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第2410話 動きが早い
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俺が前線から一歩後ろに到着した。
すでにそこでは俺たちが待機する場所が完成していた。バザールが前々から準備していた、ダンジョンを利用した俺たちの待機場所ができただけなんだけどな。
昔俺たちが地下を移動する時に使った休憩場所を、監視や指揮のできる機能を備えた施設に作り替えたものだ。俺が前線に立つことが禁止されているから、完全に引きこもれるようにダンジョンを利用した形である。
ダンジョンという特性上入り口を作っているが、近くにある入り口はトラップである。入れば入り口が閉じて出れなくなるうえに、中にはS級スケルトンと人造ゴーレムの待機場所になっているため、入ったらまず生きては出られない魔境と化している。
本当の入り口は、近くの街に作っているので、いざという時は逃げられるようにしている。追いかけるのが困難になるように、途中にはダゴンも配置している。さすがにトラップの入り口の先には、ダゴンは配置していない。
あそこに配置したら、息ができなくなるうえに、スケルトンと人造ゴーレムは息をしなくても問題ないから、守りに徹していれば相手が勝手に死ぬということになる。簡単に殺してもいいのだが、どうせ殺すならデータを取りたいからダゴンはいない。
まぁ、制限を取っ払って俺たちに攻撃をできるようにしてあったとしたら、俺でも確実に死ぬほど凶悪なトラップだ。Sランク相当が100体近くいるから、小細工をしなくても間違いなく体力が尽きて負ける。質がありえないほど高いうえに、数の暴力でどうにもならん。
ということで、ここの守りと逃げ道は完璧だ。
ここまで出てきたのは、人造ゴーレムの調整をするのが目的だ。ドッペルも4体ほど連れてきているが、敵の強さによっては、大量の経験値を無意味に渡すことになるから、ここで見極める必要もある。
それにしても、敵の動きが早いな……レイリーは、元々ある領地の壁を利用しているから、防衛準備はできているが、万全な状態ではないのが少し気がかりだ。
「シュウ、この速度と方角だと、ここに来る前にこっちの街を攻め落とす気がするんだけど、あっちの街はどうするの?」
「方角的にはこっちだけど、道なりに進めば王国の街に先に行きそうだな。王国には警告しているけど、準備は整ってないだろうな。俺たちでもギリギリって感じだしな。準備が出来ていないからと言って、守ってやる理由もないから……あいつらが街でどんな対応をするか、見させてもらうか」
こっちに余裕があっても、助ける義理はないから放置することにしたが、あいつらがどんな対応をするのか知っておきたいので、こちらの目を送り込むことにした。目と言っても、城壁の上で見つけにくいところにカメラを設置するだけなんだが。
「明るい時間に行くとみられる可能性があるから、夜に設置しに行くか。バザール任せた」
行くと言いながら、全部をバザールに丸投げする。
「了解でござる。カメラは、簡単に回収できるように設置するでござる。移動はゲートを設置よろしくでござるよ」
さすが寝ないでも動けるアンデッドは違うな。むしろ、人が眠る夜の時間のほうが元気な可能性すらある。
口を動かしながらも、3人で人造ゴーレムの調整を行い、夕食前までにすべての整備と調整が終わった。
「皆殺しはないと思ってたけど、住人全員を連れ帰るつもりだとは思わなかった。暗部が入れてない先にもダンジョンの中で暮らせる街のようなものがあるってことか?」
「可能性は高いでござるな。連れて行ってダンジョンで殺してDPにするより生活させるほうが、DPの回収率がいいでござるからな」
暗部の話だと、出れないように対策はしているが、ダンジョンの中の環境がいいせいか、帰りたがる人間は見られなかったっていう話だしな。帰ろうとしているやつらは、全員殺された可能性もあるけど、相当数の人間がダンジョンの中にはいるようなので、街としても問題ないってことか。
でもさ、人間牧場みたいなことをすると、Sランク冒険者とかに討伐されるとかいう話だったけど、このダンジョンはなんで駆除対象になってないんだろうな……勇者も度が過ぎれば殺されるはずなのに、成り立っているのが不思議だ。
このダンジョンの存在を冒険者ギルドが知らないだけ?
このダンジョンの周囲では、人がいなくなることが多かったが、ダンジョンのせいではなく山賊などのせいだと思われているとかか?
なんにしても、敵として前に立ちはだかるからには、倒すしかないよな。
「この様子だと、一回ダンジョンに戻りそうね。半数が残ってとかはなさそうだけど……」
カメラの設置は間に合わず、マップ先生の情報だけを見て判断している。
「この暗さなら、城壁の上に移動しても問題ないんじゃないか?」
もう夕食の時間に近いため、あたりは暗くなってきている。城壁は高く、上までは光が届かないので、城壁の上なら見つかることもないんじゃないか?
ゲートを設置して移動した。この明るさなら、下からはさすがに見えないだろう。
俺たちの目からも遠くはあまり見えないので、高性能の望遠カメラを使い街の様子をみる。
「建物の影が多すぎて見難いけど、思っている以上に街が混乱していない気がするな。もっと阿鼻叫喚なイメージだったんだけどな。死体も驚くほど少なく感じるし……これが普通なのか?」
「さすがにそれはないでござるよ。街の外で戦闘があったようでござるが、圧倒的に負けて逆らわないほうがいいと感じた可能性のほうが高いと思うでござる」
「街の外の戦闘を住人が知ってるってこと? それはそれで、ない気がするけど気のせいかしら」
どういう状況にせよ、生きている人たちはおとなしく移動をする感じだ。
マップ先生で調べると、収納系のアイテムを持っている部隊が、街から色々な資材を回収している。街の者を根こそぎ奪っていく感じだろうか?
「人と物資をまとめて集めている? いや、人のついでに物資回収ってところか?」
どんなものを回収しているかまではわからないが、金目のものは全部持っていかれていそうだな。
そういえば、この街の領主たちはどこにいるのやら?
すでにそこでは俺たちが待機する場所が完成していた。バザールが前々から準備していた、ダンジョンを利用した俺たちの待機場所ができただけなんだけどな。
昔俺たちが地下を移動する時に使った休憩場所を、監視や指揮のできる機能を備えた施設に作り替えたものだ。俺が前線に立つことが禁止されているから、完全に引きこもれるようにダンジョンを利用した形である。
ダンジョンという特性上入り口を作っているが、近くにある入り口はトラップである。入れば入り口が閉じて出れなくなるうえに、中にはS級スケルトンと人造ゴーレムの待機場所になっているため、入ったらまず生きては出られない魔境と化している。
本当の入り口は、近くの街に作っているので、いざという時は逃げられるようにしている。追いかけるのが困難になるように、途中にはダゴンも配置している。さすがにトラップの入り口の先には、ダゴンは配置していない。
あそこに配置したら、息ができなくなるうえに、スケルトンと人造ゴーレムは息をしなくても問題ないから、守りに徹していれば相手が勝手に死ぬということになる。簡単に殺してもいいのだが、どうせ殺すならデータを取りたいからダゴンはいない。
まぁ、制限を取っ払って俺たちに攻撃をできるようにしてあったとしたら、俺でも確実に死ぬほど凶悪なトラップだ。Sランク相当が100体近くいるから、小細工をしなくても間違いなく体力が尽きて負ける。質がありえないほど高いうえに、数の暴力でどうにもならん。
ということで、ここの守りと逃げ道は完璧だ。
ここまで出てきたのは、人造ゴーレムの調整をするのが目的だ。ドッペルも4体ほど連れてきているが、敵の強さによっては、大量の経験値を無意味に渡すことになるから、ここで見極める必要もある。
それにしても、敵の動きが早いな……レイリーは、元々ある領地の壁を利用しているから、防衛準備はできているが、万全な状態ではないのが少し気がかりだ。
「シュウ、この速度と方角だと、ここに来る前にこっちの街を攻め落とす気がするんだけど、あっちの街はどうするの?」
「方角的にはこっちだけど、道なりに進めば王国の街に先に行きそうだな。王国には警告しているけど、準備は整ってないだろうな。俺たちでもギリギリって感じだしな。準備が出来ていないからと言って、守ってやる理由もないから……あいつらが街でどんな対応をするか、見させてもらうか」
こっちに余裕があっても、助ける義理はないから放置することにしたが、あいつらがどんな対応をするのか知っておきたいので、こちらの目を送り込むことにした。目と言っても、城壁の上で見つけにくいところにカメラを設置するだけなんだが。
「明るい時間に行くとみられる可能性があるから、夜に設置しに行くか。バザール任せた」
行くと言いながら、全部をバザールに丸投げする。
「了解でござる。カメラは、簡単に回収できるように設置するでござる。移動はゲートを設置よろしくでござるよ」
さすが寝ないでも動けるアンデッドは違うな。むしろ、人が眠る夜の時間のほうが元気な可能性すらある。
口を動かしながらも、3人で人造ゴーレムの調整を行い、夕食前までにすべての整備と調整が終わった。
「皆殺しはないと思ってたけど、住人全員を連れ帰るつもりだとは思わなかった。暗部が入れてない先にもダンジョンの中で暮らせる街のようなものがあるってことか?」
「可能性は高いでござるな。連れて行ってダンジョンで殺してDPにするより生活させるほうが、DPの回収率がいいでござるからな」
暗部の話だと、出れないように対策はしているが、ダンジョンの中の環境がいいせいか、帰りたがる人間は見られなかったっていう話だしな。帰ろうとしているやつらは、全員殺された可能性もあるけど、相当数の人間がダンジョンの中にはいるようなので、街としても問題ないってことか。
でもさ、人間牧場みたいなことをすると、Sランク冒険者とかに討伐されるとかいう話だったけど、このダンジョンはなんで駆除対象になってないんだろうな……勇者も度が過ぎれば殺されるはずなのに、成り立っているのが不思議だ。
このダンジョンの存在を冒険者ギルドが知らないだけ?
このダンジョンの周囲では、人がいなくなることが多かったが、ダンジョンのせいではなく山賊などのせいだと思われているとかか?
なんにしても、敵として前に立ちはだかるからには、倒すしかないよな。
「この様子だと、一回ダンジョンに戻りそうね。半数が残ってとかはなさそうだけど……」
カメラの設置は間に合わず、マップ先生の情報だけを見て判断している。
「この暗さなら、城壁の上に移動しても問題ないんじゃないか?」
もう夕食の時間に近いため、あたりは暗くなってきている。城壁は高く、上までは光が届かないので、城壁の上なら見つかることもないんじゃないか?
ゲートを設置して移動した。この明るさなら、下からはさすがに見えないだろう。
俺たちの目からも遠くはあまり見えないので、高性能の望遠カメラを使い街の様子をみる。
「建物の影が多すぎて見難いけど、思っている以上に街が混乱していない気がするな。もっと阿鼻叫喚なイメージだったんだけどな。死体も驚くほど少なく感じるし……これが普通なのか?」
「さすがにそれはないでござるよ。街の外で戦闘があったようでござるが、圧倒的に負けて逆らわないほうがいいと感じた可能性のほうが高いと思うでござる」
「街の外の戦闘を住人が知ってるってこと? それはそれで、ない気がするけど気のせいかしら」
どういう状況にせよ、生きている人たちはおとなしく移動をする感じだ。
マップ先生で調べると、収納系のアイテムを持っている部隊が、街から色々な資材を回収している。街の者を根こそぎ奪っていく感じだろうか?
「人と物資をまとめて集めている? いや、人のついでに物資回収ってところか?」
どんなものを回収しているかまではわからないが、金目のものは全部持っていかれていそうだな。
そういえば、この街の領主たちはどこにいるのやら?
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