ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2301話 自分の訓練もしてみた

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 おやつの時間になり準備が整ったようなので、疲れて倒れているミーシャたちを起こしに行く。体を酷使して疲れと痛みを回復魔法で強引に直しているので、体力がかなり削られている。それと同時に、体内の栄養も回復魔法でかなり消費しているので、おやつはかなりの高カロリーのモノが準備されている。

 途中でブラウニーたちが一部いなくなっていたので、このための準備をしていたのだと思う。

 普段ならおやつっぽいもので、お菓子やデザートのようなモノが出てくるのだが、結構ガッツリとした食事のようなモノの準備ができていた。

 下の子たちには食事ではなく、いつものようなおやつだな。今日はプリンのようで、子どもたちの顔くらいはありそうな大きなプリンが1つ、3人の前に置かれていた……あれ?

 この出し方は嫌がるんじゃなかったっけ?

 そんなことを思ってシンラたちの様子を見守っていると、気にすることなく食べ始めた。3人で仲良く食べている。そしてシンラは、我関せずを貫こうとしているが、横の2人から「あ~ん」をされている。

 ずっと無視していることができないようで、2人のプリンを食べている。シンラが半分くらい食べて、プラムとシオンが4分の1ずつ食べている感じだな。こんな食べ方をしていたら、シンラが太るんじゃないか?

 そんなことを思っていたが、下の子たちって同年代に比べて食事量が多い気がするけど、ポッチャリすることもなく痩せすぎということもないし、健康的だよな。

 この子たちは、体温も高いし良く動くから、カロリーオーバーということもないだろう。

 その横で妻たちもおやつを食べているな。

 ミーシャたちは、お好み焼きを食べている……ん? ガッツリと食べられる上に、お腹にたまる食事じゃないか? その上でプリンも食べるようで、夕食は大丈夫なのだろうか?

 3人の様子を見ると、まだまだ食べたそうな様子だが、さすがにこれ以上は食べすぎだろう。これなら、この後2~3時間動くことを考えたら、夕食も大丈夫そうかな?

 腹ごなしをしてからの訓練再開となるだろう。

 さて、俺もおやつを食べたし少し体を動かそうかな。今日は妻たちに訓練を任せることにしているので、俺は俺で何かしようかな。

 みんなの邪魔になるので、隣の訓練エリアで体を動かそう。

 俺のエリアでは、子どもたちの映像をダンジョンマスターの能力を通して流している。

 子どもたちは……一生懸命母親に向かっていっているな。母親たちの方が一枚上手で、手も足も出ないことが多いが、たまに体勢を崩したりできているので、俺の授けた策が少しは成功している感じだな。でも、妻たちも打撃による崩しを使うようになったら、子どもたちは相手にならないかもしれない。

 よし、ちょっと前に気になっていた、剣術というか刀術? それをやってみるかな。スキルとか関係なく、その先があるような感じだったから、気にはなっていたんだよな。

 木剣を持って心を無にして振ってみる。

 しばらく、体が動くままに振ってみた……やっぱり剣じゃダメそうだ。

 世界樹の木刀へ持ち替えて、木刀を体の一部のように感じ始めたところで振り始めた。

 木剣より全然しっくりくるな。

 意識が深く潜っていく感じがする。木刀が体の一部のように寸分の狂いもなく、思い描いた軌道を通っていく。先ほどまで聞こえていた空気を切る音が無くなって、俺の耳に届く音は服や体がこすれた音だけになった。

 何でこんなことが起きているのかは分からないが、自分が高みに近付いている気がする。

 ステータスをブーストして、体の動きを早くしていく。ギアが何段階も上がったところで、思い描いている軌道から少しズレてしまうような感覚があった。

 最後のギアの段階を下げて、今俺ができる最高速度で木刀を振り続ける。

 無我夢中と言えばいいのだろうか、限界ギリギリで振り始めてからは、余計なことを考えなくなり、ただただ木刀を動かす人形みたいなっていたと思う。

 呼吸を忘れていたのか、動くのを止めて深く息を吸い込んだのが分かった。

 そうすると、俺の目の前に俺自身が現れた。

 鏡の中の自分と対峙しているような状況だ。

 でも動きは違うし、何故か打ち合った時の木刀にかかる衝撃は本物だった。ありえないはずの事が起きている。手を止めることは許されないと思った。ただ、目の前の敵を倒すために武器を振れと心が叫んでいる。

 魔王の時の闇落ちとは違う、深く潜る行為だったが、ワクワクしている自分がいることも分かっていた。

 俺の攻撃が全く通じず、反対に目の前にいる俺の攻撃は、やっとのことで防いでいる状況だ。

 俺と目の前にいる俺の違いは……おそらく、俺が制御できなかったもう一段階上のギアで攻撃をしているのだろう。すべてにおいて上回られているのが分かる。

 見取り稽古とでもいうのだろうか、俺が理想としている動きを目の前の俺がしてくれているのだ。それを真似れば俺はもっと高みへ行けるのではないだろうか?

 そう考えると、自然と自分のギアが上がった事が分かった。

 やっと対等に打ち合えると思った時、さらに目の前の俺のギアが上がった……

 それに追いすがるように、動きをよく見て真似て、更に俺自身のギアも上げていく。

 何度このやり取りをしたのか、俺たちの動きは何段階も早くなっていった。

 自分の限界を感じた瞬間に、目の前の俺がいなくなっていた。

 動きを止め、荒い呼吸をしていた自分に驚いているが、気分が良かった。

 体をほぐすように、クールダウンをするように、軽く体を動かしながら呼吸を整える。

 声が聞こえてきたので振り向いてみると、ブラウニーたちが集まっており、困ったように、心配したようにこちらを見ていた。

 なんだそんな表情をしているのかと思い、聞いてみた。

 どうやら、周りから見ていたブラウニーたちは、俺の動きが理解できないのに何かと戦っているのは分かったようで、見えない敵と戦っていると思って声をかけていたらしいが、俺には全く聞こえていなかったから心配していたみたいだな。

 それに音もしていなかったので、どうすればいいのか分からずに、みんなが集まってきたようだな。

 代わる代わる俺の様子を説明してくれたブラウニーたちだが、集約するとこんな感じだった。

 まぁ、俺も何であんなことになっていたのか分からないので説明はできないが、俺の主観の話をすると、ブラウニーたちの目が点になる。

 俺を見る目が、頭大丈夫ですか? と言っていたので、マジでやめてほしい。
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