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第1章 精霊と共に追放された元聖女
挿話2 聖女を追い出した第四王女ユフィ
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あの精霊が見えるかどうかと変な事を聞いてくるお父様の妾を追い出し、この広い離宮を手に入れたものの、ここに仕えているはずのメイドが誰も挨拶に来ない。
これだけ広い離宮なのだから、最低でも四人はメイドが居るはずだ。
それなのに、
「誰か出てきなさいよっ! 居るんでしょっ! 今日からこの私、第四王女ユフィ=アメーニアが聖女になったの! 投獄されたくなければ、今すぐ出て来なさいっ!」
私はこの国の王女なのよ!? これ以上待たせるようなら、ここのメイドも全員クビにして、総入れ替えにしてやろうかしら。
しかし、これだけ言っているのに誰も出てこない。
もしかして、私の言葉をハッタリだと思っているのかしら。
だけど、メイドの一人や二人、いえ一束くらい私の一声でクビに出来るし、投獄する理由なんていくらでも作れる。
私はこの国の王女であり、生まれながらにして平民とは身分が違うの。
私が黒だと言えば、白でも黒になるんだから!
「……本当に誰も出て来ないのね!? 分かったわ。お望み通り、ここに仕えるメイドは、全員国家反逆罪として投獄よっ! 後悔なら檻の中でするのねっ!」
流石にメイドが誰も居なければ、私の荷物を王宮からここへ運べないし、あの妾とお父様が寝ていたベッドで寝るなんて、死んでも嫌!
今日は大人しく元の部屋に戻ってあげるけど、覚えてなさい! 明日の朝一でお父様に言って……いえ、お父様の妾を追放した事は、まだ言わない方が良いわね。
誰か適当に騎士か兵士を見繕って、ここのメイドたちを牢へぶち込んでやるんだからっ!
イライラしながら王宮の自分の部屋へ戻り、
「バカメイドッ! 私の荷物を纏めなさい! バカメイドッ!」
バカメイドを呼びつけるが現れない。
またサボっているのね!? まったく、ホント使えないんだからっ!
せっかく聖女という肩書を手に入れたのに、どうしてこうも上手く行かないのかしら。
「あ! そこのアンタ! 私の所のバカメイドを見てない!?」
「……あ、あのユフィ様。彼女は、先ほどお暇を出されたのでは……」
そうだった。さっきクビにしたわね。
という事は、明日まで待ってなんて居られないわ! 今すぐメイドが必要だもの。
「じゃあ、アンタで良いわ。あのバカメイドの代わりに来なさい。私の荷物を片付けて」
「ユフィ様。ですが、私は第三王女セリス様付きのメイドです。勝手に別の仕事をする訳には……」
「セリス姉様には私から言っておくわよっ! だから、アンタはさっさと荷物を片付けるのよ」
「は、はい……」
どいつもこいつも仕事が遅いんだから。
セリスの仕事? 知らないわよ、そんなの。
適当に見つけたメイドを部屋に連れて行くと、
「この部屋の荷物を纏めておいて。明日、別の部屋に移るから」
「はぁ……わかりました」
「じゃ、頼んだわよ。私は食事をして、そのままお風呂へ行くから。それまでに終わらせておいてね」
「は!? ユフィ様!? いくらなんでもそれは、時間が足りません」
「知らないわよ。とにかくやっといてね。貴方も、クビにはなりたくないでしょう?」
「……」
メイドに仕事を指示して食堂へ移動すると、珍しく第三王子のケヴィンお兄様が居た。
今は騎士団の隊長を任されているし、格好良いし、人望もあってメイドからも人気なので、新しい聖女になったとアピールしておこう。
ケヴィンお兄様から見て、もう一人の妹となるセリスよりも、私の方が優秀で可愛いと。
「ケヴィンお兄様。お久しぶりです」
「おぉ、ユフィじゃないか。最近は騎士団が忙しくてあまり話せなかったが、元気か?」
「はい! ところで、ケヴィンお兄様。聖女ってご存じですか? 実は私、今日……」
「お! 勉強嫌いユフィも王国史の授業で聖女について習ったのか。彼女は凄いよな。たった一人で魔物から国を守っているんだから」
「え? ケヴィンお兄様? 一体何を……」
「だから、聖女リディア様の話だろ? 数年前に精霊の加護を受けてから、国内を巡って魔物を封印していて、しかも護衛やメイドを付けると言うと、その費用を貧しい人々の為に使って欲しいって断る……いや、まさに聖女に相応しい女性だよな」
あ、あれ? ケヴィンお兄様ともあろう聡明な方が、一体何を仰っているの!?
精霊の加護!? 何を言っているの!? それに魔物!? 魔物って何なの!?
「で、でも、聖女には凄い費用が掛かっているのでは!?」
「あぁ、魔物を封印するための大きな精霊石が高額だからな。小さい物なら大した事は無いんだが、大きな物は中々採掘されないし、どうしても高くなってしまうみたいだ。これにはリディア様も悩んでいて、少しでも費用を抑えるために、街にある貸家に住むとか言い出した事もあるらしいぞ。大臣たちが説得して、離れに住んでもらう事にはなったらしいけどな」
「……で、でも、精霊の力だなんて……」
「あー、そうか。ユフィは見た事がないんだよな。前はそこら中に魔物が居たんだけど、リディア様の力で街の近くへ来れなくしてくれたんだ。魔物を追い払う所を目の当たりにしたけど、今あの力がなくなったら、国がひっくり返る程の大パニックになるね」
あ、あれ? え、えっと……もしかして、あの女……本物なのっ!?
これだけ広い離宮なのだから、最低でも四人はメイドが居るはずだ。
それなのに、
「誰か出てきなさいよっ! 居るんでしょっ! 今日からこの私、第四王女ユフィ=アメーニアが聖女になったの! 投獄されたくなければ、今すぐ出て来なさいっ!」
私はこの国の王女なのよ!? これ以上待たせるようなら、ここのメイドも全員クビにして、総入れ替えにしてやろうかしら。
しかし、これだけ言っているのに誰も出てこない。
もしかして、私の言葉をハッタリだと思っているのかしら。
だけど、メイドの一人や二人、いえ一束くらい私の一声でクビに出来るし、投獄する理由なんていくらでも作れる。
私はこの国の王女であり、生まれながらにして平民とは身分が違うの。
私が黒だと言えば、白でも黒になるんだから!
「……本当に誰も出て来ないのね!? 分かったわ。お望み通り、ここに仕えるメイドは、全員国家反逆罪として投獄よっ! 後悔なら檻の中でするのねっ!」
流石にメイドが誰も居なければ、私の荷物を王宮からここへ運べないし、あの妾とお父様が寝ていたベッドで寝るなんて、死んでも嫌!
今日は大人しく元の部屋に戻ってあげるけど、覚えてなさい! 明日の朝一でお父様に言って……いえ、お父様の妾を追放した事は、まだ言わない方が良いわね。
誰か適当に騎士か兵士を見繕って、ここのメイドたちを牢へぶち込んでやるんだからっ!
イライラしながら王宮の自分の部屋へ戻り、
「バカメイドッ! 私の荷物を纏めなさい! バカメイドッ!」
バカメイドを呼びつけるが現れない。
またサボっているのね!? まったく、ホント使えないんだからっ!
せっかく聖女という肩書を手に入れたのに、どうしてこうも上手く行かないのかしら。
「あ! そこのアンタ! 私の所のバカメイドを見てない!?」
「……あ、あのユフィ様。彼女は、先ほどお暇を出されたのでは……」
そうだった。さっきクビにしたわね。
という事は、明日まで待ってなんて居られないわ! 今すぐメイドが必要だもの。
「じゃあ、アンタで良いわ。あのバカメイドの代わりに来なさい。私の荷物を片付けて」
「ユフィ様。ですが、私は第三王女セリス様付きのメイドです。勝手に別の仕事をする訳には……」
「セリス姉様には私から言っておくわよっ! だから、アンタはさっさと荷物を片付けるのよ」
「は、はい……」
どいつもこいつも仕事が遅いんだから。
セリスの仕事? 知らないわよ、そんなの。
適当に見つけたメイドを部屋に連れて行くと、
「この部屋の荷物を纏めておいて。明日、別の部屋に移るから」
「はぁ……わかりました」
「じゃ、頼んだわよ。私は食事をして、そのままお風呂へ行くから。それまでに終わらせておいてね」
「は!? ユフィ様!? いくらなんでもそれは、時間が足りません」
「知らないわよ。とにかくやっといてね。貴方も、クビにはなりたくないでしょう?」
「……」
メイドに仕事を指示して食堂へ移動すると、珍しく第三王子のケヴィンお兄様が居た。
今は騎士団の隊長を任されているし、格好良いし、人望もあってメイドからも人気なので、新しい聖女になったとアピールしておこう。
ケヴィンお兄様から見て、もう一人の妹となるセリスよりも、私の方が優秀で可愛いと。
「ケヴィンお兄様。お久しぶりです」
「おぉ、ユフィじゃないか。最近は騎士団が忙しくてあまり話せなかったが、元気か?」
「はい! ところで、ケヴィンお兄様。聖女ってご存じですか? 実は私、今日……」
「お! 勉強嫌いユフィも王国史の授業で聖女について習ったのか。彼女は凄いよな。たった一人で魔物から国を守っているんだから」
「え? ケヴィンお兄様? 一体何を……」
「だから、聖女リディア様の話だろ? 数年前に精霊の加護を受けてから、国内を巡って魔物を封印していて、しかも護衛やメイドを付けると言うと、その費用を貧しい人々の為に使って欲しいって断る……いや、まさに聖女に相応しい女性だよな」
あ、あれ? ケヴィンお兄様ともあろう聡明な方が、一体何を仰っているの!?
精霊の加護!? 何を言っているの!? それに魔物!? 魔物って何なの!?
「で、でも、聖女には凄い費用が掛かっているのでは!?」
「あぁ、魔物を封印するための大きな精霊石が高額だからな。小さい物なら大した事は無いんだが、大きな物は中々採掘されないし、どうしても高くなってしまうみたいだ。これにはリディア様も悩んでいて、少しでも費用を抑えるために、街にある貸家に住むとか言い出した事もあるらしいぞ。大臣たちが説得して、離れに住んでもらう事にはなったらしいけどな」
「……で、でも、精霊の力だなんて……」
「あー、そうか。ユフィは見た事がないんだよな。前はそこら中に魔物が居たんだけど、リディア様の力で街の近くへ来れなくしてくれたんだ。魔物を追い払う所を目の当たりにしたけど、今あの力がなくなったら、国がひっくり返る程の大パニックになるね」
あ、あれ? え、えっと……もしかして、あの女……本物なのっ!?
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