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第2432話 世知辛い
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冒険者の1人が、夜に急に動き出したこと以外、特に問題もなく朝を迎えた。途中で、俺と綾乃が入れ替わったが、それだけだな。
朝食もしっかりと食べてから街を出発し、俺たちの上を通って門を抜けていった。ダンジョンのある方へ進むかと思ったが、先に襲われた街を見てから、ダンジョンに向かうとのことだ。
街を襲った人間たちは大半を捕まえたが、街には何かしらの情報が残っているかもしれないということらしい。
今回対応したのが俺たちでなければ、その判断は正しいんだけど、今回は根こそぎ捕まえて情報を引き出して、重要なことは大体伝えたから、既知の情報以外残っていないと思うぞ。
1つあるとすれば、連れていかなかった人間たちの虐殺現場を見ることになるだけだろうな。あれだけは情報だけでは、どういったものか伝わらないからな。
「街に寄ってからってことは、俺たちがゆっくり休める時間が遅くなるってことだな。だからと言って、レイリーに行っても何もないですよ、と言わせても何の信憑性もないからな。本を読みながらのんびり監視しますかね」
「今日中にダンジョンの前には辿り着くでしょうから、誤差の範囲でしょ。どうせなら、あの虐殺現場を目の当たりにして、一気に突っ込んでいって勇者とダンジョンマスターを倒してくれればいいんだけどね」
綾乃にしては、少し過激な発言な気がするが、何かあったのかね。あの現場は確かに何とも言い難いけど、地球の歴史を振り返れば、もっとひどい事がゴロゴロ転がっているからな……綾乃も直接は見ていないけど、実際に起きたことを聞くのと、過去の事を知るのでは、話が違うのかもな。
冒険者たちは、相変わらずハイペースな移動だな。下手に馬なんかを使うより、よっぽど早く移動している気がするわ。
「そういえば、街の方のカメラって全部回収したっけ?」
「一応したと思うでござるが……あれ? してないでござるね。早めに回収した方がいいでござるか?」
「回収はしたいけど、別に急ぐ必要もないんだよな。どうせ俺たち以外に使えないし、盗まれたところで俺の懐以外が痛まないからな。どうせなら、そのカメラを使って、冒険者たちの様子でも見て見よう」
10分もすれば到着するかな? と思っている位置から、みんなで注目を始めた。
「もう少ししたら、カメラであいつらの移動が見れるかな? 望遠カメラも設置しといてよかったわ。多分だけど、5キロメートルくらい先までなら、かなりくっくり見えるよな。天文台とかに使われている望遠鏡ならもっと綺麗に見えるのかね?」
「あれって、そもそも大きすぎるから、地上見るのには適してないんじゃない? それに、空気が綺麗な所に作られるって言うから、街中なんかには作らないでしょ」
「遠くまで見えているでござるから、それでいいでござるよ。地球のカメラも、その内このくらいまで性能が上がるのでござろうな。ここまで望遠できて喜ぶのは、近付いて写真をとれない被写体を撮る人か、盗撮するクソ野郎でござるよ」
「写真家と犯罪者を同列にするな。写真家に失礼だろ」
後いえば、軍事関係なら……
「あれ? カメラで思い出したけど、軍事衛星って地上にいる人間が上を向いていれば、表情まで分かるんじゃなかったっけ?」
「まだカメラの話をつづけるでござるか? そんなこと話している内に、到着してしまうでござるよ」
適当なことを話していたら、いつの間にかカメラに映る位置まで来ていた。
「俺たちでもできる動きとはいえ、地球にいた時の常識で考えると、ありえない速さだよな……なんだこの速度! って言いたくなる奴だな」
「そうでござるな~。時速60キロメートルは超えているでござるから、道を走っている車より早い速度で、森の中を走っているでござるよ。オフロードバイクで走ったとしても、あそこまで速く森の中は針れないでござるな」
認識速度も上がっているのだろう。だからこそ気にぶつからずに、高速で移動を続けられるのだと思う。実際に俺たちもあの動きは出来るが、客観的に見るとあの動きも大概おかしく見えるな。
「この冒険者たちは、この街でどう動いて何を思うのでしょうね」
「この世界でも城壁が無かったり低かったりする村なんかは、時々住人がいなくなることはあるけど、城壁のある街から住人がいなくなることは、ほとんどないからな。何を考えるんだろうな」
「どうせなら、収音機も置いておけばよかったわね。そうすれば、何を話しているか聞こえたかもしれないのに」
そうこうしている内に、街の門へたどり着いた。開け放たれており、自由に出入りできる状態だ。近くに盗賊らしき集団はいたのだが、先日の俺たちが捕らえた敵が、集団で移動したからか、元々いた場所より街から離れた位置にいて、街の事は知らなかったようだな。
後10日もあれば異変に気付けただろうが……って、冒険者たちが離れて誰もいなくなれば、その内気付くか? そしたら、盗賊の根城になる可能性があるか? だったとしても、俺たちの責任じゃないし、多少盗賊が集まった程度なら、騎士団を派遣すれば大体は片付くはずだ。
「おっ? 城壁に登って、街の様子を見ているな。生きている人間は誰一人いないから、まさしくゴーストタウンだよな」
「今度は分かれて、街の中でも探すのでござろうか?」
城壁に登った冒険者たちが、指をさしてお互いが行くべき場所を確認した後、別々に行動を開始した。
3人で別々の冒険者をフォーカスし、見える範囲で何をするのかを見届けた。
「まさか、街に行った理由が、残りの物を漁るためだったとはね。強制依頼で大した金も出ないから、補充のつもりかね? 斥候の1人が街を歩き回ったのって、物色できるモノがないか探してたってことだったりしねえよな?」
「あり得るでござるな。見えるところでは、冒険者ギルドに相応しい冒険者として振舞っていたでござるが、見えない所ではあくどい事もしていた可能性はあるでござるな」
「国際法上では、破棄された街は誰のものでもないからって、荷物を荒らすとなれば、盗賊みたいなものだと思うけどな」
「そうはいうけど、考えてみたら、シュウは使いきれないほどのお金を持っているから、言えることなんじゃない? SSランク冒険者でも、金がない人はいるでしょ。無駄遣いかギャンブルか女か、分からないけどたまらない人だっているわよ。だから、こういった小銭稼ぎもしてるんじゃない?」
言われてみれば、お金に困ったことはないから、街に残っている物をわざわざ拾おうとは思わなかったな。
「ほとんど持ち出されてて、建物に八つ当たりするのはいただけないでござる。あれで、結構な数の家が倒壊したでござるよ」
SSランク冒険者と聞いていたが、こいつらのとる行動を見ると、なんか小悪党にしか見えなくなってきた。本当にこんな奴らで大丈夫なのだろうか?
先日建てたフラグを回収するまで、後3日……
朝食もしっかりと食べてから街を出発し、俺たちの上を通って門を抜けていった。ダンジョンのある方へ進むかと思ったが、先に襲われた街を見てから、ダンジョンに向かうとのことだ。
街を襲った人間たちは大半を捕まえたが、街には何かしらの情報が残っているかもしれないということらしい。
今回対応したのが俺たちでなければ、その判断は正しいんだけど、今回は根こそぎ捕まえて情報を引き出して、重要なことは大体伝えたから、既知の情報以外残っていないと思うぞ。
1つあるとすれば、連れていかなかった人間たちの虐殺現場を見ることになるだけだろうな。あれだけは情報だけでは、どういったものか伝わらないからな。
「街に寄ってからってことは、俺たちがゆっくり休める時間が遅くなるってことだな。だからと言って、レイリーに行っても何もないですよ、と言わせても何の信憑性もないからな。本を読みながらのんびり監視しますかね」
「今日中にダンジョンの前には辿り着くでしょうから、誤差の範囲でしょ。どうせなら、あの虐殺現場を目の当たりにして、一気に突っ込んでいって勇者とダンジョンマスターを倒してくれればいいんだけどね」
綾乃にしては、少し過激な発言な気がするが、何かあったのかね。あの現場は確かに何とも言い難いけど、地球の歴史を振り返れば、もっとひどい事がゴロゴロ転がっているからな……綾乃も直接は見ていないけど、実際に起きたことを聞くのと、過去の事を知るのでは、話が違うのかもな。
冒険者たちは、相変わらずハイペースな移動だな。下手に馬なんかを使うより、よっぽど早く移動している気がするわ。
「そういえば、街の方のカメラって全部回収したっけ?」
「一応したと思うでござるが……あれ? してないでござるね。早めに回収した方がいいでござるか?」
「回収はしたいけど、別に急ぐ必要もないんだよな。どうせ俺たち以外に使えないし、盗まれたところで俺の懐以外が痛まないからな。どうせなら、そのカメラを使って、冒険者たちの様子でも見て見よう」
10分もすれば到着するかな? と思っている位置から、みんなで注目を始めた。
「もう少ししたら、カメラであいつらの移動が見れるかな? 望遠カメラも設置しといてよかったわ。多分だけど、5キロメートルくらい先までなら、かなりくっくり見えるよな。天文台とかに使われている望遠鏡ならもっと綺麗に見えるのかね?」
「あれって、そもそも大きすぎるから、地上見るのには適してないんじゃない? それに、空気が綺麗な所に作られるって言うから、街中なんかには作らないでしょ」
「遠くまで見えているでござるから、それでいいでござるよ。地球のカメラも、その内このくらいまで性能が上がるのでござろうな。ここまで望遠できて喜ぶのは、近付いて写真をとれない被写体を撮る人か、盗撮するクソ野郎でござるよ」
「写真家と犯罪者を同列にするな。写真家に失礼だろ」
後いえば、軍事関係なら……
「あれ? カメラで思い出したけど、軍事衛星って地上にいる人間が上を向いていれば、表情まで分かるんじゃなかったっけ?」
「まだカメラの話をつづけるでござるか? そんなこと話している内に、到着してしまうでござるよ」
適当なことを話していたら、いつの間にかカメラに映る位置まで来ていた。
「俺たちでもできる動きとはいえ、地球にいた時の常識で考えると、ありえない速さだよな……なんだこの速度! って言いたくなる奴だな」
「そうでござるな~。時速60キロメートルは超えているでござるから、道を走っている車より早い速度で、森の中を走っているでござるよ。オフロードバイクで走ったとしても、あそこまで速く森の中は針れないでござるな」
認識速度も上がっているのだろう。だからこそ気にぶつからずに、高速で移動を続けられるのだと思う。実際に俺たちもあの動きは出来るが、客観的に見るとあの動きも大概おかしく見えるな。
「この冒険者たちは、この街でどう動いて何を思うのでしょうね」
「この世界でも城壁が無かったり低かったりする村なんかは、時々住人がいなくなることはあるけど、城壁のある街から住人がいなくなることは、ほとんどないからな。何を考えるんだろうな」
「どうせなら、収音機も置いておけばよかったわね。そうすれば、何を話しているか聞こえたかもしれないのに」
そうこうしている内に、街の門へたどり着いた。開け放たれており、自由に出入りできる状態だ。近くに盗賊らしき集団はいたのだが、先日の俺たちが捕らえた敵が、集団で移動したからか、元々いた場所より街から離れた位置にいて、街の事は知らなかったようだな。
後10日もあれば異変に気付けただろうが……って、冒険者たちが離れて誰もいなくなれば、その内気付くか? そしたら、盗賊の根城になる可能性があるか? だったとしても、俺たちの責任じゃないし、多少盗賊が集まった程度なら、騎士団を派遣すれば大体は片付くはずだ。
「おっ? 城壁に登って、街の様子を見ているな。生きている人間は誰一人いないから、まさしくゴーストタウンだよな」
「今度は分かれて、街の中でも探すのでござろうか?」
城壁に登った冒険者たちが、指をさしてお互いが行くべき場所を確認した後、別々に行動を開始した。
3人で別々の冒険者をフォーカスし、見える範囲で何をするのかを見届けた。
「まさか、街に行った理由が、残りの物を漁るためだったとはね。強制依頼で大した金も出ないから、補充のつもりかね? 斥候の1人が街を歩き回ったのって、物色できるモノがないか探してたってことだったりしねえよな?」
「あり得るでござるな。見えるところでは、冒険者ギルドに相応しい冒険者として振舞っていたでござるが、見えない所ではあくどい事もしていた可能性はあるでござるな」
「国際法上では、破棄された街は誰のものでもないからって、荷物を荒らすとなれば、盗賊みたいなものだと思うけどな」
「そうはいうけど、考えてみたら、シュウは使いきれないほどのお金を持っているから、言えることなんじゃない? SSランク冒険者でも、金がない人はいるでしょ。無駄遣いかギャンブルか女か、分からないけどたまらない人だっているわよ。だから、こういった小銭稼ぎもしてるんじゃない?」
言われてみれば、お金に困ったことはないから、街に残っている物をわざわざ拾おうとは思わなかったな。
「ほとんど持ち出されてて、建物に八つ当たりするのはいただけないでござる。あれで、結構な数の家が倒壊したでござるよ」
SSランク冒険者と聞いていたが、こいつらのとる行動を見ると、なんか小悪党にしか見えなくなってきた。本当にこんな奴らで大丈夫なのだろうか?
先日建てたフラグを回収するまで、後3日……
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