ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2280話 今日の訓練は?

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 朝食の際にミーシャたちの様子が違うことに違和感を覚えていたが、それの理由は昼食時に分かった。

 お昼の休憩が終わったら、すぐに訓練開始になるからと、朝から気合が入っていたみたいだった。急遽変更された予定ではなく、元々今日は午後が運動に当てられる日だったんだとか。だから、訓練が昼食後から出来ると気合を入れていたようだな。

 それはかまわないのだが……この情報を知らなかったのは俺だけで、妻たちも全員知っており準備はできているとのことだった。仲間外れって、相手にそんな意思がなくても寂しいよね。

 子どもたちの休憩が終わったら、すぐに訓練場所に移動することになるから、俺も準備しておくかな。

 準備をしていると、娘たちの休憩が終わったようで、訓練場へ入ってきた。

「たのも~」
「「たのも~」」

 ミーシャが先頭で入って来て、何やら変なことを口走ると、スミレとブルムまで道場破りでもするのか? といった挨拶をして入ってきた。

「「「ちゃのも~」」」

 下の子たちが姉たちに続いて真似ながら入ってきたのだろうが、3人揃って喫茶店にでも来たのか? と疑問になる掛け声で入ってきた。

 「たのも~」と言いたかったのだろうが、舌っ足らずで「茶飲も~」となってしまっているのは、微笑ましさを感じる。

 今日は下の子たちも体を動かすようで、姉たちと一緒に準備を始めた。

 今日は、軽く走って体を温めてからのストレッチだ。誰しもが軟体生物みたいに体が柔らかくなるとは言わないが、ある一定のラインまでは頑張れば体が柔らかくなるので、ストレッチはしっかりやっている。

 柔軟性の無い筋肉は、打撃などに対して衝撃を受け流し難いので、そういう面から考えても柔らかいにこしたことは無い。

 全部攻撃を避けるなら関係ないのでは? という奴がいるかもしれないが、武器を叩きつけて発生する衝撃や、かわしきれずに受け止めた場合など、ダメージを外に逃がせるのであれば、それに越したことは無いだろう。

 ミーシャたちの体の柔らかさだが、ミーシャは非常に体が柔らかい。新体操選手とまではいかないが、180度開脚も苦にせず、膝を伸ばした状態でお腹を太ももにくっつけることができるくらいには柔らかい。

 それより気になるのが、スミレとブルムだな。この子たちはビックリするくらい体が硬い。体質でもあるのだろう。身長はミーシャの方が10センチメートルほど高く、体型はほとんど変わらないのに、体重はミーシャと変わらないのだ。

 カエデはハーフドワーフだからか体重は気にならないが、リンドは見た目よりかなり体重がある。鉄のインゴットだと思って持ったら、金のインゴットだった……くらいには、見た目と中身が違う。ステータスがああるので気にならないが、地球だったら腰を痛めそうだな。

 シンラたちも姉たちの近くでストレッチをしているようだが、やり方が間違っているため、不意に前転をしてしまったりしている。

 そのせいでストレッチをしていたはずなのに、クルクルと前転をして遊び始めてしまった。

 この子たちに何かをさせるわけじゃないから、このくらいで問題ないんだよな。その内、前宙とかバク転、バク宙とかしてそうだな。

 俺もこっちに来るまでは、運動はできる方だったけど、チキンだったからバク転とかバク宙はできなかったんだよな。その代わり、跳び箱の12段で普通にロンダートとかはしてたんだけどね。

 みんなとビビるポイントが違ったんだろうな。友達にバク転とかできても、12段でロンダートできなかったからな。その友達は怖いって言ってたんだよな。俺からしたら、バク転の方がよほど怖いんだけどな。

 俺の中学校には何故か1つだけ、12段にできる跳び箱があって、放課後とかに体育の先生の手が空いていれば、運動に付き合ってくれたんだよな。中学3年生で、部活動も終わって運動不足にならないようにって、学校が許可してくれてたから、運動好きの同学年が集まってたっけな。

 昔の変なことを思い出しつつ、ストレッチが終わったので、訓練を開始することになった。

 初めは、年少組の妻たちに付き合ってもらい、昨日の夜の訓練を再現して子どもたちに見せた。

 柔道のスキルを覚えるための基本動作を、一連の流れで見せてから、1つ1つ区切って動きを見せていく。

 3人は見取り稽古のようにして、年少組でも小柄なシェリル・イリア・ネムの3人を相手に、動きを確認している。相手になっている3人は、既に自力でLv3まで上げているので、教える相手としてもちょうどいい。

 何で柔道のスキルかというと、大きな枠組みで囲った場合、柔道が半分以上柔術の中に含まれているようで、柔道を覚えてからの方が教えやすいと判断したからだ。

 柔術は昨日も子どもたちにも話したが、武器も扱う技術なのだ。そこらへんは修めているから、柔道をある程度覚えてから柔術を学ぶ方向になっている。

 妻たちの柔道スキルを覚える手伝いをしながら、子どもたちの様子を見る。

 教え方が上手いのか、吸収が早いのか、それとも天性のものなのか、理由は分からないが、見る見るうちに技術を自分の物にしている様子が分かる。

 クソ神共が作った世界だから、何でもありなんだろうな。

 地球なら何十年とかけて至る場所に、この世界では十年と経たずに到達できる例が多すぎる。若くしてSランクになる冒険者もそれなりにいるので、そういった人間はこの世界の恩恵にあずかっているんだろうな。

 俺だってそうだしな。普通の人なら1つの技術を何年もかけて一人前にするのに、俺は宝珠というチートアイテムを使って、更にはDPでLvまで上げて知識を得ているからな。十全に使えるように訓練はしているけど、苦労している人間から見れば理不尽にもほどがあるだろうな。

 おやつの時間になるまで1時間30分程あったが、それまでに妻たちも娘たちも全員が、柔道のスキルを獲得できていた。
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