸一日アクセサリー作りをさせてもらったし、凄く捗ったから、料理以外にもお手伝いしようかな。
 庭に出ると、干してある洗濯物をチェックして、十分に乾いていたので取り込み……

「こ、これは……クロードさんの……だ、ダメよ。た、ただの下着なんだから」

 男物の下着を発見してしまった。

『リディア……それ以上やると、流石にウチでも引いちゃうよ?』
(ま、未だ何もしてないでしょっ!?)
『未だ……って、何かする気だったの!?』
(し、しないわよっ!)

 心を無にして落ち着かせ……そう。こういう時こそ、アクセサリーの力を使うの。
 平常心、平常心。

『えー、精霊の力をそんな事に使うの!?』
(べ、別に良いじゃない。流石に、このためだけに、誰かを呼んだ訳じゃないし)
『まぁ良いけどさぁ……』

 エミリーに呆れられながらも、洗濯物を片付け、掃除をして、夕食を作る。
 今日は野菜たっぷりで美味しい、ポトフを作る事にした。

「あら、お母さん。今日の夕食、いつもと味付けが違うのね。これはこれで、美味しいわ」
「確かに、普段の母上の味付けとは違いますね。ですが、優しい味で、美味しいです」

 あ、レオナさんもクロードさんも褒めてくれた。
 作った甲斐があったと内心喜んで居ると、

「実はねー。それはリディアちゃんが作ってくれたの。これで、いつでもお嫁に来れるわね」
「――っ!? ……し、失礼しました」

 セーラさんが変な事を言うから、クロードさんがむせちゃったじゃない。
 そんな夕食を過ごした後、今日もレオナさんと一緒にお風呂へ入っていると、

「ねぇリディアちゃん。昨日くれたネックレス……凄いの! 今日、仕事で全然イライラしなかったのよ」

 意外な事を話し始めた。

「イライラ……って、レオナさんでもイライラするんですか?」
「もちろんするよー。全然話を聞かない新米とか、偶然仕事が上手くいったからって調子に乗る冒険者とか、ほぼ毎日口説きにくるウザい商人とか。いろいろあるのよ」
「い、いろいろ大変そうですね」
「でね、何か他にも効果があるアクセサリーがあったりするのかなって思ってさ」
「昨日沢山作ったので、いっぱいありますよ。ですが、同じ人が複数の効果を得ようとすると、効果の相性とかバランスで上手く効力が発揮されない事があるんですよー」
「なるほど。じゃあ、基本的に一人につき一つまでの方がベターって事ね……そうだっ! 良い事、思いついたっ! リディアちゃん、ちょっと協力してくれない?」

 そう言って、やる気に満ちた表情のレオナさんが、突然立ち上がった。
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