ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2364話 初めての食べ方

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 小説からの漫画を検索して、買うというサイクルを続けていると、テントの外がにぎやかになってきた。窓からのぞいてみると……妻たちがそろい始めていた。シンラたちも連れてきており、ミーシャたちはまだいないようだ。

 外へ出て話を聞いてみると、ミーシャたちは今日もトレーニングで汗をかいたので、シャワーを浴びたら自分たちで向かってくるとのことらしい。

 なるほどね。今日の訓練に付き合った妻たちも一緒にシャワーを浴びているのかね。

 外に出ると、先ほどよりいい匂いで暴力的なケバブの匂いが漂っていた。先ほどまで忘れていた食欲を、よみがえらせてしまった。

 カレーの匂いも暴力的ではあるけど、あれはなんだろな……なじみ深いといえばいいのかな? 慣れているといっても過言ではないが、このケバブの匂いは慣れていないし、懇親量の匂いがね……カレーとは別の意味でガツンと来るからな、抗いがたい……

 魂が抜けそうな気分を何とか耐え抜いていると、ミーシャたちも着替えを終えて到着したようだ。

 シンラたちもケバブの匂いにやられt、半分魂が抜けているような表情をしている。

 俺とシンラを見比べて妻たちは笑い出し、ミーシャたちもそれに気付いて、似ている俺とシンラの様子を見て笑い出した。それだけ似てるってことなんだろうな……変なところで親子を感じてしまった俺である。

 全員がそろい、夕食が開始される。

 後からドワーフたちも来るそうで、食べ残しても問題はないとのことだ。あのじいさま方は、シュリとは別の意味だが、食べる量がおかしかったりする。酒があると、無限に飲んで食い続ける変な奴らなんだよな。

 それが古典的なビア樽ドワーフたちだけならわからなくもないが、ショタロリドワーフたちも同じだけ食うんだよな。カエデはそうでもないが、リンドは結構食べるんだよな。力も強いし、劣化版英雄症候群みたいな感じなのかね?

 基本的な身体能力やスキルは変わらないのだが、生まれた環境で得られるスキルがあるようで、そういうのが種族の特徴みたいになるような世界なので、鑑定なんかに現れない特徴があったりするかもしれないな。

 そんなことより飯だ!

 シンラも我慢ならないのか、早く早く! と声に出さずに態度で表している。声に出して急かすと、ブラウニーたちに怒られるので、何度か怒られたことで学び、声に出さなくなったんだっけな。

 まず俺が初めに頼んだのは、自分の作ったロースト系のお肉ではなく、暴力的な匂いを漂わせているケバブだ。まずはあれを食べないと始まらない。

 注文すると、ピタパンと呼ばれる、高温で焼き上げることで膨らんだ空洞状のポケットに、肉や豆類をはさんで食べる中東のパンだ。ケバブのあふれる油と香辛料の混ざった肉汁を、余すところなく食べられるようにポケット状のパンを選択したようだ。

 しかも、ケバブだけではなく肉の中にさらに羊肉や牛肉などのミンチを香辛料などと混ぜて作ったハンバーグ、キョテフと呼ばれるトルコ料理のお肉も一緒に入っていた。

 お肉にお肉を入れた、がっつり肉肉しいハンバーガーのようなものが出てきた。

 かぶりつくと……無我夢中で食べてしまっていた。

 これだけ脂っこい料理なのになぜか、食べにくさを感じさせずに俺の食欲をさらに加速させてきた。

 よくわからないのだが、少しピリッとする辛味と酸味が、手を止められなくさせているのだ。俺は、頃を何か知っている気がするのだが、何なのかを思い出せずにいた。

 思い出す間も手が止められず、合計4つもケバブ&キョテフのハンバーガーのようなものを食べてしまっていた。

 わからなかった辛味と酸味の正体を教えてもらうと、ピクルスだといわれた……俺の知っているピクルスとは違うな。ハンバーガーといえば、ピクルス! という人もいるが、俺的には某ハンバーガーチェーンのピクルスは好きじゃない。

 なんというか……俺の味覚の中では、ハンバーガーとピクルスがあってない気がするから、どうしても好きになれないんだよな。ピクルス自体は好きなんだけどね。

 それなのに、このケバブ&キョテフのハンバーガーに使われているピクルスは、主張し過ぎていないが、俺の好みにドストライクなのだが……

 どんなピクルスを使ったのか教えてもらうと、アチャールだと教えてもらえた。

 聞いてみたけど、アチャールってなんぞや?

 わからない顔をしていたのだろう。質問したブラウニーが答えてくれた。

 アチャールとは、マスタードオイル(からしの種から抽出した油)に、野菜や果実を漬けたものだとさ……えっと、ピクルスじゃなかったのか?

 文字通りのお酢に漬けた野菜のピクルスなどではなく、ツンと鼻をさす風味の添え物という意味で使っていたようだ。

 覚えのある風味だと思ったら、からしだったのか! それなのに気付けなかったのは、マスタードオイル以外にもいろいろな材料を混ぜて漬けていたため、俺には何か気付けなかったようだ。

 いろいろ試してみたそうだが、あまり期待していなかった組み合わせが一番おいしかったため、今回自信作として出してくれたようだ。

 なるほどね。急にケバブってなんぞや? と思ってたけど、そういう理由があったのか。

 夢中になって気付いていなかったが、目の前で食べているシンラたちなのだが、1つのパンをシンラがお肉の一番入っている真ん中にかぶりつき、左右からプラムとシオンもかぶりついていた……せめてパンくらいは、奪わずに食べろよ。

 俺が作ったローストを探してみると、牛肉のほうは見当たらなかった。ケバブみたいに何かにはさんで食べるのかね?

 ローストポークは、妻たちにも人気で見る見るうちに消費されているようだ。お肉というよりは、そのたれがおいしかったようで、いろいろなものをつけて食べていた。

 俺の味覚センスはいいようだが、料理センスはそうでもないのかもしれない。自分の好みに合わせてたれを作れるという意味では、料理センスはあるようだけどな。

 俺も妻たちも子どもたちも全員が、ケバブから食べているが、食欲は衰えずに反対に加速して、いつも以上に食事を食べてしまっているようだな。

 ドワーフの皆さんは、ケバブがあるから気にしなくてもいいか? 野菜を入れてもあまり喜ばれないので、肉肉の今日のハンバーガーは、ドワーフたちの好みにドンピシャだろうな。

 肉しかないから心配だったけど、余計な心配だったな。
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