ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,459 / 2,518

第2459話 封印するべきか?

しおりを挟む
 俺自体は王城に用があるわけじゃないんだが、俺への対応を考えると王城でしたいというのが、国王の意向らしい。

 王都に入る前に1件、王都に入ってから1件、とトラブルに愛されているのではないかと思う。結局どこでもトラブルに巻き込まれるなら、少しでも対処しやすい場所がいいと思うのはおかしい事ではあるが、事実なので仕方が無いと思う。

 そういう意味で王城の一角に招かれている。本当は馬車で移動させたかったんだろうが、馬たちがバッハを怖がって近付けなかったんだよね。

 それで歩くはめになって貴族に絡まれたって感じだな。

 すべてはバカ貴族が悪い。

 俺の案内されたのは、王城の一角で訓練場の近くにあるテラスのような場所だ。俺が堅苦しい、王座のある場所へは行きたくないから、ラフな場所へ案内させている。

 それに綺麗にしたとはいえ、粗相をした冒険者3人を出すので、王座の間は相応しくないだろう。一応、そのくらいの配慮は出来る。

 今日はダマも連れてきていないので、バッハがお守りとして俺を見張っている。

 王都の冒険者ギルドのマスターも遅れてこちらへやってきた。

 サキュバスクイーンに洗脳された冒険者を出すのは後にして、ダンジョンで何があったのかを細かく説明する。

 グリエルから国王とギルドマスターに詳細をかいた物を渡しており、俺が覚えている範囲で時系列に話していく。

「シュウ殿、すまないが、レベル200近い集団を皆殺しにした……とありますが、その方法はどういった物でしょうか?」

「俺がしたわけじゃない。従魔にリバイアサンがいて、そいつがまとめて殺してくれたんだよ。殺す前に少し特殊な薬を使ったけど、それ以外は全部リバイアサンがやってくれたな。俺でもできるけど、面倒だからさ」

 俺ではなく従魔で虐殺に特化した魔物がやって、ホッとできないだろうが少し安心した様子を見せたギルドマスターだが、俺でもできるという発言を聞いて、ギョッとしていたな。

 ちなみに俺の肩でくつろいでいるバッハも、本来の大きさに戻れば王都くらい簡単に焼き尽くすから、安心できないと思うけど……理解しているのかな?

 国王とギルドマスターからいくつか質問をされたので、答えている。

「じゃぁ、冒険者ギルドから派遣された冒険者たちを起こすけどいいか?」

「起こす前に1つだけ聞いてもよろしいか? 仮死状態であれば収納のアイテムに入れられるというのは、本当なのですか?」

「見れば分かるけど……簡単に言えば、仮死は死んでいると判定されるらしく、死体と同じで収納のアイテムの中にいれられるわけだ。だけど、収納のアイテムの効果を受けるので、時間が進むタイプだと目が覚めた場合強制的に収納のアイテムが壊れて、中身が全部出るから注意が必要だぞ」

「時間が経過する収納でも高額なのに、実験のために使い捨てたってことですか?」

 ギルドマスターは驚愕を隠せていないな。

 気付け薬を嗅がせると、すぐに冒険者たちが目を覚ました。

 まずは頭を殴って落ち着かせたところで、ギルドマスターが状況確認のために、冒険者たちが覚えている範囲で話を聞いている。

 魅了なのか洗脳なのか良く分かっていないが、自分の意思を封じられた後も、夢の中の様にフワッとした感じで覚えているらしい。

 俺と遭遇した時の事を思い出すと、急にお腹を押さえ苦しみだした。

 あ~クダスンデス改の強力な下剤の効果が、脳裏に焼き付いているのかもな……他の事はあやふやでも、クダスンデス改の効果は鮮明思えている……かなりエグイな。

 3人の冒険者が何に苦しんでいるか理解できなかった、国王やギルドマスター、近衛兵たちは混乱している。混乱していても王を守ろうとしているあたり、近衛兵は自分たちの役割を理解しているな。

 ここで苦しんでいる冒険者3人だけど、近衛兵と1対1で戦えば、9割方冒険者の勝ちだろうな。

 近衛兵もそれなりに強いと思うけど、近衛兵の戦い方のそれって、攻めるより守る方が上手いから、攻撃を避けたり逸らしたりするのが上手い冒険者と、とことん相性が悪いんだよな。

 王族の盾になることを考えれば、攻めて前に出るやつはいらんからな。

 それでも攻めないといけない場面はあるので、攻めの得意な奴もいるだろう。

 国王たちの混乱が少しおさまったところで、冒険者たちが何に苦しんでいるか説明する。

 そうすると、国王もギルドマスターも、国内で起きたあの事件の事を知っていたようで、その時に指名手配されていたSランクだかSSSランクの冒険者たちのその後を話では聞いていたようだな。

 部屋に充満したクダスンデス改を吸った冒険者とその取り巻きたちは、獄中で丸1日腹の中身を空にしても、汚物を垂れ流し続けたという禁断の魔法薬……

 あれの原液を飲まされたに等しいと聞いて、2人の顔は険しくなっていた。

 まぁ、そんな薬を使ってしまったので、冒険者3人は仮死状態にして回収したことを話した。その前に、前にあった時と様子が違うので、回収して話を聞いてみようという気もあったんだよな。

 冒険者たちに文句を言われたが、今回は拒否できるはずの指名依頼を受け、俺の街を物色してた行動もしてたし、お前らの文句など受け付けん! そもそも自己責任なんだから、自業自得だろう。

 俺は興味ないが、この3人も大分たまっていたようで、サキュバスクイーンが美味しくいただいたと言ってたからな。俺は妻たちがいればそれでいい。下手に興味を示すと、女を押し付けられそうで面倒だ。

 こういう時に妻限定でしか性欲が強くならないのは、本当に助かってる。チビ神の加護さまさまだな。

『それなら、もっと美味しい物送ってもいいのよ』

 こういう時ばっか聞いてるんだから、ある意味すげえよな。美味しいもんがほしいのな、後でブラウニーたちに送らせるから、ちょっと会話に入ってくるのはやめてくれよな。

 あのダンジョンはサキュバスクイーンを頂点に、残りたい人間は残っているし、これからは交易もするから、相手をしてやってくれ。近くの街は……全滅したけど知らん。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう
ファンタジー
テーブルに置かれた小さな瓶、それにソファーでくつろぐ飼い猫のクロ。それらを前にして俺は頭を抱えていた。 ある日どこからかクロが咥えて持ってきた瓶……その正体がポーションだったのだ。 瓶の処理はさておいて、俺は瓶の出所を探るため出掛けたクロの跡を追うが……ついた先は自宅の庭にある納屋だった。 やったね、自宅のお庭にダンジョン出来たよ!? どういうことなの。 始めはクロと一緒にダラダラとダンジョンに潜っていた俺だが、ある事を切っ掛けに本気でダンジョンの攻略を決意することに……。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...