精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

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第2章 精霊と学校へ通う元聖女

第14話 オウラディ学院

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 クロードさんに街を案内してもらい、家まで送ってもらった後、荷物が届いた。
 結構大きな箱なので、何だろうと思いながら開けてみると、

「服? ……あ、学校の制服だ!」

 白を基調にした可愛らしい服が二着と、沢山の本に、鞄や筆記用具なんかが入っていた。
 聖女としてお勤めをする毎日で、勉強といえば一人で本を読んだり、時々エミリーに教えてもらったりっていう事ばかりだったけど、制服を見て今更ながらに学校へ行くという実感が湧いてくる。
 とはいえ、メインはカモフラージュであり、教養を身に付けに行く訳ではないので、学校は息抜き……くらいに思っておけば良いのかもしれない。

『そうだねー。でも、リディアも学校で学ばないといけない事があるよー』
(んー、まぁそうよね。きっと知らない事だらけだろうし)
『そういう事じゃなくて、この国の流行とかデザインだよ。ロビンから依頼されていたよね? 王族や騎士が身につけられるアクセサリーをって』
(あ、確かに。けど、クロードさんはブレスレットを身につけてくれたよ?)
『クロードはね。でも、そうじゃなくて、王様だとか、そのお妃様だとかにつけてもらうアクセサリーを作る訳だし、王族や貴族も通う学校の生徒を観察しなきゃ』

 なるほど。エミリーの言う事にも一理ある。
 シャルロットちゃんも、私が作ったアクセサリーを可愛いと言ってくれたけど、それを公の場で身につけられるかどうかは、別の話だしね。
 一先ず、荷物に入っていた紙を見ながら明日の準備をして、一先ず今日は就寝する事にした。

……

 アメーニア王国で聖女をしていた時と同じように朝早く目覚め、お弁当の準備と朝の支度をきっちり済ませ、エミリーと雑談をしていると、コンコンと扉がノックされる。

「おはようございます。リディア様、お迎えに参りました」
「クロードさん。おはようございます!」

 昨日とは違い、完全に騎士としての格好のクロードさんが迎えに来てくれた。
 話を聞くと、どうやら私を学校へ送り届け、そのまま王宮へ行って任務に就くらしい。
 昨日同様に、クロードさんが馬車にエスコートしてくれて……その時、腕から輝く青い石が見えた。

「あ、そのブレスレット……」
「え、えっと、せっかくリディア様にいただいた物ですので、早速身につけさせていただきました」
「は、はい。何というか、身につけていただいて、ありがとうございます」
「えぇっ!? いえ、こちらこそ、このような物をありがとうございます」

 互いに感謝し合いながら馬車に乗り、学校が終わった後の説明を受けている間に、馬車が止まる。

「リディア様。こちらが、本日より通っていただくオウラディ学院です」
「ず、随分と大きい学校なんですね」
「えぇ。我が国で一番古く、伝統と格式がある学校です。では、リディア様。すみませんが、また後程」

 そう言って、クロードさんが早々に馬車へ乗って出発してしまった。
 随分と急いでいるんだなと思っていると、クロードさんが乗った馬車のすぐ後に、別の立派な馬車が来て、そのまた次も違う馬車が来て……あー、王族や貴族が通う学校だって言ってたもんね。
 生徒皆が馬車で登校してくるから、馬車の降車場所を早く空けないといけないんだ。

『ふふっ。リディアは、クロードが早く帰っちゃったから寂しかったんだねー』
(そ、そういうのじゃないよっ! た、単に私の警護がクロードさんの負担になってしまっていないかなーって思ってさー)
『まぁ負担になっているか、なっていないかで言えばなっているんじゃない? 新しい仕事が増えた訳だし』
(や、やっぱりそうだよね……)
『でも、だからこそ、昨日癒しの効果を込めた精霊石のアクセサリーを渡したんでしょ? 負担って言っても、朝に家を出る時間が少し早くなったとか、そんな程度だろうし、むしろ有り余ってお釣りが出る程のプレゼントだと思うよ』
(そ、そうだと良いんだけどね)

 エミリーと話しつつ、最初に行くようにと聞かされていた、学長室という所へ。
 中へ入ると、でっぷりとした身体の大きな年配の方が居て、

「君がリディア君か。シャルロット様のご友人という……」
「はい。本日から、宜しくお願いいたします」
「こちらこそ、宜しくお願いいたしますぞ。我が校の良さを、是非ともシャルロット様へお伝えください」

 おそらく学長にも全ての話はされていないのだろう。
 シャルロットちゃんに――現王女が将来通ってくれるようにと、揉み手で話し続けている。
 ……伝統と格式のある学校だって聞いていたんだけど、大丈夫かな?
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