ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,436 / 2,518

第2437話 夕食の風景

しおりを挟む
 肩車したシンラは、元気いっぱいなのか手をブンブン振っている。今日の夕食がカレーだからということもあるだろうが、一度寝て元気になっているので、手に負えない感じで元気だな。

 プラムとシオンは、母親たちに抱かれているな。体は大きくなってきているから、自分で歩かせても良かったのだが、寝起きでキャンプエリアを歩かせるのが心配だったようだな。シンラを肩車しているのも同じ理由だしな。

 到着すると、テーブルの上には保温できる魔道具に入れられたカレーが準備されており、希望の物を継いでくれますといった感じになっている。いつもは取りに行くか持って来てもらうのがうちなのだが、今日はテーブルの真ん中に置かれているのね。

 サイドメニューは別のテーブルに準備されており、自分で何が食べたいか指名する、ビュッフェ形式だな。

 準備が終わる前に、先にサイドメニューを選んで席に座ってほしいと、ブラウニーたちが言っているので、俺はタンドリーチキンとマンゴーラッシーをお願いする。あれだな、インドネパール料理店のランチメニュー風だな。ナンはもちろんチーズでよろしく!

 シンラも俺と同じものと言っているが、食べやすいようにタンドリーチキンではなく、チキンティッカにされていた。骨付きだとシンラには食べにくいからしゃーなし。

 今日は珍しく俺の対面ではなく、隣に座っている。プラムとシオンは、姉たちに挟まれてニッコニコだ。珍しい事もあるもんだな。寝る時はシンラ離れしていないが、食事は離れても問題なくなったのかね?

 全員に初めのカレーがいきわたると、いただきます、と挨拶をして食べ始める。

 カレーっていつぶりだっけ? 最近食べたような気もするけど、ずいぶん前のような気もする。いつ食べても美味いからカレーってすごいな。

 隣では、フォークをチキンティッカに突き刺して、アグアグ言いながら食べているシンラが……もう少し行儀よく食べなさい。口の周りが汚いぞ。ただでさえカレーだから汚れが分かりやすいって言うのに、困ったもんだ。

 もっと小さくすると、バカにするな! みたいな感じでさすがに怒るから、大人サイズの一口大なんだよな。どうにかならないものかね?

 そんなシンラの様子を見ながらタンドリーチキンにかぶりつく。どうしても唇や口角が汚れてしまうのはしょうがないか、シンラほど汚してはいないが俺も人の子とは言えんか。

 1本食べ終わったところで、口を拭き綺麗にする。隣のシンラの口も濡れ手拭きでキレイに拭ってやる。文句を言ってくるが、少し汚しすぎだぞ。

 シンラも俺と同じように、チーズナンをチキンカレーにつけて食べ始めるが、やはり子どものせいか口の周りを汚している。上の子たちも俺の真似をしてか、今日はナンとチキンカレーのようだが、あの子たちは綺麗に食べてるな。

 姉たちにつられて同じものを食べているので、シンラと同じように口の周りを汚しているな。シンラと同じように拭いてもらっているが、こちらは文句を言う気配はないな。

 カレーとチーズって相性いいよな。何でなんだろう。マジで美味い……

 シンラたちが半分程食べた頃、俺はチーズナン・ナンとチキンカレーを食べきる。

 次は……トンカツも食いたいな。カツカレーを頼む、付け合わせはらっきょうでよろしく。福神漬けでもいいんだけど、最近はらっきょうがトレンドなのだ。

 カレーと揚げ物もよく合うよな~、トンカツだけでなくコロッケも美味しいし……トンカツ以外のトッピング何にしよう。あ、唐揚げもよろしく。

 シンラは満足いくまで食べたのか、ラッシーを飲んで落ち着いている。なんか貫禄があるけど、お前まだ子どもだよな……お前さん、大物になれるぞ。何なら今からでもディストピアの領主をやるか?

 そんなことを考えていたら、頭に衝撃を受ける。

「自分が面倒だからって、シンちゃんに押し付けようとしないの。子どもたちが好きなことをできるように、選ばせてあげるんじゃなかったの? シンちゃんだけに押し付けるつもり?」

 そうだよな。シンラが自主的にとなれば今からでもいいけど、

「本人の意思でもさすがに今からはダメでしょ。せめてしっかりと勉強して、学んだあとじゃなければ引継ぎは許さないですよ」

 怒られてしまった。

 そりゃそうだ。まだ10歳にもなっていない子どもに、俺が元気なうちに押し付けるのは、さすがに駄目だよな。ネタみたいな感じで言ってるけど、オーケーが出されれば、普通に押し付ける気満々だったしな。

 俺がいなくても、グリエルとガリア、それにあいつらの息子たちがいるから、シンラに任せてもディストピアは回るけど、それじゃあダメだってグリエルとガリアが言っているからな……

 でも隣にいるシンラ、まだ子どもなのに、俺以上の太々しさと大物感が半端ないんだよな。特にスライムに座っている時の、スコ座りの時は誰にも負けないだろうな。

 満腹になり移動を開始したシンラは、俺の考えていることが分かるのか、スライムの上でおっさんのように……スコ座りを始めた。

 プラムとシオンも満足したのか、シンラの隣で同じように座りだした。こちらの2人は、さすがにシンラほどの貫禄は無いな。

 いつもならこのまま寝てしまうのだろうが、しっかりと寝ているので元気は有り余っているようだな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...