ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2308話 地球では不思議なことが起こっていた

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 夕食前にミーシャたちに合流すると、今日は一緒に訓練してくれなかったと、少し拗ねられてしまった。綾乃とバザールもいたので、遊んでいたと思われていたようだ。

 完璧な誤解だったので事情を説明して、自分を鍛え直さないといけない理由ができてしまった、とミーシャたちに伝えた。信じてもらえるとは思っていなかったが、何故か信じてもらえたので助かっている。

 夕食が終わりお風呂の時間になると、珍しく妻たちも全員が集まり、仲良く家族風呂となる。

 話を聞きたがっているのは分かったので、全員でタイミングを合わせて湯舟に浸かることになった。集めの風呂も温めの風呂も、スライムではなく人で混んでいる。

 シンラは何故か俺の前でスライムにもたれかかりながらマイペースにくつろいでいる。

 昨日と今日の話をかいつまんでした後に、俺自身の戦闘技術が落ちたことを話した。レイリーにも確認を取ってもらい、明らかに動きが悪くなっていると指摘されたので、スキルが無くなった弊害だと思うことを伝えている。

 スキルがないのならなんで鍛える必要があるのかと聞かれたので、ありのままを伝えている。

「私たちを守りたいとかそういう事じゃなくて、スキルがないのに戦えないんじゃないのかな?」

 妻たちから出た疑問は、鍛える理由じゃなくて、鍛える意味を聞いていたようだ。

「始めは誰もスキルはもっていないし、スキルが無くても戦える。元々の話をすれば、俺はスキルの無い世界からきている、技術の積み重ねをスキルという形で目に見えるようにしているわけでも無い世界からだ。

 それに、スキルだけが勝敗を分ける要因じゃない。高くても負ける時は負けるし、無くても勝てることだってある。スキルとして与えられた力を捨てて、自力で強くなろうとしていると考えてもらっていいかな。もしかしたら、レイリーの強さに近付けるかもしれない」

 思っていることを妻たちに伝えると、納得してもらえた。

 スキルを失ったと言っても魔法は使えるし、強化系や耐性系などは残っているので、なにも問題にならない。

 訓練を重ねてスキルに頼らないで動き回れるようになれば、本当に強くなれるのだと思う。それにスキルを忘れたと言っても、よく使っていた技術はある程度体に染みついているのだ。本当に胃から始めるわけじゃないので普通の修行者よりは、数歩前に出ていると思う。

 技術を鍛えたいので、おそらく軽い木刀で技を鍛えるのがいいのではないだろうか? でもその前に、基礎となる動きをある程度完璧にしておかないと、軽い木刀の訓練は役に立たなそうだな。

 自分の訓練もいいけど、子どもたちも近くで訓練しているのだから、ちょくちょく見に来るように妻たちに言われた。自分にかかりっきりにならないように気をつけます。

 ルーティーンに組み込んでおけば、訓練を見に行けるよな。おやつの前か後か……おやつ前には訓練していない時もあるから、後で16時くらいなら訓練をしているはずなので、そういう風にルーティーンを組んでおこうか。

 お風呂から上がった後に、みんなでコーヒー牛乳を飲んだ。子どもたちはゲームをすると言って、スタタタターと走っていった。妻たちは、ミリーを中心にお酒を飲みたいメンバーが集まり、ベランダで少し飲むそうだ。他は、各々自分の時間にするみたいだな。

 一番は、ゲームをするメンバーが多そうだ。シンラたちがゲームを始めてから、妻たちもゲーム熱が戻ってきたのか、ゲームを一緒にしている姿を見るようになった。

 一度やったゲームか新作かは分かれるが、自分たちのしたいように時間を過ごすみたいだな。

 俺はシルキーたちを呼んで、明日からのスケジュールを伝えた。

 朝と夕に庁舎に行って、それ以外は訓練をするから、昼食や間食などは、トレーニングに合わせたものでお願いする。おやつの時間は、子どもたちが終わってから俺の時間にしてほしい。

 そうすれば、俺が食べている間に子どもたちが訓練を再開して、少し訓練を見てから夕方の庁舎に行く流れであれば、色々ロスが少ないと思うからね。もし、他にいい方法があったら提案してほしいとも言っておく。

 これで明日からの動きは問題なさそうだな。

 俺もお酒飲もうかな?

 久々に日本酒を飲みたくなってきた!

 もう日本酒の頭になっているので、何をどうやって飲むか……あまり好んで飲まないのに、なんか急に飲みたくなったのは不思議だが、どうせなら新作を飲みたいところだな。

 新作で条件を絞って日本酒を検索してみると一番先に出てきたのが、純米大吟醸のお酒だった。純米大吟醸は、冷酒で飲むと爽やかで飲みやすいらしいのだが、冷やしすぎると匂いが薄くなってしまうので、お酒の温度には好みが出そうだな。

 お風呂に入った後なので体は火照ってて、冷酒はさぞかし美味かろう……ブラウニーさんやい、冷酒に合うつまみをお願いする。

 新作は他にもあるけど一番初めに出てきたのは、VTuberと呼ばれるアバターを動かしてネットで活動する人たちの中で、お酒好きのアイドルVTuberがプロデュースしたお酒らしい。

 俺がこの世界に来てからも、地球の状況って変わってるんだな。後でどんな人たちなのか調べてみるか。

 っと、それより気になるのが、この酒だよな……他のも見てみたけど、インパクトがあんまりなかった。おそらく美味しいのだと思うが、やっぱり酒好きアイドルがプロデュースしたって言うのが、インパクトがデカいよな。売り物になっているのだから、これだって不味いはずがない。

 俺は運ばれてきたつまみを見て、良く分かっている! と、声を大きくしてしまった。

 だってさ出てきたのが、イカの塩辛、マグロとアボカドの白だし和え、イワシのなめろう、長イモのシャキシャキサラダが出てきたのだ。俺の中でど真ん中のチョイスだったため、自分でもビックリするくらいの声が出た。

 13度ほどに冷やして、維持できるように魔道具をセットし、イカの塩辛を口に運んでから、純米大吟醸の冷酒をコクリ……辛口だけどさっぱりとした飲みごこち。鼻から抜ける香りも悪くない。

 他のつまみでも同じことをしても、全部美味い。

 あ~冷酒ってカパカパ飲めるから駄目だな……いつもより飲むペースが早く、自分で酔っていることが分かる。でも美味しいから止められない。おつまみが引き立つし、おつまみがお酒を引き立てる……相乗効果でヤバいな。

 っと、100ミリリットルは入らない小さなグラスで、4杯目を飲もうとして一升瓶を傾けたら……酒が無くなっていた。いつの間にか近くに妻たちが来ており、出しておいたお酒が全部飲まれていた。

 妻たちも気に入ったようなので、明日からまた酒蔵が忙しくなりそうだな。
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