2,429 / 2,518
第2430話 到着
しおりを挟む
近くに誰かが来た気配出したので目を開けると、俺の顔を覗き込むように見ているリンドがいた。
単独で行動しているが、その大半が工房での作業のリンドが、珍しく1人でキャンプエリアに来ていた。
「リンド、どうしたんだ? みんなは交代で監視をしてくれているんじゃなかったのか?」
「監視はしているわよ。でも、荷物の検査は終わったから、ダンジョンから人が出てこないかの確認だけだから、今は2~3人で他愛のない話をしながら監視しているから、シュウみたいには疲れてないわよ。綾乃に聞いたけど、疲れているみたいなんだってね。本当に大丈夫?」
「自分のことって思ったよりわからないものだから、SSランク冒険者がダンジョンに向かったら本格的に休むつもりだったけど、多分疲れてたんだろうな……深くはないけど簡単に眠りについてたよ」
「シュウが無理すると、周りのみんなも無理するから、ほどほどにしてよね。シュウじゃなきゃできないことだってわかっているから、みんな何も言わないけど、本当に心配しているんだからね」
重々承知しています。妻の皆が心配してくれているのは、よくわかっているよ。
「これが片付いたら、またみんなでのんびりしにこよう。子どもたちに合えているけど、あんまりかまってあげられていないから、また一緒にキャンプでもしに来たいな。帰ったら、ブルムたちに伝えておいてほしい。一通り終わったら遊びに行こうってさ」
「あの子たちは喜ぶでしょうね。1日中遊ぶとなれば、前倒ししたり後ろに持ってったりして、しっかりと勉強が疎かにならないようにしないとね。あ~でも、プラムちゃんとシオンちゃんは、ブスッとした表情になりそうね」
リンドから子どもたちに話を伝えたら、起こり得そうな状況を考えると、子どもたちが取る表情が想像できて自然と笑みがこぼれた。
「とりあえず、危険と思うほどの無理はしていないみたいね。綾乃から聞いていた話でも、まだ大丈夫って話だったから安心してたけど、確認できてよかったわ。もし無理をするようなら、全員で止めに来るから本当に無理はしないでね」
俺が無理をするのは、もうみんながわかっていることだから、限界に達しないように確認に来てくれたのだな。複数人で来ることもできただろうが、代表してリンドが確認しに来てくれたんだろう。妻たちの優しさに感謝しよう。
む? 思っていた以上に時間が経っていたみたいだ。もうひと眠り……という気分でもないので、部屋に戻るかな。
「おや? 早いでござるね。しっかり休めたでござるか?」
「まぁな。自分で考えているより疲れてたんだな。自分でもびっくりするくらい、すっと寝てたわ。おかげさまで、万全とまではいかないかもしれないけど、十分に気力は戻ってきたと思う」
綾乃もこちらをちらっと見て、
「さっきよりは大丈夫そうね。バザールと一応考えて、レイリーが冒険者と会う場所にカメラをいくつかと、人造ゴーレムの外装を鎧風にして、飾り物のようにカモフラージュしたやつを置いてきたわ。もし何かあっても、レイリーが首でも刎ねられない限り問題はないと思うわよ」
レイリーの安全対策もしてくれていたようだな。万能薬以外にも普通のポーションも1人に3個分渡しておいたみたいだ。
SSランク冒険者がトリオなのかわからないが、3人の中にヒーラーがいないので、回復薬に頼っているという判断をしたようで、俺の奥さんからポーションをもらってきたみたいだな。例の如く、スキル上げの時に作って肥やしになっていたものだ。
その時に俺の様子を話したのだろう。それで、心配した妻たちの中からリンドが代表してきたって感じだな。
「その情報も収納の腕輪の中を覗いて判断したんだけどね。等級が低いのも含めて、結構の数を収納の腕輪に突っ込んでいたわよ」
「少し気になるのは、追加でポーションを要求された場合は、どうするかでござるな」
「これで追加要求されたら、敵判定かね? もしそうだったら、タダの強盗と変わらんな。もし要求されても、取り合う必要はないだろう。SSランク冒険者は、お利口さんじゃないと慣れないわけだし、無茶な要求はしてこないだろう」
冒険者ギルドから見れば、SSランク冒険者というのは、ギルドの意向に沿って正しく力を使ってくれる冒険者だからな。だから俺みたいに扱いにくく力のある奴は、SSSランクと評価して少し優越感を与えさせている、とかいう話だったもんな。
本当に失礼な話だ。
俺の場合は、すべては王国の所為だからな。冤罪で国家反逆罪にされるし、敵性戦力を削ってたらSSSランクにされてたしな。ギルドから見れば、扱いにくい危険な奴って言い分も分からなくもないが、不可抗力だったということも忘れてほしくないね。
もし、要求ではなく買い取りたいという話であれば、追加で1人5本ずつ計15本までならいいんじゃないかという話になった。よこせではなく買うというなら、話は別だからな。
いろいろ話しているうちに冒険者たちが門に到着し、何事もなく通過してすぐに街へ到着した。
自由に歩かれると面倒と考えたレイリーが、門まで迎えに行ってそのまま兵舎へ誘導するといっていた。
カメラがないのでどんな様子なのかは見れないが、光点を見る感じでは特に問題はなさそうだな。
「あっ、止まった……あの辺りって屋台エリアじゃなかったかしら? 匂いにつられて移動してるっぽいわね。お腹が空いている可能性が高いわね。まともな食事を3日はしていないことを考えると、食べたくなるんじゃないかしら?」
屋台の食事の匂いって、やばいもんな。よくわからないけど、美味しそうに感じるんよな。
10分ほど屋台エリアをさまよった所で、兵舎に向かうようだ。
話をする部屋に入ってくると……食い物をたくさん持ち込んできたな。かなりの量だけど、問題なく食べきるんだろうな。
話は、食事の後ということで、レイリーも食事をすることにしたようで、食堂から食事を持ってきたみたいだな。
単独で行動しているが、その大半が工房での作業のリンドが、珍しく1人でキャンプエリアに来ていた。
「リンド、どうしたんだ? みんなは交代で監視をしてくれているんじゃなかったのか?」
「監視はしているわよ。でも、荷物の検査は終わったから、ダンジョンから人が出てこないかの確認だけだから、今は2~3人で他愛のない話をしながら監視しているから、シュウみたいには疲れてないわよ。綾乃に聞いたけど、疲れているみたいなんだってね。本当に大丈夫?」
「自分のことって思ったよりわからないものだから、SSランク冒険者がダンジョンに向かったら本格的に休むつもりだったけど、多分疲れてたんだろうな……深くはないけど簡単に眠りについてたよ」
「シュウが無理すると、周りのみんなも無理するから、ほどほどにしてよね。シュウじゃなきゃできないことだってわかっているから、みんな何も言わないけど、本当に心配しているんだからね」
重々承知しています。妻の皆が心配してくれているのは、よくわかっているよ。
「これが片付いたら、またみんなでのんびりしにこよう。子どもたちに合えているけど、あんまりかまってあげられていないから、また一緒にキャンプでもしに来たいな。帰ったら、ブルムたちに伝えておいてほしい。一通り終わったら遊びに行こうってさ」
「あの子たちは喜ぶでしょうね。1日中遊ぶとなれば、前倒ししたり後ろに持ってったりして、しっかりと勉強が疎かにならないようにしないとね。あ~でも、プラムちゃんとシオンちゃんは、ブスッとした表情になりそうね」
リンドから子どもたちに話を伝えたら、起こり得そうな状況を考えると、子どもたちが取る表情が想像できて自然と笑みがこぼれた。
「とりあえず、危険と思うほどの無理はしていないみたいね。綾乃から聞いていた話でも、まだ大丈夫って話だったから安心してたけど、確認できてよかったわ。もし無理をするようなら、全員で止めに来るから本当に無理はしないでね」
俺が無理をするのは、もうみんながわかっていることだから、限界に達しないように確認に来てくれたのだな。複数人で来ることもできただろうが、代表してリンドが確認しに来てくれたんだろう。妻たちの優しさに感謝しよう。
む? 思っていた以上に時間が経っていたみたいだ。もうひと眠り……という気分でもないので、部屋に戻るかな。
「おや? 早いでござるね。しっかり休めたでござるか?」
「まぁな。自分で考えているより疲れてたんだな。自分でもびっくりするくらい、すっと寝てたわ。おかげさまで、万全とまではいかないかもしれないけど、十分に気力は戻ってきたと思う」
綾乃もこちらをちらっと見て、
「さっきよりは大丈夫そうね。バザールと一応考えて、レイリーが冒険者と会う場所にカメラをいくつかと、人造ゴーレムの外装を鎧風にして、飾り物のようにカモフラージュしたやつを置いてきたわ。もし何かあっても、レイリーが首でも刎ねられない限り問題はないと思うわよ」
レイリーの安全対策もしてくれていたようだな。万能薬以外にも普通のポーションも1人に3個分渡しておいたみたいだ。
SSランク冒険者がトリオなのかわからないが、3人の中にヒーラーがいないので、回復薬に頼っているという判断をしたようで、俺の奥さんからポーションをもらってきたみたいだな。例の如く、スキル上げの時に作って肥やしになっていたものだ。
その時に俺の様子を話したのだろう。それで、心配した妻たちの中からリンドが代表してきたって感じだな。
「その情報も収納の腕輪の中を覗いて判断したんだけどね。等級が低いのも含めて、結構の数を収納の腕輪に突っ込んでいたわよ」
「少し気になるのは、追加でポーションを要求された場合は、どうするかでござるな」
「これで追加要求されたら、敵判定かね? もしそうだったら、タダの強盗と変わらんな。もし要求されても、取り合う必要はないだろう。SSランク冒険者は、お利口さんじゃないと慣れないわけだし、無茶な要求はしてこないだろう」
冒険者ギルドから見れば、SSランク冒険者というのは、ギルドの意向に沿って正しく力を使ってくれる冒険者だからな。だから俺みたいに扱いにくく力のある奴は、SSSランクと評価して少し優越感を与えさせている、とかいう話だったもんな。
本当に失礼な話だ。
俺の場合は、すべては王国の所為だからな。冤罪で国家反逆罪にされるし、敵性戦力を削ってたらSSSランクにされてたしな。ギルドから見れば、扱いにくい危険な奴って言い分も分からなくもないが、不可抗力だったということも忘れてほしくないね。
もし、要求ではなく買い取りたいという話であれば、追加で1人5本ずつ計15本までならいいんじゃないかという話になった。よこせではなく買うというなら、話は別だからな。
いろいろ話しているうちに冒険者たちが門に到着し、何事もなく通過してすぐに街へ到着した。
自由に歩かれると面倒と考えたレイリーが、門まで迎えに行ってそのまま兵舎へ誘導するといっていた。
カメラがないのでどんな様子なのかは見れないが、光点を見る感じでは特に問題はなさそうだな。
「あっ、止まった……あの辺りって屋台エリアじゃなかったかしら? 匂いにつられて移動してるっぽいわね。お腹が空いている可能性が高いわね。まともな食事を3日はしていないことを考えると、食べたくなるんじゃないかしら?」
屋台の食事の匂いって、やばいもんな。よくわからないけど、美味しそうに感じるんよな。
10分ほど屋台エリアをさまよった所で、兵舎に向かうようだ。
話をする部屋に入ってくると……食い物をたくさん持ち込んできたな。かなりの量だけど、問題なく食べきるんだろうな。
話は、食事の後ということで、レイリーも食事をすることにしたようで、食堂から食事を持ってきたみたいだな。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる