ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,405 / 2,518

第2406話 訓練2日目

しおりを挟む
 訓練2日目

 今日は朝食後に俺が来た瞬間から、昨日と同じ指に魔力の穴をあけて、魔力放出の訓練が始まる。

 昨日の様子から、成功する人が出てもおかしくないのだが、違う訓練を行うのはよくないといわれ、午前中は全員で同じことをするほうがいいとのこと。

 習得の度合いが違えば、訓練の内容に違いがあってもおかしくないと思うのだけど、今回の訓練に関しては、魔力を消費しきった後の問題があるため、不意打ちで区切るのではなく、告知してからから区切るほうが効果的だとも判断して、今日の午前中までは火力の放出訓練をすることになった。

 終わった後の空腹感もけだるさも、他のこともろもろがかなりしんどいので、すこし危機感をあおるような形にすれば、結果も出やすいと判断しているようだ。

 思い出すだけでもあの飢餓感はきつかったからな……隊長たちはあれに比べれば、大分おとなしいだろうけどきついものはきついので、出来れば経験したくない辛さなので、必死になるって結果か。

 訓練で肉体的な疲労は何度も経験しているけど、魔力欠乏の体験は昨日が初めてだろうからな、なおさら辛いだろうな。できれば何度も経験してもらいたいところだが、魔力が多くなってから体験すると、少ない時よりかなり辛いんだよな……だから、無理は言えないところだ。

 訓練が始まると、魔力が体から抜ける喪失感と戦いながら、魔力放出の訓練を始めている。

 俺は昨日の経験で、魔力の穴をあけるのに慣れていたので、昨日よりだいぶ早くなっているので、負担は少なくなっている。

 レイリーと副官たちなら出来るだけの能力はあるのだが、まだまだ訓練不足で細い針状にして打ち出すことが出来ていないので、今日も俺が全部やっている。

 先のことを考えると、この3人もできるようになっていてほしいから、早めに覚えてもらいたいところなんだよな。

 集められる魔力量が上がれば、自分よりレベルが上の相手にも致命傷を与えれるようになるので、技術として覚えておくのは有用だからな。

 この戦争が終わったら、下のほうの兵士たちにも教えてほしいから、本当に頑張ってくれ。正直なところ他にも攻撃方法があるから、この攻撃方法は後回しにしていたけど、今回の件でかなり重要視されそうなので、しっかりと共有をしていかないとな。

 逃げる相手にも追いつければ有効な時間稼ぎ方法になるが、特に自分たちより上の相手を例の魔道具で閉じ込め複数で戦える状況なら、必須になってくるスキルなんだよな。

 閉じ込めた敵の相性によって、突入させる仲間を変えれば、負ける可能性がかなり減ると思う。

 後は、完ぺきに密閉されている状況だから、小型酸素ボンベを使って周りの空気を有毒なものに変えてしまえば、おそらく勝てる……

 ん? あ~その方法があったな。

「レイリー、小隊長たちからも兵士を集めていいか? できれば、風魔法が得意なメンバーを集めてほしい。相手が人間なら、格下でも勝つ方法があるのを忘れてたわ」

 レイリーは首をかしげて、聞き直してきた。

「人間なら、空気に含まれている成分を調節できれば、殺すことも可能だからな。風魔法で空気の繭を作れるなら、外の空気を改変できる薬物でも投げれば、制圧もできると思うぞ。試す価値はあるんじゃないか?」

 レイリーには話したことがあるはずだけど、忘れていたのかもしれない。

「ちょっとグリエルに連絡を入れるわ……グリエル、今って死刑待ちの囚人っているか?」

 確認して折り返して連絡を入れる、と返事が返ってきたので、訓練を見守りながら連絡が来るのを待つ。

 5分もしないうちに連絡が返ってきて、死刑囚がいることを教えてくれた。数としては、10人以上いるようだ……実験に使えるから助かるけど、治安が良くなっているはずなのに、なんでそんなにいるのか疑問に思う。

 その理由は、つい先日にアホ貴族がゴーストタウンの乗っ取りをしようとして、実行前につかまり余罪の関係で死刑判決を護衛も含めてされたせいで、死刑囚が多かったんだとさ。それ以外にも、実験に使うことがあるので、周辺諸国に死刑囚を金で買うように交渉してたりすると教えてもらった。

 公開処刑は、民衆のストレス発散になるようだが、それ以上にディストピアに金で買われて、その金で食事などを提供したほうがよっぽどプラスになるらしく、周辺諸国では重犯罪者数名の公開処刑と祭りのようなことを一緒に行って、不満を解消しているのだそうだ。

 公開処刑で祭りか……俺がホモークでやったことと同じか。見せ方によっては、祭りの一部にできるけど、現代の先進国では考えられないな。

 一時から奴隷購入費が上がったのは、こういう理由があったんだな。

 俺は報告を読んでいたのだが、すっかりと忘れてしまっていたようだ。

 黒字で街運営ができているので、気にしてなかったわ。

 3人ほど実験に使いたいから、暗部に輸送をお願いした。

 俺は俺で、準備を始めておくか。実験するだけだから、強化ガラスとかで周りから見れるようにして、その中の空気を変える薬物……は微妙か。二酸化炭素を大量に詰めた魔道具でもいいかもしれないな。

 クリエイトゴーレムを使えば、原理はよくわからないけど、大量に詰め込めるんだよな。

 例えば、1気圧で正常な数値であっても、そこに3気圧分の二酸化炭素をぶち込めば、パーセンテージでいえば二酸化炭素が75%は増えるので、今回の目的には十分にマッチする。

 風魔法で空気の繭を作るのは、気圧に対するものではなく、体の周りの空気の保護だ。限定的に元素を選んで排除できないので、すべてを遮断する空気の膜を作るイメージだな。

 道具を作っていると、死刑囚が暗部に担がれて運ばれてきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...