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第2章 精霊と学校へ通う元聖女
第31話 打倒大臣
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「ロビンさん。リディア様より、騎士たちの分のアクセサリーが完成したとお話がありました」
王宮に着くと、クロードさんが馬車の中で伝えた話を早速ロビンさんに報告する。
「リディアちゃん。もう出来たの!? もの凄く早いわね」
「あはは、作っている内に楽しくなっちゃって」
「なるほどね。リディアちゃんは石の力を鑑定するだけでなく、何かを作る才能――普通の人からすると大変だと思う事を、楽しんでやれる才能があるのね」
大変な事を楽しんで出来る才能って言われても、私としては趣味に没頭していただけなんだけど……わざわざ否定する程でも無いから、まぁいっか。
「リディアちゃん、本当にありがとう。後は、私たち騎士団の仕事ね。クロードちゃん、シャルロットちゃんに謁見許可を取ってきて。私はメリア大臣のスケジュールを確認してくるから」
そう言って、ロビンさんはメイドさんたちの所へ行き、クロードさんは王宮の奥の方へ。
少し待つとクロードさんが戻ってきて、
「リディア様。すみませんが、少し移動をお願い出来ますでしょうか」
王宮の奥、以前にも行った会議を行う部屋へと案内される。
そこには既にシャルロットちゃんとロビンさんに、騎士隊長の方々が席に着いていて、
「じゃあ、主要メンバーが揃った所で本題へ入りましょう。ここに居る皆は、それぞれリディアちゃんにアクセサリーを作ってもらって、その効果を既に実感していると思うけど、早くもそのアクセサリーを騎士団員分を作ってくれたの」
ロビンさんが話を始める。
「そこで、いよいよメリア大臣と直接話を行う訳だけど……周辺諸国との会議のため、肝心のメリア大臣がイーサリム公国に出掛けていて不在なの。予定では、四日後に帰国となっているから、それまでにリディアちゃんに作ってもらったアクセサリーを、各騎士団員に配布しましょう」
「……ロビン殿。そのリディア様が作ってくださったというアクセサリーは、明日くらいに届くという事かな?」
「そういえば、そのアクセサリー自体は確認していなかったわね。クロードちゃんが預かっているの?」
第三騎士隊長さんの質問が、ロビンさんからクロードさんへ渡されたので、
「あ、それなら今ありますけど、お出ししましょうか?」
「……リディア様。今ある……とは、どういう意味でしょうか。騎士団員全員分となると数百はありますので、出すと言われましても……」
代わりに私が答えたんだけど、皆に不思議そうな表情を浮かべられてしまった。
(エミリー。闇の精霊イドちゃんに、何でも収納箱から作ったアクセサリーを出してもらってー。とりあえず、五十個だけ)
『分かったー。シェイド……そういう訳で、よろしくっ!』
エミリーに呼ばれたイドちゃんが、空間収納からアクセサリーを取り出し、机に置いていく。
私にはイドちゃんが取り出して置く、取り出して置く……という動作を繰り返しているのが見えているけれど、他の人たちはイドちゃんが見えないからか、
「つ、机の上に剣帯が積まれていく!? ど、どうなっているんだ!?」
「り、リディアちゃん!? 一体、これは何が起こっているの!?」
物凄く驚かれてしまった。
「こ、これも魔導具の効果です。あまり大量に運ぶ事は出来ないので、一先ず一部のみ持ってきましたが、後でクロードさんにお渡しいたしますね」
「……世の中にはこんな効果を持つ魔導具があるのか。知らなかった……」
「ふむ。やはり魔道士を相手にするのは脅威ね。こんなの使い方によっては、桁違いに強力な攻撃が出来てしまうじゃない」
あ、危なかった。
何も考えずに精霊の力を使っちゃったけど、誤魔化せて良かった。
一先ず、後でクロードさんに家まで送って貰った時に、残りのアクセサリーを渡さないとね。
それから、シャルロットちゃんを含めて今後の方針について話をしたところで、
「リディアちゃん。本当にありがとう。さっきも言ったけど、ここから先は私たちの仕事よ。リディアちゃんを危険に晒さない為にも、一旦リディアちゃんはここまでね。結果はクロードちゃんから伝えるから」
「え? でも、もしも戦いになってしまった時は……」
「そうならないように――戦いにならず平和的に解決出来るように、最大限の努力をするわ。だから……ね?」
詳細な話に入る前に、会議から外される事になってしまった。
そして、
「リディアさん。ロビンさんの言う通りで、ここから先は私が頑張ります。私が、大臣メリア=ガルシアを更迭してみせます」
私を安心させるかのように笑みを浮かべるシャルロットちゃんに見送られ、部屋から退室し、クロードさんに家まで送ってもらった。
王宮に着くと、クロードさんが馬車の中で伝えた話を早速ロビンさんに報告する。
「リディアちゃん。もう出来たの!? もの凄く早いわね」
「あはは、作っている内に楽しくなっちゃって」
「なるほどね。リディアちゃんは石の力を鑑定するだけでなく、何かを作る才能――普通の人からすると大変だと思う事を、楽しんでやれる才能があるのね」
大変な事を楽しんで出来る才能って言われても、私としては趣味に没頭していただけなんだけど……わざわざ否定する程でも無いから、まぁいっか。
「リディアちゃん、本当にありがとう。後は、私たち騎士団の仕事ね。クロードちゃん、シャルロットちゃんに謁見許可を取ってきて。私はメリア大臣のスケジュールを確認してくるから」
そう言って、ロビンさんはメイドさんたちの所へ行き、クロードさんは王宮の奥の方へ。
少し待つとクロードさんが戻ってきて、
「リディア様。すみませんが、少し移動をお願い出来ますでしょうか」
王宮の奥、以前にも行った会議を行う部屋へと案内される。
そこには既にシャルロットちゃんとロビンさんに、騎士隊長の方々が席に着いていて、
「じゃあ、主要メンバーが揃った所で本題へ入りましょう。ここに居る皆は、それぞれリディアちゃんにアクセサリーを作ってもらって、その効果を既に実感していると思うけど、早くもそのアクセサリーを騎士団員分を作ってくれたの」
ロビンさんが話を始める。
「そこで、いよいよメリア大臣と直接話を行う訳だけど……周辺諸国との会議のため、肝心のメリア大臣がイーサリム公国に出掛けていて不在なの。予定では、四日後に帰国となっているから、それまでにリディアちゃんに作ってもらったアクセサリーを、各騎士団員に配布しましょう」
「……ロビン殿。そのリディア様が作ってくださったというアクセサリーは、明日くらいに届くという事かな?」
「そういえば、そのアクセサリー自体は確認していなかったわね。クロードちゃんが預かっているの?」
第三騎士隊長さんの質問が、ロビンさんからクロードさんへ渡されたので、
「あ、それなら今ありますけど、お出ししましょうか?」
「……リディア様。今ある……とは、どういう意味でしょうか。騎士団員全員分となると数百はありますので、出すと言われましても……」
代わりに私が答えたんだけど、皆に不思議そうな表情を浮かべられてしまった。
(エミリー。闇の精霊イドちゃんに、何でも収納箱から作ったアクセサリーを出してもらってー。とりあえず、五十個だけ)
『分かったー。シェイド……そういう訳で、よろしくっ!』
エミリーに呼ばれたイドちゃんが、空間収納からアクセサリーを取り出し、机に置いていく。
私にはイドちゃんが取り出して置く、取り出して置く……という動作を繰り返しているのが見えているけれど、他の人たちはイドちゃんが見えないからか、
「つ、机の上に剣帯が積まれていく!? ど、どうなっているんだ!?」
「り、リディアちゃん!? 一体、これは何が起こっているの!?」
物凄く驚かれてしまった。
「こ、これも魔導具の効果です。あまり大量に運ぶ事は出来ないので、一先ず一部のみ持ってきましたが、後でクロードさんにお渡しいたしますね」
「……世の中にはこんな効果を持つ魔導具があるのか。知らなかった……」
「ふむ。やはり魔道士を相手にするのは脅威ね。こんなの使い方によっては、桁違いに強力な攻撃が出来てしまうじゃない」
あ、危なかった。
何も考えずに精霊の力を使っちゃったけど、誤魔化せて良かった。
一先ず、後でクロードさんに家まで送って貰った時に、残りのアクセサリーを渡さないとね。
それから、シャルロットちゃんを含めて今後の方針について話をしたところで、
「リディアちゃん。本当にありがとう。さっきも言ったけど、ここから先は私たちの仕事よ。リディアちゃんを危険に晒さない為にも、一旦リディアちゃんはここまでね。結果はクロードちゃんから伝えるから」
「え? でも、もしも戦いになってしまった時は……」
「そうならないように――戦いにならず平和的に解決出来るように、最大限の努力をするわ。だから……ね?」
詳細な話に入る前に、会議から外される事になってしまった。
そして、
「リディアさん。ロビンさんの言う通りで、ここから先は私が頑張ります。私が、大臣メリア=ガルシアを更迭してみせます」
私を安心させるかのように笑みを浮かべるシャルロットちゃんに見送られ、部屋から退室し、クロードさんに家まで送ってもらった。
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