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第1章 精霊と共に追放された元聖女
挿話3 窮地に追いやられる第四王女ユフィ
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あの女が本物の聖女……というか、聖女が持つ力が本物ですって!?
……そうだとしたら、その聖女を追い出した私は非常にマズい事になってしまうじゃない。
どうしたものかと考えながら部屋と戻っていると、遠くにサリサお姉様が見えた。
そうだ! サリサお姉様にも確認してみよう。ケヴィンお兄様は騎士団の方ですからね。いろいろと勘違いをされていたりするのかもしれません。
その点、サリサお姉様は第二王女という事もあって、国の予算の会議なんかにも参加されているらしいですし、間違いは無いでしょう。
「サリサお姉様ー!」
「あら、ユフィじゃない。珍しいわね、貴方が私に話しかけてくるなんて」
「それは、サリサお姉様がお仕事でお忙しいから……って、今はそんな事はどうでも良くて、少しお聞きしたい事があるんです」
そう言うと、お姉様は気を遣ってくれたようで、お付きのメイドたちを遠ざける。
「それで、私に聞きたい事って?」
「はい。聖女と呼ばれている人の事なんですが……」
「あぁ、リディア様がどうかしたの?」
「……サリサお姉様ほどのお方でも、聖女の事を様付けで呼ぶのですか?」
「当然でしょう。この国の国防費が抑えられ、他国よりも騎士団の危険が少ないのもリディア様のおかげですからね」
「国防費……それは、聖女の力? で、魔物が封印されているからって事でしたっけ?」
そもそも、あの女が魔物を封じる力を持っているというのが怪しいんだけど。
第一、魔物って何よ。おとぎ話に出てくるゴブリンやオークが実在するとでも言うの!?
「えぇ、そうよ。よく勉強しているじゃない。周辺の国々は、うちと違って頻発する魔物の脅威から国民を守るために騎士団を魔物退治に派遣し、甚大な被害を受ける事があるそうよ」
「騎士よりも魔物の方が強いのですか!?」
「それは魔物にもよるわね。けど、魔物の中では弱いイメージのあるゴブリンだって、百や二百の数が集まれば大変な脅威よ? 一匹ゴブリンを見たら十匹は居ると思え……なんて言葉があるくらい、繁殖力があるらしいの」
「……あれ? 今の話だと、他国には魔物が実在するんですか!?」
「他国というか、この国にも居るわよ。街に近づいて来ないだけで。精霊石を配置していない山の中や、洞窟の中なんて、うじゃうじゃ居るわよ」
「で、でも、その精霊石っていうのがあれば、魔物は来ないんですよね?」
「リディア様が定期的に力を回復してくださればね。当然だけど、精霊石の力は使っていけばなくなってしまうわ。過去に道が崩落していて、ある精霊石まで辿り着けなかった事があって、その後、村が魔物に襲われてしまったという事件もあったわ」
うぅ……ケヴィンお兄様もサリサお姉様も同じ事を言うって事は、やっぱり聖女の話は本当なの!?
「そ、そうだ! でも、その精霊石って高いんですよね? だったら、精霊石を止めて騎士を配置したりした方が……」
「何を言っているの? 確かに精霊石は高額だけど、それでも騎士に比べれば安いに決まっているじゃない。精霊石は昼夜問わず魔物を封じてくれるけど、同じ事を騎士でやろうと思ったら、一体何人騎士が必要になるかしら」
「で、ですが、騎士になりたいと思う人なんて沢山居るでしょうし、沢山徴用すれば……」
「それは、リディア様の力があって、騎士が安全だという前提があるからよ……って、ユフィ。さっきから、どうしてこんな話ばかりしているの? まるでリディア様を追い出したいかのように聞こえるわよ?」
お、追い出したいんじゃなくて、既に追い出した後なのよっ!
ど、どうしよう。サリサお姉様へ正直に話して、助けてもらうべきかしら。それとも、このまま隠し通して……
「そういえば……ユフィは広い部屋に移りたいって、日頃から不満を言っていたらしいわね」
「サリサお姉様!? わ、私はそんな事……い、言っていません」
「本当? メイドからそんな話を聞いているって、セリスが言っていたわよ……って、突然リディア様の話を聞いてきたけど、まさか貴方。リディア様に何かしたんじゃないでしょうね!?」
「な、何もしてなんかいませんよ。私がそんな事をする訳ないじゃないですか!」
くっ……セリスめ。なんて余計な事をサリサお姉様に話しているのよっ!
「いい、ユフィ。貴方は知らないかもしれないけれど、リディア様の力――精霊石の力は、この国の大きなアドバンテージなの。魔物を封じる事はもちろん、魔道士が触れていなくても使える魔導具……これは凄い事なのよ?」
「ど、どいう事ですか?」
「普通の魔導具は、魔道士が自らの魔力を流して使うけど、それを魔道士以外でも使えるようにしたり、夜の街に明かりを灯す魔導具が動いているのも、全てリディア様のおかげなのよ?」
「そ、そうなんですか!?」
「えぇ、そうよ。全てはリディア様が精霊石に力を込めてくれているから。貴方が何を企んでいるかは知らないけれど、リディア様に何かあったら、貴方は二度と王宮に戻れないと思いなさい! いいわね!」
「は、はい」
……えぇぇっ!? ど、どうしようっ! どうすれば良いのっ!?
……そうだとしたら、その聖女を追い出した私は非常にマズい事になってしまうじゃない。
どうしたものかと考えながら部屋と戻っていると、遠くにサリサお姉様が見えた。
そうだ! サリサお姉様にも確認してみよう。ケヴィンお兄様は騎士団の方ですからね。いろいろと勘違いをされていたりするのかもしれません。
その点、サリサお姉様は第二王女という事もあって、国の予算の会議なんかにも参加されているらしいですし、間違いは無いでしょう。
「サリサお姉様ー!」
「あら、ユフィじゃない。珍しいわね、貴方が私に話しかけてくるなんて」
「それは、サリサお姉様がお仕事でお忙しいから……って、今はそんな事はどうでも良くて、少しお聞きしたい事があるんです」
そう言うと、お姉様は気を遣ってくれたようで、お付きのメイドたちを遠ざける。
「それで、私に聞きたい事って?」
「はい。聖女と呼ばれている人の事なんですが……」
「あぁ、リディア様がどうかしたの?」
「……サリサお姉様ほどのお方でも、聖女の事を様付けで呼ぶのですか?」
「当然でしょう。この国の国防費が抑えられ、他国よりも騎士団の危険が少ないのもリディア様のおかげですからね」
「国防費……それは、聖女の力? で、魔物が封印されているからって事でしたっけ?」
そもそも、あの女が魔物を封じる力を持っているというのが怪しいんだけど。
第一、魔物って何よ。おとぎ話に出てくるゴブリンやオークが実在するとでも言うの!?
「えぇ、そうよ。よく勉強しているじゃない。周辺の国々は、うちと違って頻発する魔物の脅威から国民を守るために騎士団を魔物退治に派遣し、甚大な被害を受ける事があるそうよ」
「騎士よりも魔物の方が強いのですか!?」
「それは魔物にもよるわね。けど、魔物の中では弱いイメージのあるゴブリンだって、百や二百の数が集まれば大変な脅威よ? 一匹ゴブリンを見たら十匹は居ると思え……なんて言葉があるくらい、繁殖力があるらしいの」
「……あれ? 今の話だと、他国には魔物が実在するんですか!?」
「他国というか、この国にも居るわよ。街に近づいて来ないだけで。精霊石を配置していない山の中や、洞窟の中なんて、うじゃうじゃ居るわよ」
「で、でも、その精霊石っていうのがあれば、魔物は来ないんですよね?」
「リディア様が定期的に力を回復してくださればね。当然だけど、精霊石の力は使っていけばなくなってしまうわ。過去に道が崩落していて、ある精霊石まで辿り着けなかった事があって、その後、村が魔物に襲われてしまったという事件もあったわ」
うぅ……ケヴィンお兄様もサリサお姉様も同じ事を言うって事は、やっぱり聖女の話は本当なの!?
「そ、そうだ! でも、その精霊石って高いんですよね? だったら、精霊石を止めて騎士を配置したりした方が……」
「何を言っているの? 確かに精霊石は高額だけど、それでも騎士に比べれば安いに決まっているじゃない。精霊石は昼夜問わず魔物を封じてくれるけど、同じ事を騎士でやろうと思ったら、一体何人騎士が必要になるかしら」
「で、ですが、騎士になりたいと思う人なんて沢山居るでしょうし、沢山徴用すれば……」
「それは、リディア様の力があって、騎士が安全だという前提があるからよ……って、ユフィ。さっきから、どうしてこんな話ばかりしているの? まるでリディア様を追い出したいかのように聞こえるわよ?」
お、追い出したいんじゃなくて、既に追い出した後なのよっ!
ど、どうしよう。サリサお姉様へ正直に話して、助けてもらうべきかしら。それとも、このまま隠し通して……
「そういえば……ユフィは広い部屋に移りたいって、日頃から不満を言っていたらしいわね」
「サリサお姉様!? わ、私はそんな事……い、言っていません」
「本当? メイドからそんな話を聞いているって、セリスが言っていたわよ……って、突然リディア様の話を聞いてきたけど、まさか貴方。リディア様に何かしたんじゃないでしょうね!?」
「な、何もしてなんかいませんよ。私がそんな事をする訳ないじゃないですか!」
くっ……セリスめ。なんて余計な事をサリサお姉様に話しているのよっ!
「いい、ユフィ。貴方は知らないかもしれないけれど、リディア様の力――精霊石の力は、この国の大きなアドバンテージなの。魔物を封じる事はもちろん、魔道士が触れていなくても使える魔導具……これは凄い事なのよ?」
「ど、どいう事ですか?」
「普通の魔導具は、魔道士が自らの魔力を流して使うけど、それを魔道士以外でも使えるようにしたり、夜の街に明かりを灯す魔導具が動いているのも、全てリディア様のおかげなのよ?」
「そ、そうなんですか!?」
「えぇ、そうよ。全てはリディア様が精霊石に力を込めてくれているから。貴方が何を企んでいるかは知らないけれど、リディア様に何かあったら、貴方は二度と王宮に戻れないと思いなさい! いいわね!」
「は、はい」
……えぇぇっ!? ど、どうしようっ! どうすれば良いのっ!?
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