精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

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第1章 精霊と共に追放された元聖女

第6話 エスドレア王国へのお招き

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「ねぇ、クロード。どう思う?」
「そ、そうですね。私は商売には余り詳しくないので、一度国へ戻って商人ギルドへ確認……こほん。私は武器商人であり、アクセサリーの類は詳しくないので、ギルドに確認するのが宜しいかと」
「じゃあ、決まりね! これだけ可愛いアクセサリーなんだもの。絶対に人気が出るわよ」

 おぉ、シャルロットちゃんが、私の作ったアクセサリーをベタ褒めしてくれる。
 今までエミリーにしか見せた事がなかっただけに、ちょっと嬉しい。

「あ、このブローチ可愛い! つけてみてもいいかしら」
「もちろん!」

 シャルロットちゃんが、小さな青い石――割れてしまった精霊石を私がもらい受けて削った――で作った、花をモチーフにしたブローチを胸につける。
 シャルロットちゃんは、こういうのが好きなんだねー。
 確か、花のデザインなら他にもあったよね……

「あ、あら? このブローチ……」
「ん? どうかした?」
「いえ。身につけた途端に、昨日痛めた足が……」
「えっ!? シャルロットちゃんも怪我をしてたの!? 言ってくれれば良かったのに!」
「いえ、大した傷ではないので良いのです。それよりも、このブローチをつけてから、痛みが和らいだのですが……」

 過去に作ったアクセサリーを入れている鞄を漁っていたら、シャルロットちゃんが困惑し始めた。
 とりあえず説明だけしておいた方が良いかな。

「えっと、そのブローチには水の精霊の力が宿っているから、癒しの効果があるんだよ。だから、痛みが和らいだんだよ」
「お、お待ちください。リディアさん。精霊の力が宿っている……とは、どういう事なのでしょうか?」

 あ、しまった。
 うっかり精霊の事を話しちゃった。
 クロードさんは唖然としているけど、シャルロットちゃんが驚いた表情で私を見てる。
 うぅ……これは、クロードさんやシャルロットちゃんからも、ユフィ様みたいな目で見られちゃうのかな?
 精霊は本当に居るのに。
 どう答えようかと考えていると、

「あの、実はこれは……」
「素晴らしい! リディア様は力の石を見分ける事が出来るのですね!」
「え? 力の石?」
「はい。我が国では身につけると不思議な効力のある石が出土しており、古来より精霊が宿る石と呼ばれています。ですが、同じ様な石でも効力があったり無かったり、そもそも効果が違ったりで、中々実用に向かないのですが……リディア様は、それが分かるのですね!?」

 突然クロードさんが興奮した様子で喋りだす。
 えーっと、つまりこれは、私が精霊石や精霊石のかけらに力を込める事が出来る元聖女だとバレた訳では無いって事……よね?

「えっと、まぁそんな感じです」
「これは……凄い事です! リディア様! どうか、我が国、エスドレア王国へ来ていただけませんか!?」
「あ、あの……クロードさん。その……」

 事情は良く分からないけれど、余程興奮しているらしく、クロードさんが私の手を、手を握ってるぅーっ!

「クロード。リディアさんが困ってます」
「こ……これは、た、大変失礼致しましたっ! す、すみません」
「い、いえ、別に困っている訳では……」

 シャルロットちゃんに指摘されたクロードさんが、慌てて手を離すけど、顔が真っ赤で……まぁ私も自覚出来るくらいには顔が赤くなってしまっているのだけど。

「……こ、こほん。と、ところで、先ほどのお話はどういう事でしょうか?」
「しゃ、シャルロット様。お話ししても宜しいでしょうか?」
「そうですね。クロードの考えでは、リディアさんのお力を借りる事が出来れば、この状況を立て直せるかもしれないのですよね? でしたら、正直にお話しして、協力いただけるかどうかをリディアさんにお聞きしましょう」

 何やらクロードさんとシャルロットちゃんが話し、

「実は今、エスドレア王国では一部の国民から政治への不満意見が出ており、このまま解決策を見出せなければ、内乱が起こりかねない事態なのです」
「内乱!?」
「えぇ。ですが、その解決策を――リディア様が力を貸してくだされば、国と国民を守れるかもしれないのです」
「え、えぇぇぇっ!? そ、そんなに大事なんですかっ!?」

 私が国の命運を握っているとまで言われてしまった。

「そうなのです。とはいえ、他にも手は打とうとしておりますので、リディア様の都合もあるかと思います。出来れば……出来れば、我々の国を助けていただけないでしょうか」
「な、何をすれば良いのですか?」
「先ほどお話させていただいた、力の石の鑑定です。というのも、不満意見を出しているのが、力の石の発掘を生業としているドワーフ族なのです」
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