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第1話 聖女、追放される!?
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「リディア=テイラー。貴女、今日中に荷物を纏めて出て行ってくれるかしら。先程、精霊から新たな聖女として私が選ばれたの」
日々の務めである精霊の力の付与を終え、宮殿の離れにある聖女の屋敷――つまり私の住む家に戻ってくると、突然見知らぬ女に出て行けと言われてしまった。
いや、見知らぬ女ではないか。
確か、一度だけ紹介された事がある。えっと……そう、第四王女のユフィ様だ。
私よりも二歳年下の十四歳で、お人形みたいにすっごく可愛いんだけど、何故か碧い瞳で私の事をジッと睨んでいる。
殆ど話した事も無いのに、どういう訳か嫌われているみたい……って、百歩譲ってそれは良いとしても、どうして私が出て行かないといけないんだろう。
聖女が二人になったら、お仕事も二人で手分けして出来るし、すっごく助かるんだけど。
ユフィ様の言動について考えていると、私に加護を与えてくれた、精霊王の娘エミリーが話しかけてきた。
『リディア。コイツが言っているのは、ただのハッタリだぞ?』
(え? 聖女に選ばれたっていうのは嘘なの?)
『あぁ。そんな話はパパから聞いてないし、そもそもコイツ……ウチの事が見えてないし、会話も聞こえてないぞ』
(でも、精霊から聖女に選ばれたって言ってたよ? 精霊と会話が出来ないと、選ばれた事も分からないと思うんだけど)
『だから、その選ばれたっていうのが嘘なんだよ。精霊の事を何一つ分かっていないし、精霊石に力を付与する方法も知らないだろ』
幼い頃に精霊から加護を貰った私は、口に出さなくても思考だけでエミリーと会話が出来る。
他の人が精霊と会話をしている所を見た事ないから会話が聞こえるかどうかは分からないけれど、少なくともエミリーの姿は見えるはずだ。
だけど、そのエミリーがジト目でユフィ様を見つめていて……うーん。確かに見えて無さそうに思えてしまう。
「ユフィ様。ユフィ様に加護を授けてくださった精霊さんは、何というお名前なのですか?」
「名前? そんなのある訳ないでしょ。精霊は精霊よ。変な事を言っていないで、早く荷物を纏めなさい。今日からここは私の部屋になるんだから」
あ、エミリーの言う通りなのかも。
ユフィ様は精霊に選ばれたって言っていたけど、その目の前で宙に漂うエミリーが見えて居ない。
その証拠に、エミリーがユフィ様に向かって失礼な事ばかり言っているし、小馬鹿にしたような態度を取っている。
「ユフィ様。正直に仰って下さい。精霊の姿を見る事が出来ますか? 精霊石に精霊の力を込めても、一ヶ月程度で力が無くなってしまいます。ですので、各地の精霊石へ定期的に……」
「うるさいわねっ! 精霊なんている訳ないでしょっ! 聖女っていう立場で居続けたいからって、それ以上虚言を続けるのなら、罪人として牢へ入れるわよ!」
「ユフィ様。精霊は居ます。この国の魔物を封じてくれていたり、生活を便利にする魔導具を動かす源になっていたり、何より……」
「これが最後よ。今すぐ荷物を纏めて出て行かないのなら、衛兵を呼ぶわ」
ユフィ様が私の話に聞く耳を持たず、精霊の存在を信じていない。
このままだと、この国が大変な事になっちゃうんだけど、
『リディア。もう、良いんじゃない? この国ってさ、精霊の力を使っておきながら、その存在を信じてないでしょ? それに、そもそもウチは、この国の為じゃなくて、リディアの為に力を貸してるの。リディアがこの国の為に頑張る必要だってないよ』
(そ、そうかな? この国の人たちが困らないかな?)
『大丈夫だって。そもそも魔導具だって、精霊の力を使わなくても、人間が自らの魔力を使えば動くし、魔物だって騎士団がいるんだから、自分たちで何とかするさ』
エミリーは大丈夫だって言ってくる。
けど、そもそも私がここに残ろうとすると、投獄されちゃうし、出て行くしか選択肢が無いんだけどさ。
『それと、リディアは毎日国の為に精霊石を巡ってさ、働き過ぎだと思うんだよねー。一度ゆっくりしてみたら?』
(まぁ確かに、毎日お仕事してるけど……)
『ウチ、前から思ってたんだけど、リディアが趣味で作ってるアクセサリーって、売り物に出来るレベルだと思うんだよねー』
(え? あ、あんなの無理だよ。素人が見様見真似で作ってるだけだし)
『大丈夫、大丈夫。リディアならやっていけるよ。だから、これを機に好きな事をして生きていこうよ』
(い、いいのかな?)
『良いに決まってるよー。だって、今まで毎日大変な思いをして、洞窟とか滝とかって、場所を巡っていたでしょ? あのまま続けていたら、いつか身体を壊しちゃうよ。だから、アクセサリーを作ってのんびりスローライフを楽しもっ!』
エミリーにも後押しされ、
「わかりました。では、今日でここを出て行きます」
私は聖女ではなくなった。
日々の務めである精霊の力の付与を終え、宮殿の離れにある聖女の屋敷――つまり私の住む家に戻ってくると、突然見知らぬ女に出て行けと言われてしまった。
いや、見知らぬ女ではないか。
確か、一度だけ紹介された事がある。えっと……そう、第四王女のユフィ様だ。
私よりも二歳年下の十四歳で、お人形みたいにすっごく可愛いんだけど、何故か碧い瞳で私の事をジッと睨んでいる。
殆ど話した事も無いのに、どういう訳か嫌われているみたい……って、百歩譲ってそれは良いとしても、どうして私が出て行かないといけないんだろう。
聖女が二人になったら、お仕事も二人で手分けして出来るし、すっごく助かるんだけど。
ユフィ様の言動について考えていると、私に加護を与えてくれた、精霊王の娘エミリーが話しかけてきた。
『リディア。コイツが言っているのは、ただのハッタリだぞ?』
(え? 聖女に選ばれたっていうのは嘘なの?)
『あぁ。そんな話はパパから聞いてないし、そもそもコイツ……ウチの事が見えてないし、会話も聞こえてないぞ』
(でも、精霊から聖女に選ばれたって言ってたよ? 精霊と会話が出来ないと、選ばれた事も分からないと思うんだけど)
『だから、その選ばれたっていうのが嘘なんだよ。精霊の事を何一つ分かっていないし、精霊石に力を付与する方法も知らないだろ』
幼い頃に精霊から加護を貰った私は、口に出さなくても思考だけでエミリーと会話が出来る。
他の人が精霊と会話をしている所を見た事ないから会話が聞こえるかどうかは分からないけれど、少なくともエミリーの姿は見えるはずだ。
だけど、そのエミリーがジト目でユフィ様を見つめていて……うーん。確かに見えて無さそうに思えてしまう。
「ユフィ様。ユフィ様に加護を授けてくださった精霊さんは、何というお名前なのですか?」
「名前? そんなのある訳ないでしょ。精霊は精霊よ。変な事を言っていないで、早く荷物を纏めなさい。今日からここは私の部屋になるんだから」
あ、エミリーの言う通りなのかも。
ユフィ様は精霊に選ばれたって言っていたけど、その目の前で宙に漂うエミリーが見えて居ない。
その証拠に、エミリーがユフィ様に向かって失礼な事ばかり言っているし、小馬鹿にしたような態度を取っている。
「ユフィ様。正直に仰って下さい。精霊の姿を見る事が出来ますか? 精霊石に精霊の力を込めても、一ヶ月程度で力が無くなってしまいます。ですので、各地の精霊石へ定期的に……」
「うるさいわねっ! 精霊なんている訳ないでしょっ! 聖女っていう立場で居続けたいからって、それ以上虚言を続けるのなら、罪人として牢へ入れるわよ!」
「ユフィ様。精霊は居ます。この国の魔物を封じてくれていたり、生活を便利にする魔導具を動かす源になっていたり、何より……」
「これが最後よ。今すぐ荷物を纏めて出て行かないのなら、衛兵を呼ぶわ」
ユフィ様が私の話に聞く耳を持たず、精霊の存在を信じていない。
このままだと、この国が大変な事になっちゃうんだけど、
『リディア。もう、良いんじゃない? この国ってさ、精霊の力を使っておきながら、その存在を信じてないでしょ? それに、そもそもウチは、この国の為じゃなくて、リディアの為に力を貸してるの。リディアがこの国の為に頑張る必要だってないよ』
(そ、そうかな? この国の人たちが困らないかな?)
『大丈夫だって。そもそも魔導具だって、精霊の力を使わなくても、人間が自らの魔力を使えば動くし、魔物だって騎士団がいるんだから、自分たちで何とかするさ』
エミリーは大丈夫だって言ってくる。
けど、そもそも私がここに残ろうとすると、投獄されちゃうし、出て行くしか選択肢が無いんだけどさ。
『それと、リディアは毎日国の為に精霊石を巡ってさ、働き過ぎだと思うんだよねー。一度ゆっくりしてみたら?』
(まぁ確かに、毎日お仕事してるけど……)
『ウチ、前から思ってたんだけど、リディアが趣味で作ってるアクセサリーって、売り物に出来るレベルだと思うんだよねー』
(え? あ、あんなの無理だよ。素人が見様見真似で作ってるだけだし)
『大丈夫、大丈夫。リディアならやっていけるよ。だから、これを機に好きな事をして生きていこうよ』
(い、いいのかな?)
『良いに決まってるよー。だって、今まで毎日大変な思いをして、洞窟とか滝とかって、場所を巡っていたでしょ? あのまま続けていたら、いつか身体を壊しちゃうよ。だから、アクセサリーを作ってのんびりスローライフを楽しもっ!』
エミリーにも後押しされ、
「わかりました。では、今日でここを出て行きます」
私は聖女ではなくなった。
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